恋人がサンタクロース
本当はサンタクロース プレゼントをかかえて

恋人がサンタクロース
寒そうにサンタクロース 雪の街から来る




「寒い...」

ぽつりと呟いて、窓から夜空を見上げる。東京とはいえ、真冬の夜空の星は美しい。
白い吐息を吐きながら、其れをじっとみあげていると、ふと、隣家が目に入った。

つい最近、空家になった家。

一人娘が嫁いでしまって、残された夫婦は、娘の負担になりたくないと、ひっそりと田舎へと引っ越してしまった。
真っ暗になった家の窓。そのガラスに映し出される、家々の灯火、そして夜空の星の輝きが反射している。


――――― 今夜8時になれば、サンタが家にやって来るのよ...


そう言って、ベランダで微笑んでいた綺麗な笑顔が、鮮やかに蘇る。自分はその笑顔の彼女に、

「違うぞ、あれは絵本だけの話だぞ」

けれども彼女は、また微笑んで、軽く、自分の頬を突付いた。その時だった。一台の車が、彼女の家の前に止まった。
そして彼女は柔らかく、また微笑むと、自分に片目を閉じてみせた。

「大人になればあなたもわかるわ、そのうちにね?」



あれからいくつ、冬がめぐり来たことだろう。こうして、時々、彼女を思い出すけど、ある日遠い街へとサンタがつれて行ったきりになった。


そして、今夜は...自分にもきっとわかるハズだ。


一人、自室の窓を開けて、じっと夜空を見つめる。その空の下、小さな身体が懸命に此方へ向って走ってくるのが見えた。
白い息を吐きながら、それでも立ち止まらずに、真っ直ぐに走ってくる。

「随分と....背の低いサンタクロースだな?」

思わず、ぽつりと呟いてしまった。けれども...自分が自然と微笑んでいることに気が付いて、一人、頬を赤く染めてしまった。その様子に気がついたのだろうか?、彼が、自分に、大きく手を振った、真っ白い息を吐きながら。


薄暗闇の中でも見えるほど、眩しい笑顔で。



恋人がサンタクロース
本当はサンタクロース つむじ風追い越して

恋人がサンタクロース
背の高いサンタクロース 私の家に来る




おしまい


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そのまんまです、言い訳できましぇん...(号泣)


date:2002.12.30


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