帰ってきたウルトラマン

1971年4月2日〜1972年3月31日 全51回



☆主題歌
「帰ってきたウルトラマン」
作詞:東京一 作、編曲:すぎやまこういち 歌:団次郎、みすず児童合唱団


 「ウルトラセブン」終了と共に第一次怪獣ブームも終焉を迎え、テレビ特撮ドラマの世界も一旦の沈静化を迎える事となった。児童間におけるムーブメントは「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される妖怪もの、「巨人の星」などのスポ根アニメ等に移っていき、第一次怪獣ブームの牽引役を努めた円谷プロも所謂「大人向けの特撮ドラマ」を目指し、「マイティジャック」や「怪奇大作戦」「恐怖劇場アンバランス」などを世に送り出していた。しかしこれら新機軸は視聴者には十分に受け入れられず、さしたる動きを派生させる事なく終了するに至っている。しかしウルトラマンの人気そのものが消滅したわけではないのも事実で、円谷プロはウルトラセブンなどのキャラクターを利用した帯番組「ウルトラファイト」を制作、これによる人気復活の兆しを見越した玩具会社によって怪獣人形も再び発売されるようになり、人気再燃の前兆は徐々に見え始めつつあった。
 そんな中、円谷プロ内でもウルトラマン復活の気運が高まり、既に昭和44年の暮れには新ウルトラマンの企画書が提出されている。当初の内容ではかつての初代ウルトラマンが文字通り「帰ってくる」内容であったが、それは企画内容の変更と共に変化していき、最後にはまったく別のウルトラマンが再び地球にやってくる事となった。そして再びウルトラマンの勇姿を見ることなく、昭和45年1月25日に他界した円谷英二特技監督が直々に名づけた名前をそのまま頂き、「帰ってきたウルトラマン」が制作される事となる。
 本作は折からのスポ根ブームを反映してか、ウルトラマンを絶対の超人としてではなく、普通人と同様に悩み苦しみながら成長する人間として演出している点が特徴である。それは人間として最大限努力してから初めて変身可能となる主人公・郷秀樹の変身プロセスや、第1話における郷とウルトラマンの出会いに顕著である。さらには坂田兄弟との交流に代表されるホームドラマ性、「怪奇大作戦」などで打ち出したリアルSF性など、いくつもの新機軸を盛り込んで、満を持しての放映開始となったのである。
 本作は開始当初から怪獣と防衛チームのリアルな攻防戦、主人公の人間的成長など、骨太なドラマを重厚に描いていったが、それが当時のメインターゲットたる子供たちに必ずしも素直に受け入れられなかったと言う現実もあり、視聴率的には苦戦を強いられてしまう事になる。そのため2クール突入の時点で番組はいくつもの強化策を打ち出すことになり、バラエティー豊かな怪獣、マットの新兵器、歴代ウルトラ戦士の登場、ウルトラマンのパワーアップなどが目白押しに展開、視聴者の興味を引くと共に、従来通りの人間ドラマもきちんと描いていった。
 「人間ドラマ重視」という本作の方向性は終盤に至っても変動する事はなく、それはむしろ序盤から中盤において作品の中核を担っていた坂田健、アキの兄妹の退場によってより顕著なものとなっていく。これ以降の4クールでは作品世界を極めて暗い空気が覆い、怪奇な世界の中での人間ドラマ構築が目指された。同時に1話に2体の怪獣や宇宙人も登場させて、娯楽性との均衡もギリギリの段階で保つ事に成功している。
 そして迎えた最終話では、人間として、そしてウルトラマンとして雄々しく成長した郷秀樹が、地球を捨てて宇宙のために旅立っていく姿と、成長の証として一人で生きていく決意を見せる次郎少年の姿を描いた。本作はウルトラマンさえも等身大の存在として位置付け、その上で人間ドラマを展開させていった野心的な作品であった。その全てが作品内に反映されたとは言いがたい面もあるが、本作が後続作品に与えた影響もまた大きいものである事は間違いない。まさに新たなるウルトラマンの日の出となった作品であろう。


