太陽系第三惑星・地球。この星の様子を遠い宇宙から何物かが見ていた。その連中は地球の木々が急速に失われていることに驚き、調査隊を派遣すること決定したが、その事実に気づいた地球人は誰1人としていなかった。
団地を作るために切り崩されていく裏山を複雑な思いで見つめるのび太。のび太は裏山が大好きなのだが、そのうち裏山で遊ぶこともできなくなってしまうかも知れないことを悲しむ。小さな苗木を見つけた2人は掘り返して家の庭に埋めようとするが、ママにそれを注意されたためにのび太は困り果ててしまう。そこでドラえもんは「植物自動化液」をかけて、木が自由に動けるようにする。
キー坊という名前を付けたのび太は、キー坊にエサである肥料入りの水をあげたり、字を教えてあげたりして仲良くなっていく。キー坊ものび太を慕うようになり、学校から帰ってきたのび太を待ちかねていたように飛びつき、のび太と一緒にマンガを読むようになった。
夜、のび太達と一緒にテレビを見ていたキー坊は、ちょうどその時に降ってきた雨にうたれたがり、喜びながら普通の木のように雨にうたれる。ところがそんな雨降る夜空を、一つの円盤が飛んでいた。
地球を調査していた円盤は宇宙空間に停泊していた大型宇宙船の中へと戻っていく。その中にいたのは以前から地球を観察していた植物型宇宙人だった。宇宙人は報告から得たデータを下に会議を進め、その中で地球の植物の実態が紹介された。地球を支配している人間達によって地球全土の植物が次々と切り倒されていき、このままでは地球植物が絶滅してしまうという。植物が出す「酸素」という恩恵を受けていながらそのような暴挙を続ける人間に味方するものは1人もなく、彼らは地球の植物を救うために全ての植物を宇宙に運び去る計画を実行に移すことにした。母船から地球を目指して続々飛び立っていく小型円盤。
キー坊はマンガに飽きてしまい、パパの書斎から難しい本を持ってきたり、新聞を読んだりしていた。キー坊をもっと日に当てようと考えた2人は、キー坊を故郷である裏山に連れていく。喜ぶキー坊を楽しそうに見つめる2人だが、裏山の木が伐採されることについての2人の会話を聞いたためにショックを受けたキー坊はどこかへ行ってしまい、夜になっても見つからない。弱る2人だが、その時突然、周りの木々が空中に吸い上げられ始め、2人も一緒に吸い上げられてしまい、円盤の中に収容されてしまう。
円盤の中で気がついた2人の所に植物型の宇宙人が現れ、ドラえもんは地上に戻すことを要求するが、彼らは自分達の計画を守るために2人を地上に帰さないと言う。彼らの計画を聞いた2人はそれを止めさせようとするが、宇宙人に捕まってしまう。なおも説得する2人の言葉にも宇宙人は耳を貸さないが、そこへキー坊が現れる。言葉を話すようになったキー坊は宇宙人に、地球の植物と動物は互いに助け合って生きていることを話し、確かに現状は自然破壊は止まっていないものの、のび太やドラえもんのように、それが間違いであったことに気付き始めてきている人間がいることを訴えた。そしてもうしばらく地球と人間を見守ってくれるように頼む。宇宙人は母船とテレパシーで連絡を取り合い、計画を取りやめることにする。百年後、今よりももっと植物が失われていたらまた戻ってくると言い残し、2人を地上に戻してくれた。
地球に無事帰ってきた2人だが、キー坊は進化した植物文明を見るためにこの円盤と一緒に宇宙に行くと言う。地球を救ってくれたキー坊に感謝し、笑顔で見送る2人。だが家に帰ってみると、帰りが遅いことでママに叱られてしまうのであった。
(解説)自然の破壊と保護。これは中期以降のドラえもんが訴えてきた子供たちへのメッセージであり、同時に作者自身のメッセージでもありました。現在においても当時ほどではないかも知れませんが、自然破壊そのものはまだ止まってはおらず、自然を保護するための具体的な行動もまだ不透明なままです。自然を守るための答えが出ていない現代においては、宇宙人達の方にまだ分があるかも知れません。しかし、作者は決してそこで諦めてはいません。世界中の人間が自然を大切にすると言う気持ちに気付くことが出来る可能性を信じる、その想いをキー坊に託し、自然を守るのは大規模な機械でも政治家でもなく、のび太のような普通の子供が、小さな木を愛おしむ心であるということも訴えています。作中に込められた明確なメッセージ。これを受け取った我々読者がどう行動するか。その答えは来る21世紀に出ようとしています。あまりに強いメッセージ性から、いつもとの雰囲気の相違を感じる方もいるかも知れませんが、「日常と非日常」を明確に区別したオチはきちんと存在しており、この感覚があればこそ、今作はただのエコロジーマンガではなく、「ドラえもん」たりうるのです。
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