売家の物件を見に行ってきたパパ。しかし土地が悪くて断念したらしく、当分は借家暮らしが続きそうだと話す両親の話を聞いて、夢のある話はないかとドラえもんに尋ねるのび太。するとドラえもんは『ドイツへいってお城を買おう。』と言う。ドラえもんが週刊誌で見ていた「ミュンヒハウゼン城」という城は一千万円で買えるという。早速パパ達に話すのび太だがもちろん相手にされない。
とりあえず下見だけする事にした二人はどこでもドアでドイツの城へ向かう。時差の関係でドイツは夜だったが、かまわず二人は城の中に入る。しかし誰もおらず、のび太の冗談のおかげで二人は怖がってしまう。その時目の前に一人の女性が現れた。ドラえもんは彼女とドイツ後で話し始める。驚くのび太だが、ドラえもんは「ほん訳コンニャク」を食べていたのだ。彼女は城の持ち主であるロッテ・ミュンヒハウゼンで、昔はこの城で生まれ育ったが、税金や他の問題で仕方なく城を手放すことにしたと二人に話す。そこへロッテの叔父のヨーゼフが現れ、彼は城に幽霊が出るという噂を二人に話した。それを聞いて買うかどうか悩む二人だが、ロッテは結論が出るまで住んでみればいいと話し、家に飾られている先祖、エーリッヒ・フォン・ミュンヒハウゼン男爵の肖像画の説明をして、ヨーゼフと共に去って行った。
二人はパパ達も連れてきて城で暮らし始めるが、あまりにも城が広いために4人はそれぞれの事情でくたびれ果ててしまい、パパ達は帰ってしまう。二人は城に居残るが、その夜奇妙な音がしたと思ったら、飾ってある鎧がひとりでに動き出し、二人は一目散に逃げ帰る。のび太はなにか裏があるような感じを持つが、それでも城の事は忘れようとする。一方の城ではロッテが鎧の前にやってきていた。ロッテは鎧の中身がヨーゼフである事を見ぬいたが、ロッテは秘密の地下牢に閉じ込められてしまう。その事を新聞で知った二人は助けに行こうとするが、やはり幽霊が怖くて二の足を踏んでしまう。その時ドラえもんはある名案を思いついた。
城ではヨーゼフが言い伝えの財宝を見つけるためにあちこちを掘り返していた。そのヨーゼフの前に現れたのは、先祖のエーリッヒ男爵その人であった。逃げるヨーゼフはのび太達に捕まり、すべてを自白した。地下のロッテを救出した二人は、ロッテを男爵と対面させる。二人はタイムマシンで五百年前に行き、男爵本人を連れてきたのだった。男爵は自分が隠しておいた財宝をロッテに与え、かつての栄光を取り戻してもらう役目をロッテに託す。結局二人が城を買う夢は、夢のままで終わったのだった。
(解説)前年のサンデー増刊における「のび太の恐竜」の成功を受けて、サンデー増刊に3本発表された中編のうちの一作です。見たこともない異国の地へ行って遭遇する不思議な出来事(決して『冒険』ではない)が、ヨーロッパの流麗な景観に彩られて描かれています。それにふさわしく、キャラクターも充実しています。珍しい年上のメインゲストのロッテもそうですが、なにより過去の世界からやってきたご先祖が一番でしょう。これなどはまさにナンセンスの極致。幽霊なんてチャチなものでなく、本物を連れてくるのだから(笑)。中編らしいストーリーの濃密さと、ドラ世界らしいナンセンス性を余す所なく織り込んだ、心から楽しめる一編です。
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