央華封神・北徨篇
〔血祖は秋風より来る〕
〜第二話 英雄の遺産〜
 かつて、秀でたる者あり。彼は王となりて血を興す。
秀でたる者あり。彼は武人となりて禍を立つ。
 秀でたる者あり。彼は賢人となりて人を守る。
 今は彼の者喪われん。ただ後に、名を残さしむ。

 さて、初めての冒険を終え、少し成長の見られる道士達。やっぱり成長とは嬉しいもので、意気揚々として参りました。
 前の冒険からは9カ月。自作仙宝を作る段になって……みんな、勘違いしてるぅ。
 だからぁ、符しか作れないんだって。
書文 じゃあ『禁術符』は作れるんですね?
 後学のために、これは×。仙宝リストにあるものは『仙貝』と言って、御師匠様でなければ作れない。『自作仙宝』というのは、自分の学んでいる道統の中から術を選んで、高い行使値、良い条件で術が使えるように「符に込める」こと。
 何だぁ、と思うかも知れないが、『禁術符』や『護法一撃符』『変化猛虎符』はこの原理(高い行使値で術を封じる)で作られているのだ。つまり、時間と腕さえあれば自分でも作れるって事。少しは驚いたでしょ。
正日 そうだ。俺、符は作らなくていいですから、『風火輪』に乗っていったん洞に戻って、例の壺(前のシナリオの玉壺)を献上して、御誉めの言葉を戴いて帰ってきていいですか? ……いや、ナイスなあいてむ貸せ、とか言いませんから(笑)。
GM/金教主 「うむ、ご苦労。これからも我が国民のために尽くすように」(笑)
雷辰 《忘却毒》作ろう……。やりたい放題。
紅銀 これがいーなー。《変化半鳥飛翔》の符。
公翔 《祈願 三尸探憶》の符を作りまーす。
書文 《不能感》の符ができました。
茉莉 《我知空理崩守》の符にしとこうっと。

【一 流れ流れて……】

GM それでは毎度の如く、君たちは旅の空だ。厳しい山間を抜けて平原に出ようか、という所で、小さな邑に辿り着いた。
正日 ういっす。
GM 邑の名前は晏(あん)邑。人口は2〜300人ほどの邑だ。南門をくぐってみると、毎度おなじみで悪いんだが、兵士がうろうろしている。
雷辰 取り敢えず、邑の長らしき人の家に行って、宴を設けてもらいましょう。
GM いきなりかい(笑)。「大変申し訳ないのですが、ご覧の通りの小さな邑に小さな家でして、とても皆様をお泊めすることができないのです」と、王様はしどろもどろ。
茉莉 どこかに泊まれる所はありませんか?
GM/邑王 「村人の家に分かれて泊まってもらってもいいんですが、ここから南に約1日行ったところに、「盧(ろ)邑」という大きな邑がありまして。そこなら結構なもてなしを受けられるのでは?」
雷辰 ……この邑を素通りしたら、シナリオが崩壊しそうだ。
正日 かわいい子はいますか?
GM まあ、それなりには。
正日 よし、泊まり決定。
雷辰 男は男部屋、と(笑)。
茉莉 そういえば、どうしてこんなに邑が騒がしいんですか?
GM/邑王 「さきほどお話しした盧邑。あそこから兵士達が探し物に来てるんです」
茉莉 ふうん。じゃあ、その辺の盧兵を捕まえて「何を探しているんですか?」
GM/兵士 「実はですね、私たちは盧邑に伝わる宝剣を探しているのです」
正日 宝剣?
茉莉 盗まれるか、なくなったかしたの?
GM/兵士 「いえ、それが……昔から、どこにあるか分からない剣なんです」
茉莉 は?
雷辰 訳わからん伝承の中だけ、とか。
GM まさにそう。むかしむかし、盧邑の王の息子……つまり太子だね……が、妖怪を退治したときの剣があるらしいんですよ。
公翔 「こうでん」ですか、文書ですか? (国史学科らしい突っ込みだ)
茉莉 ちなみに「口伝(くでん)」だと思うよ。
公翔 はうーっ!(笑)
GM 主に口伝。文書も一応あるし、石碑だって立っている。
正日 民間伝承、柳○國男。(これはこれで、国文学科らしい)
GM/兵士 「で、我々は盧邑からはるばる派遣されて、宝剣捜しをしているわけです」
茉莉 何で宝剣がいるんですか?
GM/兵士 「……実はですね、盧邑に妖怪が現れたんですよ……」
茉莉 どんな?
GM/兵士 「いや、私が直接に見たわけじゃないんですけど、話によると格好は普通の人っぽいんだそうで。でも怪しい術は使うし、兵士が何人掛かっても勝てないし」盧邑に来るときは、必ず人の姿を取っているらしい。
正日 で、俺達が盧邑に行くと、勘違いされて迫害される、と。
GM/兵士 「ところでみなさんは、そういった宝剣の噂について、ご存じないですか?」
正日 チェックしていいんですか?
GM 振ってみてもいいけど、難易度は高いよ。(かなり高かったんだよ、これ)
全員 (ごろごろ)だめだな、これは。
公翔 裏にすると21なんですが。
GM 惜しいね。みんなが知らない、と言う素振りを見せると、兵士はがっかりしたように他を当たりに行くよ。
茉莉 どうする? こっちに泊まるか、盧邑に行くか。
紅銀 向こうに行ってみますか?
正日 行きたいんですね、いいでしょう。
GM 女に未練があるのか?
正日 いいえ、ぜんぜん。

