言葉





 言葉なんか、何の役にも立たない。

 特にこうやってオスカーに抱かれる時は。

 指や舌や、押し出される吐息の方がよっぽど役に立つ。

 たまに言葉で苛められる時は、それはそれで興奮するけれど、やっぱり「その場の空気」には敵わない。

 内緒話をするように、唇が肌の上を転がる。

 キモチイイと、吐息で伝える。

 熱くなった指を、熱い部分に押しつけられる。



 言葉なんて後からついててくるものだ。



 だからオスカーがそう言ったときは、意外でもあり、納得もした。

 他の男とのセックスはどうか知らないが、少なくともオスカーに抱かれている時の、この空気は最高だ。

 邪魔にならない程度の囁きに、自分を快感に導く声。

 どれもこれもゼフェルの体を心得ている。

 そんなときは空気まで濡れている気がして、とんでもなく恥ずかしい気分にさせられる。

 今日みたいに執務室で抱かれていて、誰かが入ってくるかもとか、そんな恥ずかしさではない。

 体全体で感じて、爪先や視線まで駆使してオスカーの気を引こうとしている自分に恥ずかしくなる。

 日常生活では、もちろん伝えなければいけないことは多々あるけれど、本能と欲望の前には何の役にも立たない。

 2人の空気を作るために、感情を伝えるために、あえて言葉を使わない。

 自分はあまり言葉を伝えるのが巧くないけれど、こういう時に伝えられる術を知っている。

 それで十分だと思うし、オスカーが満足しているのも伝わってくる。



 だから、言葉なんか何の役にも立たない。

 普段は饒舌なオスカーに抱かれて、改めて思い知る。









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