〜夏の終わりのラヴソング〜  ☆第6話☆    by 浅葉 紫月様





「よっしゃ!見つけ出して家に帰るんだ!テレビに間に合わないのよ!!」
「いくぜ!!」
1階、絢香&諒組。
2階、水穂&雅士組。
3階、未有紀&章平組。
4階、空良&翔太組。
2人ずつにわかれて1階か4階までさがしまわったが、いくら探しても見つからない。

そして30分後、8人は合流した。
「いない・・・」
「ちくしょー!!オレ達このまま死んじまうのかよ!!」
「嫌よ!そんなの!!」

その時、絢香が急に倒れた。
絢香はこんなビジョンを見ていた―――


(ここはどこ)
居心地が悪い。一面真っ暗な世界の中、一筋の光が見える。
その光をたどっていくと、真っ白な世界のなか、一人の少女が立っていた。
少女は歌う。どこかで聴いた、でも思い出せない歌。
少女の手から一本の糸がするすると伸びる。
その糸が絵になってゆく。
絵の中で少女が紙に何かを書いている。微笑みながら。
そして少女は席を立ち、隣の部屋に行き、戻ってきた。
部屋を出て、歩き出す。
しかし急に何かに気づいたらしく、踵を返し走り出した。
その瞬間全てが消えた。
赤く染まる世界。

自分のものではない意識が流れ込んでくる。

(からだがおもい)
(なにもみえない)
(いたい)
(たすけて)
(たすけ・・・)

「・・・助けてええ!!」
「絢香!?」
「大丈夫、絢香!」
「っ大・・・丈夫・・・」
「絢香・・?」
そして、呼吸を整え絢香は自分のみたビジョンをみんなに話した。
「女の子がいた・・・あれは・・・どこだったろう・・・なにか曲が流れていた。誰もいない部屋で・・・テープがいっぱいあって・・・何か書いてて・・なんか急に走り出したら視界が真っ赤になった・・・あの子は・・・そう・・千里ちゃんだった。」
「千里!?」
「うん・・・笑っていた。だから・・・多分学校に来る前の日。挨拶にきていたのか・・で、どこかの部屋・・・部屋で、・・何を描いていたんだろう・・」
「思い出すんだ!絢香!」
「思い出せないよ。解らない・・・」

その時、水穂が口を開いた。
「挨拶・・・」
「え?」
「挨拶だよ!書いてたのって」
「は?なんで挨拶を書くの・・」
「書くのよ!転校してきた子は!」
水穂も転校してきたから、わかるのだ。
「明日は新しい学校。何て言おう、自己紹介・・・挨拶・・・第1印象って結構大事じゃない!転校してきたらきっと必ず考える・・・」
「そうか、それを置き忘れて・・・きっと上手く書けたんだろうな、それを取りに戻ろうとしたら・・・不注意で・・・」
「事故にあった。」
「可哀想だよ・・・そんなの可哀想!探そうよ!その場所・・千里を探そう!?」
「絢香、どんな所だったか・・・何でもいい、思い出せないか?」
「・・・曲が流れてて・・・千里ちゃんはそれを歌ってた。周りにはテープがいっぱいあって・・・大きな棚があった・・・いっぱい、いろんな・・・機械・・・?何か、置いてあって・・・コードみたいな・・・線がいっぱい・・・」
テープ・・・曲・・・棚の上の機械・・・コード・・・
これらを手掛かりにして思いつく場所と言えば?
(みなさんはわかりましたか?そう、あの部屋です・・・)


「放送室だ!!」


そこに少女はいた。
泣きじゃくる少女、重い顔の8人。

「っく・・・ひっく・・・」
「千里ちゃん・・・」
「解ってるよ!わかって・・る。・・どうして死ねなかったの!?こんな・・一人になるくらいなら・・・」
「死ぬなんて言わないで!」
「そうだ!オレ達がいるだろ!」
「私達はここまできたよ。千里、死ぬなんて悲しい事言うな・・・生きて。元気になって。私達待ってるから。いつまでも待ってるから。元気になったその時は、あらためて友達になろうよ?」
「・・・どうして・・・どうして?私、あなた達のこと殺そうとしたんだよ?」