【二 盧邑にて】

GM ほい、普通の人なら1日かかる道程を、君たちの足は半日ちょっとで踏破してしまった。ということで、盧邑です。前の津(しん)邑よりは遙かにでっかいです。
正日 迫害されそう。
GM 人口は800人に届くくらいかな。
正日 裏口からこっそりと(笑)。
GM 何でだよ、南門しかないに決まってるだろ。で、お決まり通りに門番が「止まれ、何者だ?」ちゃきっ。
茉莉 旅人です。
正日 国防総長です(笑)。
雷辰 あなたの為に祈らせてください。
GM 嫌じゃあ、わしは新興宗教にも、赤軍にも入りとうないんじゃぁ〜(笑)。
紅銀 疲れてるんで、宿をお借りしたいな、なんて。
GM/兵士 「……おまえ達、由孟(ゆうもう)君(くん)という名前に聞き覚えはあるか?」
雷辰 いいえ、まったく。
正日 あります(笑)。
公翔 この間の、双子の片割れですか? (ちなみに彼は津孟謙(しんもうけん)だよ)
茉莉 振っていいの?
GM 多分知らないと思います、知ってたら変。
正日 ああ〜、あるって言いてぇ〜(笑)。
GM 言ったじゃないか、さっき(笑)。みんなが知らないという顔をしてると、門番が「ふむ、通ってよし」と道を開けてくれるわけだ。
茉莉 その「由孟君」がどうかしたんですか?
GM/兵士 「えっと、いや、それは、あの……」
茉莉 あの、先程の村で兵士さんが漏らしてた、暴れてる人のこと?
紅銀 妖怪が現れたとか、聞いたんですが。
GM/兵士 「はっ! なんて事だ、情報管制が利いてないじゃないか!」
雷辰 そんなものを古代に求めても。
正日 ふっ、まだまだですな。所詮古代中国、近代民主主義には……(笑)。(社会主義じゃなかったのか?)
GM/兵士 「じ、じゃあ、仕方がない。……これは秘密って事にしといて下さいね」
茉莉 やだな、あなたから聞いたなんて絶対に……。(その笑みは一体?)
GM/兵士 「是非そうしてください!」さて、そんなこんなで門を潜った。中身もやっぱり津邑よりも大きい。ちょっとした店なんかもあるし、結構賑わっているんだが、やっぱり専門の宿はなくて、邑王の家に泊まるしか方法はない。
正日 油とか売ってませんか?
茉莉(のプレイヤー) やめい!(笑)
GM ほい、邑王の屋敷だよ。
雷辰 天下御免の行き倒れだぞぉ(笑)。(何なんだ、それは?)
GM んでは使用人が出てきて、君たちの身分を尋ねて、中に入れてくれる。身分はみんな偽るんだよね。
茉莉 だって、身分偽るの好きだもん(笑)。
正日 国防総長(笑)。いや、さっきの邑の将軍だって名乗るのも……。むしろ、傭兵ですかね。
雷辰 愛の伝導師(笑)。
紅銀 踊り子、踊り子〜。
GM/使用人 ……まあ、いいでしょ。「あまり豪華な宴は開けませんけれど、それでよろしければどうぞ」