☆帰ってきたウルトラマン☆

 身長40メートル、体重3万5千トン。地球から300万光年離れた位置に存在しているM78星雲・光の国の出身で、年齢は一万六千歳。
 長い眠りについていた地球の怪獣たちが再び目覚めるであろうことを予見し、地球と人間たちを守るために来訪、自分の命を捨ててまで少年と子犬を守ろうとした勇気ある青年・郷秀樹の心に感動し、彼に自らの命と力を託した。
 必殺技は初代ウルトラマンと同じくスペシウム光線。他にも八つ裂き光輪やシネラマショット、フォッグ光線やウルトラかすみ切りなど様々な技を習得しており、さらに郷秀樹の状態で訓練をすることで身に付けた肉体技をそのまま使用する事も可能。流星キックなどはその方法で会得した。地球にきた当初では重力下での空中戦闘が苦手だったようで、テロチルスとの初対決で苦戦してしまった。ベムスターとの戦いにおいてウルトラセブンから万能武器・ウルトラブレスレットを受け取ってからは無敵ぶりにますます拍車がかかり、ブレスレットを変化させたウルトラスパークやウルトラランス、ウルトラクロスやウルトラディフェンダーを用いて攻防共にブレスレットを生かし、さらにはブレスレットそのものを爆弾とするブレスレットボムなる荒技も披露した。
 唯一の弱点は歴代戦士と同じく3分間の活動制限。さらに太陽の光をエネルギー源としているため、太陽の光が弱まる夕暮れ時では十分なエネルギーを取得する事が出来ない。さらには郷と精神がダイレクトに繋がっているため、郷が何らかの形で精神的ダメージを受けた際には自分もその影響を受けてしまうことになる。
 数々の怪獣、宇宙人を撃破して行ったが、バット星人がM78星雲に送り込んだ宇宙船団を殲滅するために、次郎とルミ子に正体を明かし、次郎に「ウルトラ五つの誓い」を残して去っていった。


☆登場人物

 郷秀樹隊員(演:団次郎)
 元は坂田自動車工場に勤務していたカーレーサー志望の若者。タッコング上陸の際、子供とイヌを助けた代わりに致命傷を負ってしまうも、不死鳥のように生き返ったことから加藤隊長に見込まれてMATの隊員となった。
 その正体はウルトラマンであり、それ故に通常の状態でも驚異的な運動能力を有しており、各種競技において熟練者であるMAT隊員を負かすこともできる。さらにウルトラマン特有の超能力として、怪獣の鳴き声などをかすかではあるが聞き取る事も可能。だがウルトラマンになるには、彼が人間として最大限に努力してから出なければ変身する事は出来ない。しかしそれさえも克服し、中盤以降は若干自分の意志を混ぜて変身する事も可能にしている。
 基本的には落ち着いた優しい性格で若者らしい明るさも備えているが、発展途上であるために悩む事もしばしばある。女性の気持ちには鈍感なようで、恋人のアキをやきもきさせることも多かった。いざという時の行動力には目を見張るものがあり、一旦出した自分の意見は絶対に引っ込めない頑固さも持ち合わせている。父親は登山中に死亡してしまい、今は田舎で母が一人で暮らしている。
 最後にはウルトラマンと分離せず、そのままの姿でM78星雲に戻っていった。

 加藤勝一郎隊長(演:塚本信夫)
 MAT日本支部の初代隊長。郷をMATに勧誘した人物である。
 温厚で理知的な性格で、滅多な事では声を荒げるような事はないが、規律を重んじているので命令違反には厳しい。一方で責任感も非常に強く、隊員間に発生した亀裂を戻すべく、自らが現場に赴いて証拠を確認する事もあった。
 宇宙ステーションの隊長である梶と親友の間柄であり、彼がベムスター戦において死亡してからは、その後を引き継ぐ形で宇宙ステーションに転任した。

 伊吹竜隊長(演:根上淳)
 加藤隊長の後を受けて、ニューヨーク本部よりやってきた日本支部の二代目隊長。
 感情をストレートに発露する事が多く、しばしば隊員たちを叱咤する事もあるが、統率力、分析力、洞察力も高い上に操縦技術も抜群であり、ゴキネズラとの初対戦においてはマットアローを駆って撤退にまで追い込んでいる。だが人の良い面もあるので、ゼラン星人の巧妙な作戦にはまんまと引っかかってしまった。
 妻と一人娘の美奈子がおり、鬼隊長も娘には甘いらしい。

