ここではスカイライダー限定のエッセーを載せています。
僕が仮面ライダーのファンになったのは中学一年の冬である。もちろんその時はスカイは「たくさんいるライダー」のうちの一人に過ぎなかった。ただ、情報に飢えていた当時の僕はケイブンシャの「大百科」シリーズを読んで全部のライダーの名前と変身する人間の名前を覚えていた。その中で目を引いたのはスカイとスーパー1だった。なぜかと言えば、単に配色が鮮やかだったからである(笑)。
進級する直前の春休み、己の愚かさをまだ十分に理解していなかった僕は、無謀にもライダーのガレージキットを買ってしまった。初めはスーパー1を買うつもりだったが、店においてなかったのでスカイを買った。模型好きの友人に教えてもらって自分で塗装をしてみたが、目も当てられないくらいゲロゲロな物になってしまった。この時になって僕はようやく己の限界を悟ることになる。美術の成績で「2×(にバツ、つまり1に限りなく近い2)」をもらってしまった男の美術の腕はこんなものだった。
それはともかく、このようなこともあってスカイに対する印象が強く残った。もちろんこの段階では最初のライダーの話をいくつかビデオで借りて見ていただけで、動いているスカイなど見たこともなかった。
夏になって、たしかテレビ朝日でやっていたと思うが、懐かしのテレビ作品をプレイバックするという番組の中で、京本正樹氏がゲストで来た時にライダーの特集をやってくれた。と言ってもやはり1号からV3がメインで、Xやスーパー1は紹介すらされないお粗末な内容だったのだが、ここで初めて「筑波洋」という人間と、動いているスカイライダーを見ることが出来た。放送されたフィルムは48話で、偽スカイが出てくる話である。この時初めて、「筑波洋=村上弘明」だという事を認識した。「腕におぼえあり」なんかの時代劇(当時は必殺ファンではなかったので「鍛冶屋の政」は知らない)に出ていた、僕の知っている人がライダーをやっていたということを知って嬉しかった。
その番組はビデオに撮ったので、毎日練習してスカイの変身ポーズを覚え、部活中に披露したのは当然のことであった(笑)。
夏から秋にかけて様々な情報を得たため、その中であまり情報が載っていないスカイとスーパー1に興味がいったのは当然のように思う。その中で、単純に8人ライダーが勢ぞろいすると言うスカイの方を見てみてみたいと思ったわけである。
10月ごろ、近所のレンタルビデオ店でスカイのビデオ10巻を借りる。37話から40話までが収録されており、37話は2話構成の後編だったので全然話がわからなかった(笑)。しかし、歴代のライダーが素顔で登場するというシチュエーションに単純に興奮した僕は、いつのまにかスカイのビデオを購入することを考えていた。
と言っても、9000円以上もするものを、収入の全くない中学生が買えるはずもない。だがちょうど12月は僕の誕生日があったので、少し姑息な手段ではあるが「誕生日プレゼント」という形で、念願のスカイ1巻を購入した。見てみると、さすがに10巻に収録されている話とは雰囲気が違った。それは当たり前である。しかし、僕はこのライダーがいっぺんで好きになった。熱い心を持った青年が改造人間となり、その苦悩を隠して「仮面ライダー」として悪と戦う決意をする。これ以上「仮面ライダー」のテーマを端的に謳いあげている作品があろうか(←いっぱいあるけど、笑)。空を飛ぶのも別に展開に無理を呼ぶようなものには見えず、特に4話はやはり感動した。このような作品があるかないかで、作品全体の印象ががらりと変わってしまうので、個人的に大好きなエピソードだ。
当時はビデオデッキは一台しかなく、僕がライダーを見るのには夜にならなければならなかったが、それでもほぼ毎日見続けた。その為今では第1話のセリフなら、ある程度はそらんじることが出来るようになった。年が明ける瞬間にもスカイを見ていた。
で、当然次のビデオが欲しくなる。年始にもらったお年玉で僕は直ちに2巻と3巻のビデオを予約した。一気に12話まで見ることが出来る訳だ。しかし、なぜかビデオは来なかった。理由は今ではよく覚えていないのだが、確か年が明けたばかりで販売の方も一度再販する形になり、その時にあたったので生産されていないと言うような状況になった、と記憶している。
