・その1 時間写真のなぞ
夏休みでも毎日ごろごろするのび太。そろそろ宿題の事で騒ぎ出すと考えたドラえもんは一切手伝わないと決めるが、のび太は大学生になった自分を連れてきて宿題をさせる。あとは社会科の「町の歴史を調べる」という宿題だけだが、タイムマシンでは調査しきれないとドラえもんに言われ、結局ドラえもんに泣きつくのび太。ドラえもんは「時間カメラ」を取り出し、過去の写真を写してきて、大きな事件があればその時代へ行こうと言う。どんどん写真を撮っていくが、カメラが637年前についた時、カメラが戻ってこなくなった。二人は最後の写真に写っていたものを引き伸ばして見ると、なんとそこには宝物を運ぶ桃太郎と仲間達の姿が写っているのだった。
・その2 へんな外人のなぞ
何かでもめている友達を見かけたバケル。外人が倒れていると聞いたバケルは話しかけてみるが、やはり言葉が通じない。外人の人形に乗り移ったバケルは外人を家に誘い、ごちそうを食べさせる。オランダから来たというその外人は、600年ほど前から家に伝わっているという古い絵に描かれている人物が日本の侍のような身なりのため、手がかりを求めて日本に来たという。その絵=写真に写っていたのは桃太郎だった。バケルは悩んだ末にドラえもんに相談に行くのだった。
・その3 桃から生まれた○○○
自分たちの写真とバケルの写真を見比べ、真実を知るためにタイムマシンで637年前の世界へ行くことを決意するドラえもん。だがその途中、いきなりマシンが光り、すると唐突に目的地に着いた。ドラえもんは二人に何かを話そうとするが止め、桃太郎を探しに行く。
だが村どころか犬さえも見つけられない。夜になってバケルは犬に変身して匂いをかぎわけ、ついに村を見つけるが、鬼退治の落とし穴に三人とも落ちてしまう。「モグラ手ぶくろ」で脱出した三人だが良い考えが浮かばないために、バケルはユメ代に変身して、川を下って海に行くアイデアを考える。ドラえもんは絶対沈まない「モモボート」を出して川を下るが、途中で滝に巻きこまれ、のび太だけはぐれてしまう。しかも村人に狙われているため、ドラえもん達もうかつに動けない。
一方ののび太はモモごと老夫婦に拾われ、桃から生まれた桃太郎と呼ばれてしまう。鬼が島へ行こうとするのび太に老夫婦は鎧ときびだんごを渡して出発させる。
海岸へ向かうのび太の前に、言葉を話すキジとサルが現れた。だが2匹はドラえもんとバケルの変装で、村人に追われているために変身していたという。しかもタイムマシンが壊れているという衝撃の話をドラえもんから聞いた二人は帰る方法はないのかと尋ねるが、ドラえもんは何もないという。結局鬼が島に向かった三人は「熱線じゅう」「光線じゅう」「原子核破かい砲」を持って鬼を迎え撃つ。三人の背後から鬼が襲いかかるが、ネズミに驚いたドラえもんの体当たりを受けて鬼は気絶してしまう。バケルが犬、ドラえもんはサルに変身して記念写真を撮ろうとするが、また現れたネズミを見てドラえもんが大声を上げたためにみんな驚いて飛び上がってしまい、オランダ人が持ってきた写真と同じ物が出来あがった。その時起きあがった鬼を見て、バケルが外人に変身して話しかけると、その鬼はオランダ人の船長だった。この人は日本に漂着してしまい、怖がった人間がこの人を鬼と勘違いしていたのだ。寂しがり、故郷を想う船長に同情した三人はどこでもドアで、写真を渡してから船長をオランダに送る。
しかし三人には現代に帰る方法はない。宝を持って戻ってきたのび太達だが、その時にドラえもんは時間カメラを発見した。これにしがみついてやっとのことで現代に帰ってきた3人。しかしのび太は、宿題にこんな事を書いて、先生が信じてくれるかどうか悩むのだった。
(解説)一応説明しておきますと、「バケル」と言うのは藤子F先生の作品である「バケルくん」の主人公でこの話が掲載された1975年は「小四」誌上で「ドラ」と「バケル」が同時連載されており、さらに「ドラとバケルともうひとつ」という企画ページが1年間に渡って連載されていたのです。この話はその企画ページの中で掲載された話です。
で、当のお話は、昔話と現実の交錯、タイムパラドックスなど、「ドラえもん」の持つ世界観を遺憾なく発揮した力作です。バケルも違和感なくドラ世界に解けこんでおり、実に楽しい仕上がりになっています。後の大長編のような「過去での冒険」物のルーツとも取れますが、「日常世界から逸脱しない」というテーゼもこの時点で既に完成されているようです。それを代表するのがラストののび太のセリフでしょう。
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