うーさぎうさぎ なに みて はねる? おつきさまのうさぎ 今宵は満月。あたりには心地よい風が吹き、穏やかな夜です。 ここは、崑崙山。仙人や道士がたくさん住んでいる山です。今日も一日平和なこの山の一本道を、一人歩いている若者がおりました。 「今日は綺麗な満月ですね」 そうポツリと呟いたのは、崑崙山でも一番の美形(自称)で、変化や宝貝造りの天才と名高い、楊ゼンです。手に持っている籠に桃がたくさんつまっている所を見ると、どうやらおつかいの帰りのようです。 帰り慣れた道を、月を見ながらのんびりと歩いています。 が。ふとまるいおつきさまに黒い影が見えました。 その影は、心なしかどんどんどんどん大きくなっているように見えます。黒い影はだんだん白いなんらかの物体だと判別できるくらい大きくなりました。 「・・・・・?」 さらに眼をこらしてよく見ようとしたその時! 「わーっ!!どけどけ〜〜〜〜!!」 「うわああああああ!!!」 ちゅど〜〜〜〜んっ!!という爆発音があたりに響き渡りました。 さらば楊ゼン・・・・わずか16行にして散っていた主人公・・・・。 「ってまだ生きてます!!!」 「あいててて・・・着地失敗だのぅ・・・・」 頭を抑えて涙目になりながら、その落下物はボヤきました。ボヤく、ということは人間なので、このバアイは落下人というべきでしょうか。 「な、ななな何で空から人間が降ってくるんですかっ!!??」 「おぅ!すまなかったのぅ!ちーっと着地に失敗してしまったようだ」 「そうじゃなくて!あ、あなたは一体何者なんです!??」 「わしか?わしは元始天尊さまの直弟子、太公望という者だ!」 「たっ、太公望っ!?」 噂は楊ゼンも聞いたことがあります。元始天尊さまはおつきさまにある玉虚官に住んでいるとぉっっても!!偉い神様で(その割には何もしていないのだけれども)、太公望は、その直弟子。つまりわりかし偉い人物なわけでして・・・。 問題はその容姿。今楊ゼンの目の前にいる「太公望」はどう見たって6才くらいの子供。背は楊ゼンの1/3位だし、トレードマーク(?)の帽子のうさぎ耳は大きすぎてひきずっています。いくら仙人が年をとらないからって、これは若すぎます。確かに、こんなちっちゃい子にしては、妙に似合わない言葉使いをするけれど。 「子供が妙な冗談いうものじゃありませんよ、迷い子ですか?」 迷い子って空から降ってくるもんじゃないだろ、というツッコミはひとまずおいといて、楊ゼンは自称「太公望」をひょい、と抱えました。 「何おう!!??さてはお主信じてないなっ!?」 「信じるも何も、太公望という方はもう少し大人な外見をしているハズですよ」 もっとも、確か「太公望」は70そこらなハズだから、仙人としては若い方だし、外見も少年の様な外見だ。でも、いっくらなんでもこんなに子供ではない。 「今はちとワケありでこんな外見しとるだけじゃ!!えぇい降ろさんかっ!!」 じったばったと暴れますが、楊ゼンは別に気に留める様子もなく、まるで子供をあやすお父さんの様になっています。 「全く、近頃の子供は・・・帰って玉鼎師匠になんていいましょう・・・」 「玉鼎っ!?ということは・・・お主楊ゼンだなっ!!」 楊ゼン、と名前を呼ばれて、思わず自称「太公望」を降ろしてしまいました。 「どうして僕の名前知ってるんですか?」 「お主の噂はいろいろ聞いておるぞ!変化の術を使い、三尖刀や哮天犬といった宝貝を使う天才であろう?」 美形が抜けてますよ、と楊ゼンは心の中で思ったが、自称「太公望」の言った事は本当だ。 と、い・う・こ・と・は・・・・・。 「たっ・・・太公望っ・・・す、師叔なんですかっ!?」 「だ〜か〜ら〜!さっきからそう言ってるであろうが!!」 楊ゼンの腰くらいの背しかない太公望が憤慨する。 「ででででもっもう少し大人な方だと・・・」 「ワケありだとも言ったぞ」 「・・・どんなワケなんです?」 パニくった頭を持ち前の冷静さで何とか元に戻し、楊ゼンは、太公望に問いかけました。 「うむ。話せば長くなるのだが、つい先日餓死寸前のわしが歩いていると桃の匂いがしてのぅ、ちょーどいいタイミングだ!と思ったわしはその桃を食べ一命を取り留めたのだ・・・、だが。」 太公望はちっちゃな拳をぎゅうっと握りしめました。 「・・・・だが?」 「その桃は『若返りの桃』だったのだ!!あの元始のじじぃめ・・・・絶対知っててやったのだ!!あぁもう思い出しても腹が立つ!!」 ぐごごごご・・・・・!!