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雨は、突然豪雨となった。
靴の中まで濡れて体が冷え切ったせいか、動きが鈍い。
深い闇の中、自分の吐く息だけがほのかに白くて、少し不気味だ。
まるで、血のようだ。
ひとつ、また一滴。
高い足音が響いて、ウルフウッドは手にはり着いた銃を暗闇へと向けた。
みえない。だが、誰かいる。
カツン・・・。
もう一歩。
闇、そのものかと思った。それは、なぜだろうか・・・
傷だらけの手が伸ばされる。
「・・・・・」
白く、氷のような肌にヴァッシュの手が這う。
何かを耐えるようにヴァッシュは唇を軽く噛んで、囁いた。
「さあ、いこう・・・」
もう少し増えたら、この部屋どうにかしようと思うので、、それまで我慢して下さい。 2000.1.7 UP
いつまでも砂が絶えない。
その砂さえ愛おしいという表情で、ヴァッシュは佇んでいた。
先ほどまでの争いも諍いも皆砂上の楼閣であったのだろうか。
日がうっすら射し込んできて、荘厳さを増していく。
「トンガリ・・・」
渇いた口でそう呟くのが精一杯であった。一歩、また一
歩と彼は砂を踏みしめる。
ヴァッシュはそっとほほえんだ。
バサッ。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「貴様らーなにしとんねんっ」
見事に片袖落ちてしまった服と保険屋の引きつった笑み
を見比べてウルフウッドは叫んだ。
はははは、と乾いた笑いを残して、二人はダッシュで地平線へと向かう。
「だからおよしなさいと言ったじゃありませんか!ミリィ」
「だって先輩、袖からでている糸ってものすごーく気になるじゃないですか」
砂煙がもうもうと立ち上った後、惚けたように立ちつくすヴァッシュの姿しか残されていなかった。
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