年に二度か三度の、のび太大反省の日が再びやってきた。やる気満々で下校するのび太はジャイアン達からの野球の誘いも断るが、逆に2人にバカにされたために早々にやる気をなくしてしまう。
家でいつも通りに昼寝をしようとするのび太だが、何故か昼寝用の座布団がすでに取り出されており、読みかけのマンガが机の上に置きっぱなしになっていた。さらにのび太のおやつも誰かに食べられてしまっており、機嫌を損ねたのび太は裏山へ行って心を落ち着かせようとするが、いつもの場所には見たこともない初老の男が寝そべっていた。のび太の名前をズバリ言い当てたその男は、何と自分が45年後の世界から来たのび太自身だと言う。
そこへドラえもんが「入れかえロープ」を持ってやってきた。45年後ののび太は、遠い少年時代の雰囲気をもう一度味わいたくて、ドラえもんに無理を言ってこの時代までやって来たのだ。現代ののび太の姿と入れかわった45年後ののび太は、喜んで街中を散歩する。現代ののび太は自分が将来どんな人生を歩んでいくのか聞こうとするが、知るのを怖がって聞くのを止めてしまった。
途中で野球に誘われたのび太は喜んで参加するが、45年経っても運動神経は鈍いままのようで、ヘマばかりやらかしてしまう。怒るジャイアンだが、のび太は「大人」の立場から2人に話しかけたために、ジャイアン達は調子を狂わされてしまう。次にしずかを見かけた45年後ののび太は涙を流して喜び、未来の彼らの息子であるノビスケがスペースシャトルで月へハネムーンに行ったことを話すが、わけのわからないしずかは困惑するばかり。
帰宅したのび太は宿題をしていなかったためにママに叱られてしまうが、それさえも懐かしんだ45年後ののび太はまたも泣いて喜び、帰宅したパパと会っても喜び、お袋の味に舌鼓をならす。
一日が終わり、未来に帰ることにした45年後ののび太は、お礼に宿題を手伝おうとするが、現代ののび太はそれを断った。それを見て感心した45年後ののび太は、これからの人生でどんなに大変な目にあってつまずいても、そのたびに立ち直ることが出来る強さをのび太自身が持っているということを話し、未来に帰っていった。それを聞いて少し未来に希望を持ったのび太は、進んで宿題を始めるのであった。
(解説)今までにも「大人ののび太」が出てくることは多々ありましたが、ここまで高齢ののび太が出てきたのは最初で最後です。今話は初老の域に差しかかったのび太が昔を懐かしむというノスタルジックな面を強調していますが、やはりそれ以上に伝えたかったことは、のび太という少年のある意味での「成長物語」の決着だったのではないでしょうか。もちろんこれからのび太がどんな人生を歩むかはまったくわかりません。しかし、どんな人生を歩んでもそれに立ち向かっていける強い心をずっと持ち続けている事が出来る。そういう人間にのび太は成長したのです。思えば初めてドラがやって来た時、のび太の運命は悲惨なものでした。それを変えたのはドラの介添えもあるのでしょうが、一番の理由はのび太自身の内なる成長だったと思います。目には見えない、しかし確実な成長を具現化した存在として、「45年後ののび太」は描かれたのではないでしょうか。紆余曲折はあったにせよ、ささやかな幸せを得ることが出来た45年後ののび太。それは言いかえれば、どんな人でも必ずささやかな幸せを手にすることが出来るという、作者からの優しいメッセージだったのかもしれません。
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