必殺仕事人

1979年5月18日〜1981年1月30日 全84回



☆オープニングナレーション
一掛け二掛け三掛けて
仕掛けて殺して日が暮れて
橋の欄干 腰おろし
遥か向こうを眺むれば
この世はつらいことばかり
片手に線香 華を持ち
おっさんおっさん どこ行くの
私は必殺仕事人
中村主水と申します
「それで今日は、どこのどいつを
殺ってくれとおっしゃるんで」
    (作:早坂暁 語り:芥川隆行、藤田まこと)

☆主題歌
「浜千鳥情話」
作詞:茜まさお、作曲:平尾昌晃、編曲:竜崎孝路、歌:金沢明子


 前作「うらごろし」の視聴率低迷は、シリーズそのものを打ち切りにまで追い込んでしまっていた。そのために今作は必殺シリーズ第15弾でありながら、シリーズ最終作として制作される事となった。
 今作は前作で描かれた荒唐無稽な世界観を継承せず、必殺シリーズの原点に立ち返る姿勢を貫く事を目的とし、重厚な人間ドラマとリアルかつ派手な殺陣を描いて、必殺本来のスタンスを回復させた。しかし、出演陣の様々な事情により、元締格の人物が相次いで交代するという事態が発生してしまい、三田村邦彦演じる仕事人・秀の人気が徐々に高まっていった事もあり、スタッフは大幅な路線変更を実行、ストーリーの単純化と華麗さを追及する殺し技を作品の二本柱とし、より一般視聴者に受け入れられる体制を整える事となった。
 これにより、単純に仕事人たちのパワフルな殺しにカタルシスを感じる事が出来る作品へと変貌を遂げた本作は大人気を博し、結果、シリーズ最長の全84話を記録するに至った。これには前述した話の単純化と秀人気の相乗効果もあるものの、秀と左門の派手な殺しの後に主水が渋みを発揮しながら静かな殺しを披露するという、「殺しのパターン化」も貢献していると言えるだろう。今作により、必殺は老若男女全てに受け入れられる「娯楽時代劇」へと、見事な変身を遂げたのである。
 今作の大人気により必殺シリーズは打ち切りの危機を免れ、これ以降も連綿と作品が制作されていく事になったということは、今さら語るまでもないことであろう。本作が後続作に与えた影響は絶大なものがあり、以降の作品は程度の大小こそあれ全て今作の影響を受けていると考えて間違いない。それについての是非はともかく、今作がシリーズ全体のターニングポイントとなったのは紛れもない事実である。


 ☆登場人物

 中村主水(演・藤田まこと)
 「商売人」チーム解散後、日頃の昼行灯ぶりが祟って八王子の甲府勤番所に左遷させられてしまっていたが、裏稼業の大元締である鹿蔵の策略によって江戸の定町廻りに復帰、これまで死んでいった仲間のことを考えて復帰を一旦は躊躇するものの、鹿蔵の言葉もあって裏稼業に復帰する事となる。
 鹿蔵が旅に出た後もおとわや六蔵といった新たな元締に仕えて仕置を行っていたが、次第にチーム内での事実上の元締として仲間を仕切るようになる。必殺の剣技にはいささかの衰えもないが、後半になると太刀での剣戟から小刀による一突きなど、いわゆる「省エネ殺法」へと方法も変わっていく。
 最終的には汚職の隠蔽を目論む奉行を仕置する中で左門の妻が殺されるという事態が発生し、そのままチームを解散することになってしまう。

 畷左門(演・伊吹吾郎)
 妻に乱暴を働こうとした家老を斬ったことで、妻子と共に脱藩した浪人。その家老と主水が瓜二つであった事から鹿蔵と知り合い、逃げるのではなく生きるため、そして妻子を守るために仕事人となって生きる事を決意する。
 胴太貫を用いた居合切りを殺し技として使用していたが、ある事件をきっかけに侍に失望、それからは髷も切っておでん屋を開業、殺し技も怪力を生かした腰骨外しに変更、人体二つ折りといった超荒技も頻繁に披露した。
 素顔は大変優しい人物であり、妻の涼と娘の美鈴を何よりも大切にしている、家族思いで子煩悩な好人物。だが年齢ゆえに世間の厳しさも熟知しており、感情だけで突っ走ろうとする秀を殴り飛ばす事もしばしばあった。
 最終話では悪事の証拠を記した文書を家族に持たせた事が仇になってしまい、涼は殺され、美鈴も記憶を失ってしまう。そして最後には美鈴を連れ、もう二度と江戸に戻ってくるなという主水の言葉を背に受けて巡礼の旅に出た。

