Blizzard, Oh Blizzard !

包め世界を 尾根も谷間も白く煙らせ




「勝負や」
「何?」

リフトから降りた瞬間、突然、ヤツが叫んだ。夕暮れ間近の、某有名スキー場。もうじき、照明が点き始めようとする時間だった。これが、最後の滑走になるであろう、その瞬間だった。

「何を言って...」

暗闇に包まれるゲレンデ、突風に煽られて、互いの言葉が繋がらない。

「せやから、これで最後や!」
「あぁ! これで...」
「これで、オレが勝ったら...っ!」
「何っ?」


――――― オレのもんになれっ!!


山の天気は変わりやすい。瞬く間に、辺り一面、吹き荒れる...ブリザード。

「何を言って...」

反論するまもなく、ヤツはスタートした。慌てて、ヤツを追いかける。激しく舞い翔ぶ、白い妖精たちが、前をゆくヤツの姿かき消す。ヤツのストックにつけた鈴の音だけが、オレをみちびく。音の無い国。

「ま...待てっ!!」

どうにか、ヤツの前に飛び出して止めた。ヤツは不服そうに、ゴーグル越しに睨んできた。真っ白い雪が、彼の金色の髪にまとわりつく。それを綺麗だと思いながら、意を決して、ヤツに大声で叫んだ。

「オレが勝ったら、どうするのだっ!?」

吹き荒れるブルザードの中での、睨み合い。だがヤツは、すぐに、にかと笑うと、

「オレがおまえのもんになってやるっ!!」

そう叫んだ。だから、自分も負けずと叫んだ。

「よかろう!!」


――――― スタート!! 先にふもとに着いたほうが勝ちやっ!!


二人同時に、スタートを切った。やや、ヤツの方が優勢、先を行く。それでも...負ける気はしなかった。
否、勝ってもおそらく...思わず、クスリと笑ってしまった。すでに、勝敗はついているのだから。




かならずはぐれずについてゆけるわ
ふいに見失う心細さが あなたへの想いをつのらせるから

Blizzard,Oh Blizzard 急げ心よ
もっとあなたの近くへゆくわ




おしまい


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これも、そのまんまですね(滝汗)。ものすごい昔の話ですが...、初心者のクセに上級コースに行ってしまって、救助隊に助けられた経験が蘇ってしまいました。あの時は、本当にすみませんでしたと、今更ながらに反省する佐藤です(平伏)。


date:2002.12.30


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