仮面ライダーBLACK

1987年10月4日〜1988年10月16日 全52回



☆主題歌
・オープニング
「仮面ライダーBLACK」
作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童 編曲:川村栄二 歌:倉田てつを


・エンディング
「LONG LONG AGO,20TH CENTURY」
作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童 編曲:川村栄二 歌:坂井紀雄



 第1作以来、何回かのブランクを挟みながらも、長期間に渡って製作されてきた「仮面ライダーシリーズ」。しかしそれも84年の「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」以来、新規の作品が製作されることはなかった。しかしライダーのビデオ、LD、CDの発売、ライダーを元にしたSDキャラクターの登場、マニア向けのムック本の発売など、その周辺事情はむしろ盛り上がっていき、その中からライダー復活の意識が高まってくるのはもはや当然とも思えることであった。そんな気運の後押しもあって、見事に80年代に復活を果たした新世代の仮面ライダー。それが「仮面ライダーBLACK」である。
 連続テレビドラマとしては「スーパー1」以来の作品となる「BLACK」には、必然的にこれまでの作品以上に新規の要素が加えられる事になった。これは、今まで「人造人間キカイダー」などの石ノ森作品で敏腕を振るっていた吉川進プロデューサーが、初めてライダーシリーズの製作に携わった事からも明白である。さらに、この時期既に一つのジャンルとして確立されていた「宇宙刑事ギャバン」に端を発する「メタルヒーローシリーズ」の潮流も色濃く受け継ぐ事になり、特に「宇宙刑事シリーズ」で培われた、吊りを多用したアクション、ビデオ合成による大胆な画面作り、ホラー調の描写などが「BLACK」においても生かされることになった。主演俳優もスカイライダーの時と同様にオーディションで選出するなど、話題性も存分に作った上での、満を持しての復活となったのである。
 BLACKの形状は、歴代ライダーにつきものであったマフラーがなくなっているという、ある意味衝撃的なデザインであり、この事からも歴代の作品とはまったく異なるライダーである事が窺い知れる。作品世界も基本構造は、敵側の最強改造人間として作られた主人公が人類のために戦うというオーソドックスな骨子であるものの、親友と引き離された悲劇、同じ人間でありながら敵組織・ゴルゴムの傀儡となる人間達、そして各話に登場する怪人たちとの迫力ある肉弾戦、レギュラー、ゲスト双方の登場人物のきめ細かいドラマの挿入など、従来のシリーズの良質な部分を受け継ぎつつ、今までにない斬新な作品世界を完成させることになった。
 だが初期1クールの世界観をあまりにもアンダーな空気が支配してしまったために、「テレビ番組」としては受け入れられない面も表出してきてしまい、結果的に若干の路線変更を余儀なくされ、若者らしさを前面に押し出した光太郎の描写、新マシン・ロードセクターの追加、第三勢力・剣聖ビルゲニアの参入など、様々なイベントが投入される事になった。しかし作品の世界観そのものが破綻する事はなく、作品は光太郎の親友・信彦の変わり果てた姿・シャドームーンが登場することで大きく転換する。
 史上初の「悪の仮面ライダー」として誕生したシャドームーンは、キングストーンを内包するが故にBLACKと戦う宿命を背負っており、なおかつ彼の正体が信彦であると知るBLACKは戦うことが出来ない。この光太郎の苦悩のドラマは後半のキーとなり、子供向け作品には珍しく、かなり高次元な視点から描かれた光太郎の苦悩の描写は高年齢層にも絶大な支持を得た。また、シャドームーン自体のキャラクターも非常に完成度が高く、敵役として存分に魅力を放った存在となり、シャドームーンとブラックサンとの戦いは、原作者・石ノ森章太郎が「サイボーグ009」以来の作品モチーフとしてきた「神々の戦い」の領域にまで踏み込んだと言う事も出来るだろう。
 苦しい戦いの果てにゴルゴムを全滅させた光太郎は一人旅立っていく。数多くの新要素を取り入れたBLACKは、多少の路線変更こそあったものの、基本的には「仮面ライダー」という作品の基本テーマを描ききり、尚且つ「BLACK」独自の世界を確立させる事が出来た快作と呼ぶ事が出来るだろう。それは80年代という時代にも「仮面ライダー」という作品が通用する事を証明したことにもなり、その完成度の高さが功を奏したのか、今作は視聴率的にも二次的展開においても安定した人気を獲得、次作「仮面ライダーBLACK RX」の製作決定への原動力となっていくのである。


