のび太のあとをついてくるのら犬は、のび太を襲ってきたジャイアンを追い返してしまった。以前に一度だけエサをあげたことがあるのだが、それ以来すっかりなついてしまったのだ。仕方なくしずかの家に逃げ込むのび太は、先に来ていた出木杉から、最近発見された奇妙な遺跡についての話を聞く。だが難しい話ばかりなので早々に退散し、再び先程の犬と出会ってしまう。相談されたドラえもんはとりあえず「かべかけ犬小屋」を出して、そこに犬を住まわせる。とりあえず一日目を乗り切ったが、これからも飼っていけるのか不安がる二人。翌日、空き地で犬と遊ぶのび太は、その犬に「イチ」と言う名前を付ける。ある雨の夜、イチが鳴くので犬小屋に向かったのび太は、イチが屋根の上にいるのらネコを気にしていることに気付く。さらにだんだんママの監視も厳しくなってきて、仕方なく小遣いからエサを飼うことにするが、イチは何かを言いたげだ。「動物語ヘッドホン」で話を聞くと、いつかののらネコを一緒に飼って欲しいというのだ。のび太は金策に奔走するが、ドラえもんはついに「無料ハンバーガー製造機」を購入し、食糧問題も無事に解決した。だがそれもつかの間、ついにママに見つかってしまい、捨ててくることを強要される。
どこでもドアで遠い山へ二匹を連れていく二人。だがそこには何故か野犬がたくさんいた。以前、保健所のオリが壊れて野犬が逃げ出していたのだ。帰ろうとする二人だが、犬たちのこれからを憂えた二人は、仕方なくスモールライトで全部小さくして、家に連れて帰る。生まれてきたのにどこにも住むことを許されない動物に同情し、無責任に動物を捨てていく人間達を憎む二人。そんなときドラえもんに名案が浮かんだ。人間などのいない大昔に連れていってやればいいと言うのだ。近所ののら犬たちも一緒に、三億年前に向かう二人。さらにハンバーガー製造機を使えるようにするため、イチを「進化放射線」で進化させ、機械の操作が出来るようにした。のび太はイチと最後の別れをして現代に戻っていった。帰ってきたのび太の耳にはイチの鳴き声が聞こえたような気がした。その後、例の遺跡が発掘されるに連れ、様々な事がわかってきたのだが、ある事を思い立ったドラえもんはのび太を連れて、イチ達をおいてきた時代から千年あとの時代へ向かう。すると、そこは大都会になっていた。ドラえもんが残してきた進化放射線の影響で、動物たちは進化したのだ。ところがその都会には誰もおらず、のび太は人を捜しに、神さまの像が奉ってある神殿に入り込む。その時ドラえもんは人を発見したが、その顔はなんとイチにそっくりだった。彼はイチの子孫で、気象の大変動を予測したためにみんな他の星へ移住したと言う。いつの日か、イチ達の子孫と人間が出会えることを夢見る二人。そして後日、神殿と思われる遺跡から出てきた神さまの彫刻の顔がのび太そっくりであることを、ジャイアン達は笑い飛ばすのであった。だが、当の二人はその事実は知らない…。
(解説)すごい奥深い話です。単純に考えれば、何の罪もない犬やネコを人間の都合で勝手に捨ててしまう事への作者の怒りがテーマになっていると思います。「身勝手な人間」をママのキャラに投影し、それでもその動物たちをきちんと思いやっている優しい人間の「心」をのび太に投影しています。人間の持つ優しい心をずっと信じていた藤子F先生らしい、シビアでいて優しいメッセージです。
ですが、今話はそれだけでは終わりません。それはラストの展開。神の彫刻の顔はのび太そっくりだった。それは自分達を助けてくれたイチ達にしてみれば当然のこと。しかし当ののび太達はそれに気付かず、知っているのは出木杉達や、その他大勢の人たちだけのはず。自分達のした行為の結果がどういう風に出ているのか。結果は出ているのにも関わらず、のび太達はその結果に気付かない。この秀逸なストーリーテリングこそが、今話の真骨頂だと思います。
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