「思っててくれたじゃない。」
「え・・・」
「私達のこと思ってくれた。何て挨拶しようかって。千里さん、考えててくれた。」
「そうだよ、まだ名前も知らない頃から、僕達のこと。」
「水穂ちゃん・・雅士くん」
「それに、いっしょに死ぬつもりなら、最初から・・・あなたならできたはずよ。」
「そ、そうだ!」
「未有紀ちゃん・・・章平くん・・・」
「必死に助けを求めていた。俺達に・・・そうだろ?」
「いーじゃん。アンタが元気になりゃ済む話だ!」
「そうだな。自分の身体に戻れるだろ?きっと・・・」
「翔太くん、空良ちゃん、諒くん・・・」
「私にあのビジョンを見せたのは・・・無意識だとしてもあなたでしょう。本当は殺したくなんかないんでしょ?ねぇ・・・元気になってよ。一緒に頑張ろう。楽しい生活おくろう!」
「絢香ちゃん・・・」

「だって、生きてるってすばらしいもの!!」

明るい光が何処からか差す。そして千里の周りを包み込む。
「千里ちゃん!」
「死んじゃうのかな・・・私。」
「ダメ!ダメだ!」
「・・・みんな、ありがとうふっきれた。もう、未練は・・・ない・・・。」
「戻って来い!!」
「ウソつき!死にたくないくせに・・・・死んじゃいやぁ!」
「・・・私・・・私、生きててもいいのかな・・・?」
「いいに決まってる!生きてちゃいけない人なんて、生きる権利のない人なんていないよ!」
「私・・・」
「生きろ!死んだっていい事なんかない!」
「・・・私、私死にたくない、死にたくないよ!!やっぱり生きたい!一緒に生きてみたい・・」
「千里ちゃん・・・!!」
「私、生きて見せるから・・・もう死ぬなんて言わない。待っててね。必ず逢いに行くから・・・」
千里の身体がだんだん薄くなり、消えて行く。
「ねえ、どこ行くの?まさか・・・死んじゃうなんて、言わないよね?」
「わからない。けど―――」
「けど・・・?」

「みんな、ほんとうにありがとう・・・・・」


8人が目を覚ましたのは、それぞれの部屋だった。
長い夢を見ていたのかもしれない、記憶があいまいで。
今日から8月。宿題に追われながら、残った休みを8人は存分にたのしみ、2学期になるだろう。

一人の少女が、手に持った紙を見ながらみんなの前で話す。
「・・・っていいます。早くお友達ができるといいな、と思います。得意なことは歌です。みんなに聞いて欲しい歌があります。」
そして歌う。

夏の終わりの ラヴソングを―――――。


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作者様のお言葉 / と、言う事で終わりました!! 実は、この小説のキーワードともいえる「夏の終わりのラヴソング」、 これにはイメージしている曲があるんですね。 紹介しちゃいましょう。ZONE(ゾーン)の、「secret base 〜君が くれたもの〜」という曲です。 結構有名かもしれない・・・聞いたことある人いると思います。 放送室は千里にとってSecret Base、秘密基地なんですね(謎) 千里は前の学校でも放送委員って設定にしてあるし(笑) でも実際のちさとちゃんは放送委員でもなんでもありません。 というわけで、長かったですが、お付き合いいただきありがとうございました。 まだ次回作の予定はついてないですが、まぁ気長にお待ちください。 現在ストーリー組み立て中ですので。 これからも浅葉の小説を読んでいただけると嬉しいです!感想も待ってたりして (笑) それでは、また次回作で。浅葉でした。 See You Next Story\(〃^▽^〃)/Bye−Bye!

方野の感謝の言葉 / 千里ちゃんが元気になってみんな無事に戻れて本当に良かったです。で、でもすみません。私ZONEさんの歌知らないのです……(かろうじて名前だけは聞いたことが) せっかくのお話のイメージソングを知らないなんてーと自分を責めつつ、またいつかきっと聞いてみます。紫月様、長い連載をどうもありがとうございました!