月の満ち欠け 光の洪水 なれば汝の心を見よ




「……っ さむ・・・」
 外は暗くまだ肌寒い時間…。
 キルアはフッと目を覚ました…。
 何気なく隣を見るが、そこには誰も居ない。
「……。クラピカ…?」
 自分が寝ついたときには確かに居たはずのクラピカが居ない・・・。
 クラピカが居たであろうその場所を触ってみるが、すでに冷たくなっている。
 そこを抜け出してからかなりの時間がたっているようだ。
 どうしたもんかと思案するが、キルアはクラピカを捜しに行くことにした。
「何やってんだか。まったく・・・。」
 クラピカがこんな風に突然居なくなる事は良くある事で、大して心配はしていないのだが、なにぶんまだ寒い夜の時間である。
 おそらく薄着であろう人の為に上着を持って行くことにする。
 キルアはため息をつきながらもドアを開け寒い外へとクラピカを捜しに出かけた。



 クラピカを見つけるのにはたいして時間はかからなかった。
 そこは 2人の住む家から少し離れた林の中にある切り開かれた空間。
 昼間であれば、いろいろな花々が自らの美しさを競いあい太陽を目指して咲き乱れる、そんな場所…。
 今は夜である・・・。
 そんな花達もひっそりと花弁を閉じ、眠りについている。
 そこに、夜なを関係なく美しく咲く華のようにたたずむ 人・・・。
 キルアが捜すその人である。
 さながら絵画の一部であるかのようなその姿に、キルアは一瞬声が掛けられずにそこへ立ち尽くしてしまう。
「…?キルア…こんな時間にどうしたのだ?」
 キルアが声を掛けられずに居ると、クラピカのほうがキルアに気付き声を掛けてくる。
 ニコリと笑顔付きで掛けられた言葉で、キルアもハッと現実へと引き戻される。
「それは こっちのセリフだろ! 目が覚めたらクラピカ居ないから捜しに来たんだよ。」
 ほら、とクラピカに持ってきた上着を掛けてやる。
「そうか・・・それは悪いことしたな…キルア」
 そう 言いながらそばまで来ていたキルアを少し見上げるように微笑む。



 ハンター試験会場で始めてあったクラピカは14・5歳だった。
 身長もキルアより随分高く 彼が背伸びをしても追いつけないくらいだったのに。
 キルアの前に居るクラピカはあの日のまま・・・出会ったあの日の姿のまま、変わることなくキルアの前に居る。
 今では、キルアの方が背も高くなり、身体も大きくなってしまっていた。
 クラピカいわく。
 自分達が出会ったとき すでにクラピカの成長は止まっていたと言う事だ。
 おそらく一族が幻影旅団に時から…原因は精神的な物なのか、良くはわからないという。
 ただ 少女のように…少年のように…美しく未完成なまま 何も変わらない。
 漂う雰囲気だけが研ぎ澄まされ 今の姿に不釣合いなほど 大人びている…。



「……」
 クラピカがキルアの顔を見上げながら何かを口篭もる。
「何?…クラピカ?」
 キルアは身を屈め、クラピカの顔をのぞきこむようにする。
「あ、いや…また、背が伸びたのかなって…」
 そう言うと、フイッとキルアから顔をそらしてしまう。
「んー…。そうかなぁ」
わかんないや・…。
 キルアは笑って答える。クラピカの心の影に気付かないまま…。
「お前はそうやってどんどん大人になって行ってしまうのだな・・・。」
 クラピカはキルアに聞こえないほどに小さくつぶやき、ふらりとキルアの傍から離れて行ってしまう。
「ク、クラピカ・・・。」
 キルアは慌ててクラピカの腕をつかむと自分の腕の中へと引き戻す。
「どうしたんだよ 急に」
 クラピカはキルアの腕の中で、さっきと同じようにキルアを見上げると、なんでもないという様に微笑を浮かべて、かぶりを振るだけだった。
 キルアがクラピカを抱きしめる腕に力を込める。
「ん・・・キル、ア…?」
クルシイよ……?
 月の光に浮き上がるクラピカの顔があまりに綺麗で、このまま消えてしまいそうで……
 ただただ 夢中にクラピカを抱きしめる。
「クラピカ…消えるなよ……俺の前から…。」
 クラピカの抗議の声等聞かずもっともっと力を込めて抱きしめる。
 どこにも逃がさないようにと…消えてしまわないようにと・・・。
「・・・。キルア・・・私がどこに行くというのだ・・・。私は居るだろう…?お前の腕の中に、変わらない…ま・・ま・・・に・・・。」
何をそんなに不安がるのだ・・・ワタシヲオイテイクノハ…オマエダロウ……
 クラピカはキルアの胸に顔をうずめるように擦り寄る。 
「私はどこにも行かないよ…どこにも行けない・・・」
 過去も未来も私には無いのだから…
 お前といるこの世界が私の全てなのだから…。
 私はいつまでこのままなのだろう?
 キルアと出会ってからいったいどれだけの時間が過ぎてきたのだろうか・・・もう…わからない。
 歳を取れない、共に…イキテイケナイ………
「……………」
「クラピカ…?」
 また自分の思考の中へ入って行ってしまった思い人に声をかける。
「クラピカ…冷えるから早く帰ろう?一緒にさ。」
 クラピカをそっと包みこむように抱き寄せ囁く。
「…そうだな……帰ろうか………」
 キルアを見上げるように微笑み返す。
 二人は寄り添うように道を戻って行く。




今はまだ大丈夫…だから・・…
         
          まだ・・・平気、だから……


あの人がこの世から居なくなる時は一緒に連れて行ってもらうの…


共にイキテイケナイなら…共に…
      

                 だって…一緒にいてくれるって言ったから……。




      私がこの世から消えてなくなるときはあの人も連れて行くの……



エゴでも何でも良い…すでに私は狂ってる……
             スデニワタシハクルッテイルノ・・・・出口の無い…パラノイア…




でも、まだ大丈夫…だから…

           大丈夫………。
                     だから・・・



               
私はこの人と一緒に家に帰るの・・・


FIN


桜みつる
・・・・・・もうワケわかんない…
結構前に書いたヤツ…途中でほっぽいといたヤツを載せて見たり…(笑)
クラピカ女の子のつもりで書いたんだけど
どっちでもいいや。
ホントはさぁ・・・「子供作ろうか…」まで行く筈だったんだけど…
ま、いいか…。