GM さて、客間に通された。本来ならば邑王が挨拶に出るところなんだが、出迎えたのは王妃さんと4歳になる息子だ。
正日 ちっ。(いや、何が?)
紅銀 まあ可愛い。
GM すると子供は人見知りしてしまう。
茉莉 おいでおいで。なでなで。
雷辰 白蛇と緑蝗で脅かすぞぉ(笑)。
GM するなって。でも、どうやら懐いたみたいだ。そうこうしてると、奥さんが「あの、旅の御方とお聞きしましたが、この辺りの噂について、お詳しいでしょうか?」
茉莉 まあ、多少は聞いておりますが。
雷辰 (外野で)子供が4歳……ということは……。
正日 (これも外野)32くらいかな?
雷辰 (外野)もうちょっと早くなかったっけ? (奥さんの年か? 22、3だよ)
GM/王妃 「では、盧潤という者が振るった宝剣の噂はお聞きになったことがないでしょうか?」
公翔 それは……。
書文 先程の話のことじゃ……。
正日 いや、聞いてないっすね(笑)。
書文 聞いてます聞いてます聞いてます(笑)。
正日 そんな話、毛頭聞いておりませんね(笑)。
茉莉 あれは盧邑から来た人でしょ。あの人が知ってるくらいのことは、当然知ってるって。
正日 それに、手の内を全部ばらすのは良くないって。
GM/王妃 じゃあ、知らないで統一するね。「然様ですか……、あ、では部屋の手配をさせましょう」と言いながら奥に帰っていく。
正日 そこがチャンスだよ、公翔。
公翔 今度は何をやらせる気です? いろいろありますけど。
茉莉 その辺の召使いさんに、「旦那さんは?」と聞いてみよう。
GM/召使 「ど、どきいっ! 家、旦那様は今、あの、ご病気中です」
雷辰 ほほう、人には言えない病気か(笑)。
公翔 また怪しげな。えーと、早速で申し訳ないのですが、《祈願 三尸探憶》の符を使います。行使値7で(ころころ)10……。
GM 一般人は抵抗、低いんだよな……(ころころ)奇跡じゃ、抵抗しておる!(笑) というわけで、よくわかんなかった。使用回数を1回減らすように。
公翔 はうーっ。
GM さて、皆さんに部屋が割り当てられます。個室、二人部屋、なんでもいいよ。
正日 二人(笑)。
紅銀 二人。
書文 洸亮と同室で、趣味について語り合う。
GM ふんふん。では夕方になった。言葉通りに、宴会は開かれず、それなりに質素なご飯が出る。
正日 (囁き声で)薬を交ぜろ、薬を交ぜろ、薬を交ぜろ!(笑)
雷辰 (同じく囁き声)忘却毒忘却毒!(笑)
GM では簡単にご飯が終わるよ。
公翔 ご馳走さま。
雷辰 いやあ実に質素だ(笑)。
正日 こんな素朴な味は久しぶりですわ、ほんま(笑)。
GM 苛めてるだろ?
雷辰 もちろん(笑)。