と怒りに燃えている太公望を冷ややかな眼で見つめている楊ゼンさん。 「早い話が太公望師叔が桃を盗み食いしてそれが全ての原因というワケですね」 「違う!わしはハメられたのだっ!!訴えてやる起訴してやるぅぅ〜〜〜!」 「で、どうやったら元の姿に戻るのですか?」 「それなのだがな・・・あのじじぃ変な条件をだしおったのだ・・・」 「条件?」 「それはな・・・・」 「それは・・・?」 ごくり。 「人の願いを3つ叶えること、だそうだ」 本日2回目のずりっ。 「な、な、なんですかそれぇ〜〜?」 まるでアラ○ンの魔法のランプだ。 「そう言われたのだから仕方があるまい?わしとてそんな面倒臭いことごめんだ」 「どうせなら元始天尊さまも、妲己を倒すとかそういったことにすれば良かったのに・・・」 妲己は自称17歳の1000才を越える妖狐で、あちらこちらの山で悪さをしている悪い女妖怪です。最近は紂王という近国の王様を誑かして悪行をしているとのウワサ。 偉い神様なら、妲己を退治せよ!とか言ってもいいのでわ。 「さぁのう?もうろくじじぃの考えておることはわからん。まぁとにかく願いを叶えんことには元に戻れないしのぅ・・・よし楊ゼン!!」 びっしぃ!と、太公望は手にいつのまにかもっている打神鞭を楊ゼンに向けました。 「お主、今3つ願いをゆーてみよ!!」 「えぇっ!!??」 そんな、いきなり街頭で「あなた幸せですか?」と聞いてくるどっかのTV局みたいなこといわれても・・・・! 「願いなんてそんな急にいわれても・・・」 「何かないのかぁ〜?例えばっ!もっと偉くなりたいとか」 「僕は道士で十分です」 「もっと才能が欲しいとか!」 「天才ですし」 「もっとモテたいとか!」 「間に合ってるので結構です」 ぜーぜーと太公望は息切れをしている。 「何もないのかお主は〜〜〜〜!!!これだから天才とゆーヤツは・・・!!」 「そ、そ、そんなこと言われても・・・・!!」 気づけば、さっきまで頭の上にあった満月がもう大分傾いている。 「とにかく僕の家で師匠と相談してみましょう、師叔」 「今ここでいってくれれば早いのにのぅ・・・」 ぶちぶちふてくされている。 「大体師叔、もし突拍子もないお願いされたらどうするんです?叶えられるんですか?例えばお金が欲しいとか言われたら・・・師叔が稼ぐのですか?」 「フッフッフッ」 きみょ〜〜〜な微笑みを浮かべる太公望。 「このわしがそんな努力家に見えるか・・・?」 「いいえ全く」 その間0.3秒。即答である。 「願いを叶えるのはわしではなく四不象が持っている・・・・」 はた。 「・・・・・四不象?」 そういえば太公望師叔は白いカバ・・・いやいや霊獣にのっているんじゃなかったっけ。というかさっき空から四不象にのって降ってきたのでは。いるのなら会話にくらい入ってきてもいいような・・・・。 ・・・・・・・・しばし沈黙。 太公望が口を開いたのは、それから10秒後のこと。 「〜〜〜〜四不象はどこへいったのだぁぁああ〜〜〜〜!!!!」 わいわいおたおたあらあらおやおやと、パニックを起こしている太公望と楊ゼンを、おつきさまが照らしています。そして、もう一つ、太公望と楊ゼンがいる、一本道のちょっと後ろで。 「あれっ☆白カバさんが倒れてりっ☆」 おつきさまが四不象を抱えている女の子を照らしているとは、二人は夢にも思っていません――。 |
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作者様のお言葉 / はうっ!!じ・・・持病の「ほのぼのしたい病がっっ!!!(by 愛しのウソップ)方野さま申し訳有りません続き物です。なんなんだこの話はっ!って感じなお話ですが、読んでごみ箱にいれるのもよし憤慨するのもよしお好きなようにしてあげてください。今回は、前回にひき続きほのぼのほのぼのです、だので意味なくですます調なのです(ヲイヲイ)。夢缶は次回こそシリアスかいてみせます!!(泣)でもこのお話は始終ほのぼのです(汗)。そして終わっちゃってもまだまだ封神でいきます!!。それでは良いお年をv。 方野の感謝の言葉 / 根性の曲がった(←失礼)太公望師叔と妙にまともな(←これも失礼)楊ゼンさんが親子のようでかわいいですv でもこんな子供がいたら楊ゼンさんはひたすら苦労させられそうだ……。封神演義はシリアスでもほのぼのでもどっちも似合うお話ですよね。 夢缶さま、どうもありがとうございました! 続きも楽しみにお待ちしております(>_<)o! |