空き地で情熱的な愛のセリフを交わし、手を握りあうしずかと出木杉。それを見て激しい嫉妬にかられたのび太は思わず叫んでしまうが、これは劇の稽古であった。だがその時の様子があまりにも本物っぽかったため、しずかとの結婚に関してまでもクヨクヨと考え出してしまうのび太。そんなのび太にドラえもんはタイムマシンで結婚式を見に行くようアドバイスし、のび太は怖がりながらも未来へ向かう。結婚式の行われるホテルに到着する二人だが、のび太は緊張してホテルの中に入れない。そこへ車に乗った未来ののび太が現れた。遅刻したようでひどく慌てていたが、挙式の日にちを一日勘違いしていたため、再び車に乗っていく。ドラえもんの方もタイムマシンの設定を間違えて、結婚式の前日に来てしまっていたのだ。せっかくだからと言うことで結婚前夜ののび太の様子を見ていくことにした二人は、「透明マント」を使ってのび太の家があるマンションの一室に入る。ママから伝言を聞いたのび太は車で、結婚式前夜祭をやるというジャイアンの下へ向かう。そこには成長したジャイアン、スネ夫、出木杉がおり、のび太の結婚を祝ってくれていた。夜中になっても騒ぐ四人に付き合いきれなくなった二人は家を出て、しずかの様子を見に家まで向かう。
しずかの家ではお別れパーティをやったようで、しずかはパパに執心の挨拶をしに行くところだった。心なしか沈んだ様子のしずかを気にする二人だが、しずかはパパにも挨拶をしただけで部屋を出ていった。ドラえもんは「正直電波」を出してしずかに浴びせるが、するとしずかは突然「結婚をやめる」と言いだした。それを聞いて思わず叫んでしまうのび太。しずかは両親には何も恩返しできなかった、だから結婚できないと言う。しかし、そんなしずかをパパは優しく諭す。しずかと共に過ごした、満ち足りた想い出の日々。それこそが、しずかからの最高の贈り物であったと。そして結婚に対する不安も吐露するしずかに、パパは「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことの出来る人」であるのび太を信じなさいと、優しく答えた。しずかの想い、そしてしずかのパパの思いを知った二人は現代に戻り、感激で泣きながらしずかの下に出向き、「必ず幸せにする」と宣言するが、しずかには全くわからず不思議がるのであった。
(解説)しずかはのび太のどこを好きになったのか。「雪山のロマンス」で描かれたように、のび太には全く良い所はなかったのだろうか。それに対する一つの回答が今話に込められていると思います。そして同時に描かれるしずかの心の葛藤。この二つのテーマに対する作者の回答は、しずかのパパの口によって読者に語られます。「愛する子供と共に過ごした日々こそが、子供からの最高の贈り物」というメッセージは、全ての親、全ての子供たちに語られているのかも知れません。そして父親によって語られる「人間にとって一番大切なこと」。それは勉強でもスポーツでもない。「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ」優しさ。これはしずかだけではなく、ドラえもんを読んでいる人全てに対する、作者からの明確なメッセージでしょう。そしてその優しさを持ったのび太はしずかとハッピーエンドを迎えることが出来ます。弱く優しい人間を愛し続けた藤子F先生ならではの名編と言えるでしょう。
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