【三 王妃のお願い】

GM はい、では食事が終わった直後くらい。奥さんも同席してたんだが、部屋に兵士が1人入ってきて、奥さんに耳打ちする。すると奥さんは「失礼いたします」と言って、外に出ていったよん。
雷辰 男と密会か?
公翔 奥さんの表層心理を探ります(《祈願 三尸探心》の術)。……(ころころ)11。
GM それじゃ抵抗できない。「困ったことになった」という想いが大半を占めている。「間に合わなかった、どうしよう」という気持ちもある。
公翔 間に合わなかったどうしよう〜?
GM うん。で、そのまんま奥さんは小半刻ほど、帰ってこないと思ってくれ。
紅銀 遅いわねぇ。
GM と思ってると、帰ってきたよ。
紅銀 あ、帰ってきた。(なぜか嬉しそう)
茉莉 何か心配事でもおありなんですか?
GM/王妃 「い、いえ、ちょっと……」
正日 食後の茶は出んのか(笑)
雷辰 ちょっと肩が凝ってて……(笑)
GM それは使用人に言ってくれ。奥さんに何をさせる気だ?
雷辰 もちろん、マッサージ(笑)。
GM/王妃 「……ちょっと気分が優れないので、申し訳ありませんが、これで失礼いたします……」と言いながら、奥に引っ込もうとしてるよ。
紅銀 私たちは医術も心得ておりますから、お体の調子が悪いのなら……。
正日 薬師がいますからね。
雷辰 いますねぇ。
GM/王妃 「いえ、別に身体の病では……」
雷辰 心の病気でも治しましょう(きっぱり)。ふふふ。
紅銀 こちらには占い師もおりますので、もしよければ……」
GM/王妃 「占い師がおられますの?」
茉莉 はい、占い師。
GM/王妃 では、奥さんは思い余った様子で「宝剣の在処を……」
茉莉 ほ、ほうけんんっ?
GM/王妃 「夫は無事なんでしょうか? 邑はこれからどうなるのでしょうか?」と、取り乱して泣きついてくるけど。
紅銀 おお、三本立て。
公翔 矢継ぎ早に……。
正日 金主席の下に来れば、全てが解決します。さあ、理想国家の実現を!(笑)
GM しねえと思うな(笑)。
紅銀 じゃあ、私の踊りで神秘的な雰囲気を醸し出して……。
全員 ちゃーちゃらっちゃちゃー、ちゃーちゃらっちゃちゃー……(笑)。(どうしてみんな知ってるんだ、上○颱風?)
GM いらんっつーの。(←一番乗ってた奴)とにかく、奥さんは非常に取り乱している。
茉莉 やはり、旦那さんは由孟君に攫われたのでしょうか?
GM ぼろぼろと涙をこぼしながら「実はそうなのです」と。何でも、3日前に忽然と消えてしまったそうだ。
紅銀 消えた?
茉莉 現場は?
GM 自室。朝起きたら、姿が消えてた。
雷辰 密室失踪事件。
GM で、王が消えた日の夜更けに、ちょっとした騒ぎがあった。屋敷に詰めてる兵士達が奔走する羽目になったのだが、どうも屋敷の中に鼬(いたち)が出たらしいんだ。
紅銀 鼬……妖怪仙人か?
正日 今回は禁呪かな、やっぱり。
雷辰 うーん、でも狐とかそういう類じゃないか。
正日 木行か。
雷辰 木行は……あれ、何に克されるんだっけ? (金行だよ。)
GM そして王が消えたその日の夕方に、初めて由孟君と名乗る男が邑に現れ、王の命と引き換えに、盧邑に伝わる宝剣と、羊肉20頭分を調理したものを寄越せ、と言ってきた。さっき席を外したのは、その受け渡しのため。羊のほうは用意できたけど、宝剣は見つからず仕舞だった。
公翔 しまった、立ち合っとけば良かった。《祈願 見気顕正》の術があったのに。
正日 傭兵、ということなら雇ってくれ、っていうのも可能ですね。
GM こっちは、薬師だの占い師だの、かなりの知能集団だと見てるからね。そういう怪しげなことに詳しい人々だと。
正日 プラス、無頼漢1名(笑)。
書文 僕は護衛なのかな。
雷辰 むしろ、「……あ、いたの?」(笑)
書文 いいよいいよ、ふん。(いじけている)
GM 今日の取り引きは結局、宝剣がないなら旦那は返せない。返してほしかったら、今回要求分の2倍の羊肉と、盧邑中の宝物を集めてもらおうか、と。当然、剣付きでね。これから3度目の夜までに揃えられなかったら、邑王は勿論、一族郎党皆殺しにして、けちょんけちょんにしてまうぞ、と。
正日 王様には死んでもらって、来たところを返り討ち。
雷辰 ……かなぁ。
茉莉 こらこら。
正日 それが一番手っ取り早い。
雷辰 王様なんていくらでも代わりがいるし。
正日 指導者を失った集団ほど、脆いものはない(笑)。
GM しつこいな(笑)。ところが、ここに問題がある。えーと、今攫われてる王は今年で28になる。
書文紅銀 若いな。
GM おじいさんは死んでます。跡継ぎはここにいる、4歳の男の子です。つまり、ここで邑王が死ぬと、跡継ぎに困る。正常な祭祀が滞るんだ。
雷辰 それがチャンス(笑)。
正日 外戚……。
GM それもかなり遠い。あまり子供は多くないの、代々。
正日 でも、正直なところ、向こうから出てくるのを待つしかないんですよね。
茉莉 だって、探査系(の手段が)ないんだもん。
 それは言い訳、だと思うですよ。自分の得手な事しかしないってのはおかしいでしょ?
 それにね、奥さんとか邑の人はみんなに期待してるし。不得手なのは分かるけど、頑張って欲しいなぁ。有効無効に関わらず、手助けしてあげてね。
 それがヒーローってもんでしょ。
GM 奥さんは、妖怪に勝てるだなんて思っていない。妖怪の要求に従うしかないんだ。そうすると、食料だの何だのはどうにかなる。ただし、宝剣だけは見つかってない。
雷辰 ああ。
GM 伝承にはあるし、実際に使われたんだろうことは分かるんだが、それがどこにあるのかは……。
茉莉 どのような伝承なので……?
GM えーと……これが玄孫の子なんだから……爺ちゃんの爺ちゃん、のとーちゃん。曽祖父の祖父。つまり5代前の王様が振るったとされる剣なのですが、妖怪を退治たときにしか人目に触れていないし、その後でどこかに隠されちゃったんだ。
正日 金行使いはおらんのか? (あんたが唯一の五遁で、しかも火行でしょうに)
GM でね、さっきから言ってた伝承が、これ。(と言って、紙を差し出す)一所懸命ワープロ打ちして来たです。
茉莉 読んでいい?
GM 是非(笑)。

