闇の中に、ほのかな光球が一つ。
ふわふわと揺らめいている「ソレ」は、
まるで何かに誘われているかのように‥‥
それでいてどこか危なげな不安定さで、薄闇の中を進んでいく。
何もない空間。
しかし、微かな囁きだけは聞こえてくる。
声....いや、音と言った方がいいかもしれない。
クスクス…と、笑っているような音。
楽しんでいるような…悲しんでいるような…?
そんな音に囲まれる中、光は進み続ける。
おそらく「ソレ」には囁きなど聞こえていないのだろう。
やがて闇に飲み込まれるように、その光球は消えていった。
音が止み、その場には別の光が現れた。
人間の手のひらにおさまるほどの、小さな球体。
それが次第に形を取る。
幼さの残る顔立ちの少女だ。
その少女が「クスクス」と再び音を発しながら、
先ほどの光球が消えていった方へと進みはじめた。
どこまでも続く闇は、少女の瞳に何を映しているのか。何が映っているのか。
少女は確実に、間違うことなく進んでいるのだ。
闇以外に何もない、何も見えない空間を。
だがやがてその闇が開け、突如視界に街のネオンが飛び込んできた。
先ほどの場所とはまるで別世界だ。
その喧騒に包まれた空間の中で。
地上に溢れる星々を一瞥した少女は、僅かに口元を歪めた。
小さな唇の端を微かに釣り上げ、うっすらと瞼を伏せたその面持ちは‥‥
あどけなさを保ったまま妖しさを纏っていて。
それは不気味以外の何モノでもない。
しかし少女の耳には聞こえているのだ。
....の声にならない悲鳴が。
そして目的を達成したモノの高らかな勝利のこう笑が。
「クスクス…」
それを楽しむかのように、少女が音を紡ぐ。
『可愛そうに…ね』
音はそんな風にも聞こえた。
無数に広がる地上の篭。
その中で「もがいているモノ」たち。
『そんな狭いところで楽しいの…?』
『もっと広い世界へおいでよ…』
少女が誘うように地上へと降りていく。
何かを求めるように。
獲物を見つけたような輝きを瞳に浮かべて。
『あたしと一緒に遊ぼうよ』
一つの篭にたどり着き、少女が無邪気に言う。
しかし、
その音は視線の先に在るモノに聞こえてはいないようだ。
それでも。
向こうからやってくるのである。
闇の世界へ.....
記憶された言葉の持つ力に支配されてーーーー
『ほら、あたしと一緒に遊びたくなったでしょ?』
新たに生まれた光球を導くように、少女が高く舞った。
『こうしてお空を飛んで、たくさんある篭を見下ろすの』
地上に存在する光に語りかける少女。
でも‥‥‥
『遊ばないの…?』
少女の瞳が陰る。
『そう…つまんないの』
飽きてしまった玩具を投げ出すように、少女の視線がフイ...と逸らされた。
そして時を置かず、少女がその場から去っていく。
篭から出られない光を残したままーーー
やがてどこかでまた、
悲鳴とこう笑が聞こえ出す。
「クスクス…」
少女の楽しげな音も、止むことを知らない。
繰り返される「コトバ」
『あたしと一緒に遊ぼうよ』
少女の微笑みは永遠に続く。
『もっと広い世界へおいでよ』
闇の中で...そして喧騒の中で。
『そんな狭いところで楽しいの?』
囁き続ける。
『ほら、あたしと一緒に遊びたくなったでしょ?』
声ではない音で。
少女は微笑む。
歩き出せない光がある限り、永遠に......
最後まで読んでくれてありがとうございます〜!
ダーク好きのちーにゃんがダークなはむすけさんの小説につられて(?)書いたものなのでやはりダークです(爆)
実はダーク好きなくせに、ダークな小説はあまり書いたことがないんですねぇちーにゃんは(苦笑) それに基本的にちーにゃんは長編派なので、短編は苦手だったりするのだ(何年ぶりだろう...短編なんて(^_^;)
しかしそれにしても漢字が...一つだけDCの辞書に入ってないのがありまして平仮名になってしまいました(ToT;)悲しすぎる〜(号泣)
え〜、とっても久々だったのであまりうまく書けなかったんですが、もし感想などありましたらBBSにでも書いて下さると嬉しいです。勿論苦情も受け付けま〜す(笑)

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