江戸プロフェッショナル 必殺商売人
1978年2月17日〜1978年8月18日 全26回
☆オープニングナレーション
春には春の花が咲き
秋には秋の花が咲く
私の花は何んの色
咲くならそっとスミレ色
目立たぬように咲きましょう
目立てば誰かが手折ります
手折られ花は恨み花
涙色した風下さい
涙色した水下さい
(作:早坂暁 語り:桜田淳子)
☆主題歌
「夢ん中」
作詞:阿久悠、作曲:森田公一、編曲:EDISON、歌:小林旭
極めて高い完成度を誇り、主水サーガのみならず必殺シリーズ全体としても一つの頂点を極めてしまった「新必殺仕置人」。その後の主水サーガ作品として制作されたシリーズ第12弾。「新仕置」で主水自身の裏稼業人生においても一旦の終焉を描いてしまったため、今作ではさらにいくつもの新機軸、新設定を導入することになる。
その最たるものが主水の妻・りつの懐妊である。これにより主水は仕置人として生きると同時に、やがて生まれてくる子供のために生きる一人の男性として描かれることになった。さらに裏稼業に生きるために夫婦の関係を断つことにした新メンバーの新次とおせいの2人を、裏稼業を続けながらも家庭を持つ主水とのネガティブイメージとして描くことにも成功している。
もう一つの特筆点としては、パロディ要素の本格的な導入が挙げられる。もちろん歴代作品にもある程度パロディ要素を導入している場合もあったが、今回はそれらの要素が作中のギャグとして、あるいはストーリーそのもののテーマとして利用されたりしている。後の「仕事人」以降に繋がるバラエティ路線の方向性がこの時点で指し示されたと受け取ることもできる。
他には歴代作品の劇伴をずっと担当していた平尾昌晃が一旦スタッフから外れ、新たに森田公一がその任についたりといくつかマイナーチェンジがあったものの、今作はさすがに黄金期の諸作と比べるとパワーダウンを感じるものの、決して駄作ではないパワーを発揮している。それが脚本、演出陣に彩られたハイレベルのストーリーであり、歴代屈指の激しさを持つ殺陣などに象徴されている。
今作は硬軟おり混ぜた佳作・秀作を連発して最終回へと至る。そこでは人の親となることが叶わなかった「中村主水」という1人の人間が改めて描かれる。そこには裏稼業に生きる人間が人並みの幸せを得ることも出来ない悲しみがあった。そして主水は次なる主水サーガ作品「必殺仕事人」まで、しばしの休暇を与えられることになるのである。
☆登場人物
中村主水(演・藤田まこと)
「新仕置」での解散劇を経て、鉄や巳代松といった仲間達と別れた今作の主水は例によって昼行灯として疎んじられており、時たま残留組である正八とつるんだりしていたが、裏稼業からは完全に足を洗っていた。しかし妻の懐妊、そして江戸に新たな仕置人が現れたことにより運命は急転、再び因果の道を歩き出すことになる。
今作では仕置人(商売人)として生きると同時に、生まれくる子供の父親になるという事実が存在しているため、それに対する戸惑いなどが描かれることも多かった。新メンバーである新次達とは、彼らが仕置人としても1人の人間としても既に完成された人格を持った大人であるため、時には反発しあうこともあったものの、次第に確固たる仲間意識を築くようになる。
結局最終回ではまたも親しい仲間を失い、更に生まれたばかりのわが子まで失ってしまう悲劇に見舞われてしまう。
新次(演・梅宮辰夫)
江戸の色町で箱屋と言う芸妓の身の回りの世話をしている男。主に髪結いの仕事を担当し、裏稼業における得物もその際に使う髪結櫛である。初期では櫛の歯を折って残った歯で延髄を刺していたが、後に櫛の柄を使って急所を刺す方法に変更する。更に抜群の腕力を用いた格闘術も体得しており、帯を使って相手を牽制したりもする。
気風が良く親しみやすい性格で、世代を問わず知り合いが多く人気も高い。かつてはおせいと夫婦の契りを交わしていたが、4年前に京都で犯した裏稼業の失態から縁を切り、裏稼業からも手を引いていた。1年程前に江戸に舞い戻って裏稼業を続けていたが、十手を持ち、更に家庭を持ちながらも裏稼業をしている主水を最初は信用しなかった。
次第に主水も自分と同様に熱い心を持っていることを知って仲間と認め合うが、それでも仕置人が人の親になることに対するこだわりを捨て去れなかったらしい。最終話で外道一味に捕らえられたおせいを救出すべく、子供が生まれたばかりの主水を制して単身敵地に乗り込むが、敵の放った矢を首に受けて絶命した。
おせい(演・草笛光子)
新次と共に裏稼業を行っている女性で、かつては新次とは夫婦の関係であった。以前江戸にいた頃は飛脚屋を経営する一方で「仕事屋」稼業を行っていたが、生き別れた息子である政吉を失い、仕事屋チームを解散した後で新次と出会ったらしい。
新次と同じく色町に出入りして踊りの師匠を務めており、厳しくも優しいその人柄は色町の女性たちから慕われている。殺しの得物は短刀や刃を仕込んだ扇子など、その場合に応じて様々な武器を使用する。4年前に京都で間違った人間を仕置してしまい、その苦い体験から足を洗い、そして新次との夫婦関係も断っていた。
かつての解散劇を経験しているためか、メンバー内では厳しい意見を言うこともあるが、その一方で弱者には情をかけすぎるといった面も見受けられ、それ故に主水と反発しあう場合もあった。
最終話では闇の世界の生贄に祭り上げられてしまい、そのために今度は自分の愛する男を失うという悲劇に見舞われることになってしまった。
正八(演・火野正平)
「新仕置人」時から主水たちと共に行動していた情報屋。新仕置チームが解散した中で、唯一主水以外で江戸に残って、今回は絵草子屋の代わりに足力屋の仕事をするようになっている。町外れの高灯台に住み着き、そこが商売人のアジトになっている。
性格や行動は以前とまったく変わりなく、逆にそれ故に当初は反目する主水と新次・おせいの間に立ってショックアブソーバー的な役割も担っていた。主役編こそないものの、情報収集のために縦横無尽に走り回る姿は印象的。
最終話以降の消息は不明。
秀英尼(演・鮎川いづみ)
往来の人々から報謝金を集めている尼僧。「皆さま、ご報謝を」が決め台詞。奉仕活動の一環なのか、自分の住む寺に身寄りのない子供を集めて育てている。
正八に惚れられてしまって当初は嫌がっていたものの、次第にその気になっていったようである。真面目な性格ではあるが酒を飲むと性格が変わる。最終話で彼女の父親も殺し屋であり、彼女も独自の情報網を持っているらしいことが判明する。
中村せん、中村りつ(演・菅井きん、白木万里)
今作ではりつの妊娠という今までにない事態が勃発したため、生まれてくる子供のために色々準備をする様子が描かれ、それらが微笑ましいものとなっていた。それだけに最終話の悲劇は涙を誘う。
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