【四 ただ一つの伝説】

 『嘗(かつ)て近在数邑、皆(みな)に悪事を働く妖あり。時の盧(ろ)公(こう)子(し)、これを憂(うれ)うこと黎(おお)くと為(な)す。
 志して深く山に入ること十数年、食(しょく)は葛(かつ)をもって為(な)す。十数年にして山より下る。
 妖を誅(ちゅう)する術あり、妖を斬る玉剣(ぎょくけん)あり。かくて妖は戮(りく)せらる。
 邑人皆喜びて、盧公子を王とし、位を高(たか)きと為(な)す。ここに盧公子、璋(しょう)を為(な)す。
 子々孫々、我が為(な)したること四つを残すべし。      盧(ろ)王(おう) 潤(じゅん)』
GM 『昔、近所の幾つかの邑の人々に、悪事を働く妖怪がいた。その時盧邑の王子(潤)は人々と悩みを共にした。あるとき思い立って山深くに十数年籠り、その間は葛を食べた。十数年後に山から下ったが、妖怪を倒す術と剣を持っていた。そして妖怪は倒された。邑の人々が喜んで王子を王位に就かせ、その位は尊いものとなった。そして王子は宗廟の祭りを行なったのである。ゆくゆくの子孫よ、私の行なった、四つのことを忘れないよう』
 ……というのが長ったらしい意訳です。ちなみに葛はマメ科の蔓草で食用になる。璋というのはひしゃくで、宗廟の祭りに使うもののことだよ。
茉莉 4つのことって?
GM それは奥さんも知らない。(ってゆーか、それがミソなの)そういう言い伝えが〔袁(えん)邑〕という所に残っている。
紅銀 袁邑?
GM マスターの手抜きがばれるんだけどね、この盧邑の周囲には〔晏(あん)邑〕〔員(いん)邑〕〔雲(うん)邑〕〔袁(えん)邑〕の4つの邑が……。
全員 (苦笑)。
紅銀 どうでもいいこと。何で最後が「おん」邑じゃないんだぁ!
GM そりゃ勿論、僕の中で〔盧邑〕が一番最初にできたからさ(笑)。その〔袁邑〕というところに、この伝承の石碑が立っている。勿論、この〔盧邑〕にも木簡の形で残っている。でも、それだけ。
紅銀 これがひょっとして、謎解き?
雷辰 あ、この際、毒作って羊肉に仕込んどくか。
正日 やったぁ(笑)。それも、サブ・ミッションって事で。
GM ちなみに盧潤は16歳で山に籠もったらしい。で、30代で王になった。こいつはかなり長生きしてるんだが、彼はこの長い一生の中で、宝剣のことはついぞ漏らしたことがないそうな。しかも、自分の遺留品だとか伝記だとかを片っ端から捨てている。「伝記なんか残さなくっていいよ。伝説なんか無くったっていーじゃん」という性格の人だったらしい。
正日 迷惑な(笑)。
GM ところがこの文書に限っては、石碑は立てるし盧王室にも残すし。他に資料が無い以上、これが手掛かりと思われる。
全員 ……。
 この部分、延々と僕の声だけが響くのね。みんな僕の作ったワープロ書きの伝承を、必死に解読してくれてます。何だか嬉しいなぁ。
GM で、奥さんには何と言うね?
茉莉 えーと、少々お待ち下さい。こちらでいろいろ手立てを考えてみますので。
GM/王妃 「では、助けていただけるのでしょうか?」
茉莉 できうる限りのことはさせていただきます。
紅銀 勿論ですわ。
GM ありがとう。タイムリミットは3回目の夜まで。今が1回目の夜だから、2日後の夕方までによろしくね。
茉莉 由孟君はどこからやってきたの?
GM 謎です。暗がりに紛れて現れて、疾風のように去っていくので。兵士の足じゃ追い付けないです。あ、王妃に頼まれた、って事で、盧邑と周囲4邑のなかでは、結構自由が利くからね。

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