☆仮面ライダーBLACK☆

 暗黒結社ゴルゴムの象徴たる創世王の次期候補である世紀王になるべく、太陽の石・キングストーンを埋め込まれた19歳の青年・南光太郎が変身した改造人間としての姿。胸に蛇と禁断の果実の紋章をいただく彼の正式名称は「ブラックサン」であるが、光太郎は自由の戦士「仮面ライダーBLACK」を名乗って、ゴルゴムと戦う事を決意する。
 その力の源はすべて体内にあるキングストーンに司られており、これによって第一次形態であるバッタ怪人の状態から、強化皮膚・リプラスフォームをまとってブラックへと変身する。その身体能力はゴルゴムの通常怪人を大きく上回っており、地上、水中などあらゆるフィールドで最大限の活動を行う事が可能。さらに敵の探査などに使われるマルチアイ、微小な音を探知するセンシティブイヤー、周囲の状況を把握するライダーセンサーなど、超感覚機能も充実しており、まさに無敵とも言える能力を備えている。
 さらにバッタ型改造人間の特性を生かすために強化筋肉・フィルブローンを備えており、これによって驚異的な跳躍や俊敏な動きなどを可能とする。さらにその足にエネルギーを収束させる事で放たれるライダーキックは、ゴルゴムの怪人たちを幾度となく葬り去っていった。それ以外にも敵の動きを封じるために使用したライダーパンチ、敵を切り裂く必殺の手刀・ライダーチョップなどの技も使用しており、これらはバイタルチャージやパワーストライプスによって、キングストーンのエネルギーを放出させる事で、威力を倍化させることが可能である。
 また、抜群のバイク操縦技術を持ち、バトルホッパーやロードセクターという、特徴の異なる二つのマシンを巧みに使い分けて、戦闘を有利に展開させている。
 ゴルゴムとの長い戦いの中で徐々に戦士として成長していくも、もう一人の世紀王であるシャドームーンとの激闘の中でついに戦死してしまう。しかしクジラ怪人の命のエキスを浴び、人々の願いを受けて復活。所懐を断ち切ってシャドームーンを倒し、ゴルゴムが生んだ世紀王の証たるサタンサーベルを用いて創世王に止めを刺し、長く苦しい死闘に終止符を打った。


☆バトルホッパー☆

 次期創世王候補である世紀王のためにゴルゴムが製作した、超高性能のオートバイであり、自意識を持つ生体メカ。たった一人で孤独な戦いを続けるブラックにとっては、まさに戦友と呼ぶ事が出来る存在である。
 精度の高い自己修復機能を持っており、破壊されても時間をかければ自力で修復する事が可能。ジャンプやウイリー走行、アクセルターンなども容易にこなし、最高時速500キロのスピードから繰り出される体当たり攻撃・ダイナミックスマッシュは、あらゆる障害物を破砕する。
 第21話ではクローン虫にとりつかれて、制御不能に陥ってしまった。原則的には世紀王の持つキングストーンに忠実に反応しているので、そのために最終決戦ではシャドームーンの傀儡になってしまうが、最後には自我を取り戻してブラックを庇って大破。ブラックに別れの言葉を残して絶命した。


☆ロードセクター☆

 元々はゴルゴム科学陣の一人であった大門洋一博士が製作した、人類壊滅用の破壊バイク。しかしゴルゴムへの加担を良しとしない博士によって、完成と同時に息子の明に託されていた。そして明と出会った光太郎がこの超マシンを受け取り、正義のバイクとして使用する事になる。
 高性能なRSコンピューターを搭載しており、これを用いて索敵や対象物の分析を行う事も可能。最高時速800キロをマークすると、マシン上部にアタックシールドが形成され、周囲にイオンバリヤーが発生して、搭乗者を高速による摩擦熱から防護する。この状態で行われる体当たり攻撃はスパークリングアタックと呼ばれ、その破壊力はダイナミックスマッシュ以上であり、そのスピードは三神官さえも翻弄させた。さらにはバトルホッパーとの協力攻撃・マシーンスクランブルを行う事も可能である。
 ビルゲニアが製作させた重武装マシン・ヘルシューターと幾度となく激闘を繰り広げ、最終決戦では戦死したバトルホッパーの代わりにブラックが使用した。次作「RX」では登場していないが、戦役後の去就は不明。


