「ほうき星」という新しいあやとりを考えたのび太だが、しずか達もママも相手にしてくれない。そこでのび太はドラえもんにもしもボックスを出してもらい、あやとりのうまさで人の値打ちが決まる世界を作ろうとする。ドラえもんは激しく怒って止めようとするが、のび太は構わずあやとり世界を作ってしまう。外へ出てみるとジャイアンがあやとりの練習をしていたり、スネ夫がしずか達にあやとりの自慢をしていた。それを笑ったのび太はスネ夫に言われるままにあやとりの天才的な腕前を披露し、町中のみんなから喝采を浴びる。さらに良い大学へ行くためにもあやとりが必要だと聞いたのび太は有頂天になるが、ドラえもんはなぜか不機嫌なままだ。そこへ慌てて帰ってきたパパはママと一緒に「プロあや」のタイトルマッチを観戦する。チャンピオンのグレート・フィンガーと、挑戦者のアヤノ・トリローとの凄絶なあやとり合戦の末、必殺技「銀河」を出したチャンピオンが勝利した。その賞金が30億円と聞いて自分もなってみたいと考えるのび太だが、そこへ全日本プロあやとり協会のスカウトマンがやってきて、のび太と契約金三千万円での契約を申し出る。翌日、家であやとりの研究をするのび太は戦況であやとり党が勝ったのを聞いて、将来あやとり大臣になることを夢見る。そしてジャイアンに弟子入りを志願されたり、しずか達にちやほやされて幸せ絶頂ののび太だが、それでもドラえもんは不機嫌なままだった。ドラえもんは手が丸いのであやとりをすることができなかったのだ。我慢の限界を超えたドラえもんはもしもボックスで元の世界に戻してしまい、しずか達はのび太の下から去るのだった。
(解説)もしもボックスで創造されたパラレルワールドは数あれど、ここまでおバカな世界観を持つパラレルワールドは、今だかつて存在しないでしょう。まったく役に立ちそうにない物の価値を逆転させるという事については、後年の「ねむりの天才のび太」がありますが、今話のおバカ度はその比ではありません(笑)。あやとりがうまいだけで町中で賞賛され、プロあやだのあやとり党だのあやとり大臣(どんな仕事するんだ?)だのと、バカバカしくて無茶苦茶な世界を、それでも地に足のついた感覚で構築しているのは見事としか言いようがありません。単なるドタバタではない、「ドラえもん」特有の笑いの世界の一つの完成形と言えるでしょう。ドラもペタリハンドをもってしても、あやとりはできなかったようで(笑)。三人がプロあやに夢中になっている後ろで頬づえをついている姿が哀愁を誘います(『あいしゅうのドラえもん』・・・・・なんちて)。
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