 南猛隊員(演:池田駿介)
 温厚な性格のMAT隊員。少年時代が弱虫だったためか、弱い立場の人間に同情する事も多く、しばしば内部で孤立する郷の側に立ってチームをまとめようと努力した。
 しかし内には熱い心を秘めており、ダンガー戦においては破傷風にかかりながらも怪獣に決死の戦いを挑んでいた。日常面におけるチームの副隊長格である。

 岸田文夫隊員(演:西田健)
 常に沈着冷静な隊員で、MATの岸田長官を伯父に持つエリート隊員。
 物理的な証拠やデータのみを信じ、それを元に作戦を立案するのが得意で、そのために感情論に走りがちな郷とは対立する事が多い。確固たる信念を持っており、それに対するプライドも責任感も大きい。それ故にモグネズン戦では自らが率先して戦いに赴いた。ケンタウロス星人の人間態・あかねとの淡いラブロマンスも経験している。

 上野一平隊員(演:三井亘)
 天涯孤独の身の上のためか、MATを実の家のように思っている隊員。郷とは一番歳が近いためか意気投合することが多いものの、反発する時には血の気の多さを発揮している。
 中盤以降はギャグも自在に振りまく好青年として描かれるようになり、チーム内のムードメーカーとして活躍していた。恩師である小泉博士の娘・チドリに好意を寄せているらしい。
 ちなみに視力は両目共に2.0。

 丘ユリ子隊員(演:桂木美加)
 MAT日本支部の紅一点。主にオペレーター業務を担当するが戦闘技能は高く、剣道においてはチーム一の実力を誇る。
 精神面はかなり丈夫であり、ナックル星人戦において操られてしまった隊員たちを前にしてもまったく取り乱さずに対処していた。フェミゴン戦ではその体を宇宙生命体に利用されてしまう。母親と同居している。

 坂田健(演:岸田森)
 坂田自動車工場のオーナーであり、郷を預かっている人物である。
 元々は自身もレーサーだったのだが事故により引退、グランプリ優勝の夢を郷に託して自作のマシン「流星号」を製作していた。その関係か力学系統の物理学に通じており、後に彼が考案したスタビライザーが試験的にマットビハイクルに取り付けられている。
 ナックル星人戦においてウルトラマン打倒のために、妹のアキ共々殺されてしまう。

 坂田アキ(演:榊原るみ)
 坂田健の妹で郷のガールフレンド。極めて普通の今時なお嬢さんで、職務に忠実なあまりデートがないがしろになってしまっている最近の状況を快く思っていない。基本的には素直で優しく、気は強いがいい人。母親のいない坂田家では一切の家事を取り仕切っているらしい。
 ナックル星人戦において、打倒ウルトラマンの犠牲となって殺される。

 坂田次郎(演:川口秀樹)
 坂田兄妹の末っ子で、元気で明るい現代っ子。子供たちの中でもリーダー格で通っているらしく、社交的な面も持ち合わせている。
 郷を人間としても男としても大変尊敬しており、机の上に郷の写真を飾っては毎日声をかけているらしい。好奇心も非常に旺盛で、彼の行動から事件の突破口が開かれる事も少なくなかった。
 最後には郷から正体を教えられ、五つの誓いを唱えながら郷=ウルトラマンを見送った。

 村野ルミ子(演:岩崎和子)
 ナックル星人戦以降に郷と次郎が住むようになったマンションで、隣の部屋に住んでいる女子大生。アキ亡き後の次郎にとっては姉代わりといった役どころで、郷に好意も抱いていたらしい。

 岸田防衛庁長官(演:藤田進)
 名前どおり防衛庁の長官であり、MATの日本における直接の統率者。岸田隊員の伯父に当たる人物でもある。
 任務に非常に厳しい人物であり、怪獣退治のためには甚大な被害を及ぼすスパイナーの使用も辞さないなど、冷徹なまでに作戦の指揮を執る。MATへの解散勧告を行う事も多い。

 佐竹参謀(演:佐原健二)
 岸田防衛庁長官についている秘書官的人物。基本的には長官の意見に賛同するだけで、長官の意志や命令を口頭でMATに伝える役割を果たす。キングボックル戦の際にも登場し、殺人事件の嫌疑をかけられた上野隊員を脱隊させるよう進言してきた。


ウルトラ紹介に戻る