色々あったけど購入できた2,3巻を見ると、2巻収録の話にはあまり面白いのがなく、少し不満だった。3巻になると良い意味でスタッフが新しいライダーに慣れていったようで、やたらカッコイイアクションが続く10、11話、悪の秘密結社の巨大さを初めて表現した12話など、面白い作品がたくさんあった。次は4巻を買うだけだ。
それから1年はライダーに関する限り、まさにスカイ一色であった。春先くらいにビデオ家に入った12巻も借りて見た。これと13巻は5話収録になっており、この巻では待望の偽スカイライダーを見ることができた。しかし、確かに僕が購入しているビデオの話と、借りて見るビデオの話とでは雰囲気が全然違う。どこらへんからどのように変わっていったのか。余計にスカイが見てみたくなった。
その年で買ったビデオは4巻から7巻になった。特に4,5巻は最後に収録されている話が二部構成の前編であった為、次の購入が待ち遠しくて仕方がなかった。ゼネラルモンスターとの因縁の対決もそうだが、極めつけは20話のラストにやっとその姿を見せたストロンガーであろう。登場シーンだけを何度見返したことか。魔人提督登場後はスカイが大ピンチに陥ることが多く、そう言う意味では出るべくして登場した歴代ライダーであった。この当たりのストーリー構成の巧みさには今でも唸らされる。
そして受験期に買った7巻。スカイが遂にパワーアップするという興奮必至の話…だったのだが、27話は興奮できたが肝心の28話は少し物足りなかった。余計な挿話をいれてしまったためだと思う。スカイのパワーアップだけに集中していれば、もっとすごい作品になっていたと思うのだが。
学校では当たり前だがスカイの話など通じる人間はいない。僕の周りには幸か不幸かマニアックな人が多かったので、ライダーの話そのものは通じるのだが、スカイを見たことのある人はそうはおらず、あまり理解はされなかった。その時期の友人との話題はどちらかといえば「セーラームーン」だったので、やむを得ないとは思うが。
当時僕が一番頼りにしていた資料は、バンダイから出ていた「仮面ライダー大図鑑」シリーズである。具体的な発行時期はもう覚えていないが、ストロンガーまで出した所でいきなり次の特集がBLACKになり、その後RXを経て、やっと次にスカイが出てくると思っていたら、今度は大図鑑シリーズそのものが発売中止になってしまい、スカイ編とスーパー1編は幻に終わってしまったのだ。今でも悔しい。この頃から、マニア間ではスカイの人気はあまり高くないということを理解し始めた。
高校に入ると周りに話の通じる人間がいなくなったこともあり、スカイはおろかライダーの話自体あまりしなくなっていった。さらに一時期の勢いはどこへやら、ビデオもあまり買わなくなってきて、高校一年の終わり頃に8、9巻を買ったのが最後であった。
この時期になると「ZO」「J」などのライダー映画デビューに伴う小規模のムーブメントも沈静化し、スカイの資料を手に入れる事など出来るはずもなかった。だからこそビデオを見たいわけなのだが、残り4巻まで来たとは言えやはり高校生にとって出費は大きい。そんな時、救いの神が我が家に降臨した。もう一台のビデオデッキである(笑)。さて、これを見た僕は当然あのことをしてしまうわけである。まあ個人で複製して個人で楽しむだけだから、別にやばくはないだろうと考えて早速レンタルショップから残りの4巻を借りてきて全部自分のものにしてしまった。この時ほど文明の利器のありがたさと己の情けなさを自覚したことはない(笑)。
さて、ここで忘れてならないのは「仮面ライダーBGM大全集(下)」の発売である。もちろんこの下巻にはスカイのBGMもほぼ全て収録されており、即行で予約して購入した。スカイの音楽はやはり一番聞きなれたものであるだけに、音楽を聴くたびにその音楽が使われた名シーンが頭に浮かんできた。ただ以前から気になっていた「ZXの話でのスカイ紹介シーンに流れる曲」については今回も何も触れられていなかったのが残念といえば残念なのだが。それとも僕の勘違いだろうか?
高校時代のスカイに関する思い出はこのくらいしかない。だが、この頃既に「ファンの中でもスカイの評価は低い」という認識はあったので、どうにかしてスカイが持っている良い部分を公表できないものかとは考えるようになっていた。