 秀(演・三田村邦彦)
 左門と同じ長屋に住んでいる飾り職人で、腕も良く品物の人気も高い。しかし裏では彼も闇の仕事人であり、現在は足を洗っていたものの、悪党に殺された親友の仇を討つために鹿蔵や主水たちと一度限りの協力する事になる。しかし相手を殺しても泣き続ける頼み人の姿を見て、殺しはスカッとするものであるという自分の価値観を覆されてしまい、主水たちと組む事を自分から申し出る。
 殺しの得物には当初は簪作りに使うノミを使用していたが、後に金属製の房がついた簪を使用することとなり、相手の頚椎や額などの急所に簪の先端を刺し込む。
 若者らしく血気盛んな一面を持ち、一人で先走ったために主水や左門に殴られる事もしばしばあったが、根は弱者や友人に優しい好青年。それゆえ弱者を踏みにじる横暴な権力には激しい怒りを燃やす。そのため権力のある立場にいる主水に憎まれ口を叩く事も多かった。意外に将棋が好きらしい。
 最終話で左門一家の悲劇を目の当たりにし、チーム解散と同時に自分も江戸を去っていった。

 鹿蔵(演・中村鴈次郎)
 将棋会所の主人であるが、正体は闇の大元締。勘定奉行の稲葉と繋がっており、その関係で主水を八王子から江戸に復帰させた。彼を裏稼業に再び招きいれた張本人である。
 主水すらたじろがせるほどの貫禄を持っており、同時に裏稼業に対して確固たる自分の信念を持っている。得物には匕首や長縄などを使用。女房であるおとわに後を任せてからは家出娘のおりんと旅を続けたが、江戸に舞い戻って仲間を援助した事もある。

 おとわ(演・山田五十鈴)
 三味線引きを生業としており、鹿蔵の女房でもある女性。旅に出た鹿蔵の後を継いで元締となった。当初はかなり厳しく接していたが本来は付き合いやすい性格であり、幾たびか仕事を行ってからは主水たちとも打ち解けていった。仕込み三味線や撥などを使用して悪党を葬る。
 ある事件で実の妹をその手で仕置する事になり、その後は傷心のまま旅に出ていった。

 六蔵(演・木村功)
 木更津で網元と庄屋を努めている男だが、10年前までは現役の仕事人だった男。鹿蔵やおとわとも面識があるらしく、主水達の技量を測った上で身柄を預かった。
 殺しには一切加担せず、もっぱら木更津の海岸に作った「お助け地蔵」を訪ねる頼み人から依頼を受けるのが仕事だった。最終話で解散を決定したのも彼のようである。

 半吉(演・山田隆夫)
 鹿蔵配下の情報屋。標的の情報を集めるのが仕事で、表稼業は流しの張替え屋である。出会茶屋の中居を務めているおふくとつきあっているが、中盤でおふくとも死に別れてしまった。
 鹿蔵が旅に出てからもおとわに引き続き使えていたが、外道と化した昔の幼なじみに利用された挙句に殺されてしまった。

 加代(演・鮎川いずみ)
 質屋・上総屋で働いている女性だが、実は六蔵の配下であり、江戸と木更津の連絡役として行動している。男にだまされて身も心もすさんでいた時に六蔵に救われたという過去がある。
 口うるさいが情に厚い性格で、主人であるおしまとはいいコンビぶりを発揮していた。解散後はおしまと共に江戸を去っていく。

 おしま(演・三島ゆり子)
 六蔵の繋ぎ場である質屋・上総屋を取り仕切っている女主人。至ってお人よしな性格だが男好きの一面もあり、店に来る若い男にモーションをかける事もたびたびあった。
 加代とはいいコンビぶりを発揮しており、口ゲンカの際に言う「許せないわぁ」が口癖。最終話での解散後は加代と共に、駕籠に揺られて旅立っていった。

 中村りつ(演・白木万里)
 今回もキャラシフトに大きな変更は見受けられないが、後半になるにしたがって登場頻度が上がっていったのは作品の雰囲気の流れか。主水をいたわる描写も様々な場面で見受けられた。

 中村せん(演・菅井きん)
 主水いびりもますます好調になっていくと同時に、りつと共に漫才のような会話をすることも多くなっていった。物語と関係のない二人の会話は後続作にも受け継がれていくシーンとなる。



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