☆登場人物

 南光太郎・仮面ライダーBLACK(演:倉田てつを)
 東星大学・人文学部に通っていたごく普通の大学生。親友の信彦と共にサッカー部に所属していた。しかし彼は日食の日に誕生することで、ゴルゴムの世紀王となることを生まれながらに宿命づけられており、それに逆らった実の両親は彼が3歳の時にゴルゴムに殺され、以後は信彦の家である秋月家に引き取られて育っていた。
 19歳の誕生日に信彦と共に改造手術を受けてしまい、太陽の石・キングストーンを埋め込まれてしまうが脳改造寸前に脱出、三神官の追撃を改造された己の力を持って撃退し、養父である秋月総一郎からすべてを聞き、ゴルゴムと戦う自由の戦士「仮面ライダーBLACK」として、ゴルゴムとの果てしなき戦いに乗り出すことを決意する。
 普段は明るく爽やかな今時の若者であり、そのためか友人も多い。子供を愛し、危機が迫った時は自らを犠牲にしても子供達を守り抜こうとする。卓抜したバイクテクニックは、改造以前にプロレーサーである速水から教授されたものであり、この能力も最大限に発揮してゴルゴムに挑む。また不測の事態が発生しても冷静さを失う事は滅多になく、鋭い判断力を持ってゴルゴムの作戦や怪人の弱点を看破し、すぐさま行動に移る。
 幼い頃からの親友であった信彦のことだけが唯一の心残りであったが、その信彦がシャドームーンとして新生した時は、かつての親友との戦いを拒む一幕もあった。彼の持つ優しさこそが逆にブラックにとっては最大の弱点となってしまっており、それを利用したシャドームーンによって、一度は命を失ってしまう。
 クジラ怪人の協力で復活してからは、苦悩を断ち切ってシャドームーン、そして創世王を撃破し、ゴルゴムを壊滅させた。だが引き換えにすべてを失ってしまった光太郎は、一人新たなる旅に出る。だが、運命は彼に長い休息を与えてはくれなかった…。

 秋月信彦(演:堀内孝人)
 東星大学・理学部に通っており、光太郎とは小さい頃からいっしょに育ってきた親友。サッカー部ではお互いを良きライバルとしてしのぎを削っていた。滝竜介はサッカー部の先輩であり、彼の持つリュウシュートの体得を悲願としている。また、光太郎と同様にオートバイの運転も巧み。
 彼もまた光太郎と同じ日食の日に生まれた選ばれし人間であり、19歳の誕生日に月の石・キングストーンを埋め込まれる改造手術を受けてしまう。光太郎の無事を信じて、光太郎をあえて一人で脱出させるが、その時の影響が元で傷を負ってしまい、長い間覚醒する事はなかったが、長い眠りのときを経て、世紀王・シャドームーンとして新生した。
 信彦としての自我はシャドームーンによって抑制されており、表出する事はないが、47話では創世王の策略によって、一時的に自我ち人間の姿を取り戻す事が出来た。しかし結局最後まで自我を取り戻す事はなく、シャドームーンとしてブラックと戦い、ブラックに止めを刺されることを拒んで、自らのサタンサーベルで自決した。

 秋月杏子(演:井上明美)
 信彦の妹。朝霧女子高に通っている普通の女子高生だったが、父をゴルゴムに殺され、兄が行方不明となってからは自主退学し、光太郎の先輩である藤堂勝が経営していた喫茶店「キャピトラ」で働く事になる。
 シャドームーンこと信彦の唯一の肉親であるために、シャドームーンの早期復活を目算するゴルゴムに幾度となく狙われている。光太郎に淡い思いを抱いていたが、35話でブラックの正体が光太郎である事を知り、それからは信彦と戦わねばならない宿命を背負った光太郎を複雑な思いで見守った。
 ブラックが死亡してからは、ゴルゴムの脅威から逃れるために克美と共にアメリカへ脱出した。

 紀田克美(演:田口あゆみ)
 東星大学に通っており、光太郎や信彦の学友であり、信彦のガールフレンドでもある。キャピトラで働く事になった杏子を案じ、しばしば彼女の手助けをしている。
 優しさの中にも気丈さを備えており、行方不明の信彦の身を案じつつも、シャドームーンとなった信彦の言葉を幾度となく拒んでいる。杏子とは姉妹のように仲がよい。
 ブラック死亡の際は杏子と共にアメリカに行くが、ブラック復活の報を聞いても、運命に立ち向かう光太郎の邪魔になることを恐れて、日本へ戻らない決意を固める。

 滝竜介(演:京本政樹)
 16話で初登場したインターポール捜査官。本人曰く「はみ出し者」らしい。
 光太郎達と同じ東星大学にかつて在学しており、その際サッカー部で信彦にリュウシュートを教えたサッカー選手でもあった。抜群の射撃の腕を持ち、ウルトラクォーツをゴルゴムから守るために日本にやってきた。その際光太郎の変身を目撃し、共に戦う事を呼びかける。
 30話でも、バッタを撃退する神秘の力を持つ少女・ラナの護衛として再登場している。



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