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クリスマスキャロルが流れる頃には 君と僕の答えも きっと 出ているだろう クリスマスキャロルが流れる頃には 誰を愛してるのか 今は見えなくても ――――― 出逢う前に戻って もっと 自由でいよう その方が 今はいいと思うんだ 突然の、彼からの申し出に、無表情を装いながらも、心の中の戸惑いは隠せなかった。 ――――― 何が 大切なのか 一人で 考えたい ... だから、君も考えてくれないか? そう言って立ち去る彼の背中を、ただ黙ってじっと見つめているしかなかった。 オレの何が悪かったのか? この一週間、部屋に閉じこもりきりで考えた。寒くて寒くて、ホットカーペットにコタツ、ファンヒータ、それでも、寒くて、毛布まで持ち出して、くるまって...さすがに、この状態が続けば、部屋の中は、ガンガンに暑くなってくる。毛布の中の身体だって、じっとり汗ばむほどで...それでも、寒いと思っている。 風邪でも引いたか...否、違う。 身体が寒いんじゃない。 毛布から右手を伸ばして、届いた窓ガラスには、外気との気温差のせいで曇っている。その曇ったガラスを、そっと人差し指で撫でてみる。気がつけば...無意識に書いていた文字を、思わずゴシゴシと、掌で勢い良く消した。水滴がまだら模様になって、外の景色が微かに見える。 雪でも降りそうな空だった。 この手を少し伸ばせば、届いていたのに...届いていたハズなのに、何故? 触れ合えば触れ合うほど、何かが足りない事には、自分でも気がついていた。何かが違う、何かが...足りない。それが何であるのか...。 ――――― 解析不能 右手を再び、毛布の中に取り込んで、自分の両腕で、自分の身体を抱きしめる。彼のそばにいるのは、とても暖かかった。 毛布の端をぎゅっと握りしめる。けれど、どんなに身体を抱きしめても、彼の温もりには、到底及ばない。 だからといって...彼を毛布代わりにしていたワケじゃない。 ふと、窓を見上げれば、水滴をぬぐい取られた窓ガラス越しに、白いものが舞い降りてきているのが見えた。 あの日も、こんな寒い日だった。抱きしめられた温もりの暖かさに、とても驚いた。生まれて初めて、知った感情。 其れを教えてくれたのが、彼だ、彼の笑顔...その笑顔が曇り始めたのは、いつの頃からだった? がばっと毛布を跳ね飛ばし、寝転んでいた身体をよろめかせながらも起きあがらせ、ベットに脱ぎ捨てられていたコートを手にした。勢い良く、玄関から飛び出せば、後ろから、母親の呼ぶ声が聞こえたが、其れには振り返らなかった。 只ひたすら、彼と最後に別れた場所へと...彼に初めて抱きしめられた場所へと、息を切らしながらも走りきった。 其処は、駅前の公園、色鮮やかな噴水が冷たい水飛沫をあげている。もうじき、夜中の12時になろうとしているのに、街はクリスマスのイルミネーションのせいか、眩く、人通りも多い。 その中に、彼がたたずんでいた。彼の横顔...誰を待っている? その横顔に釘付けになって、立ち止まってしまった足は、その場から一歩も動けなくなってしまった。空から舞い降りてくる雪が、路面を白く覆っていく。彼の肩にも、髪にも、その白い雪が舞い降りている。吐き出される吐息が白く、凍り付きそうだった。 彼が、不意に顔をあげて、此方を見た。互いの視線が、まるで火花が散るように絡み合った。そして... 大きく広げられた彼の両腕。 自分を待ち続けてくれていたのだと気がついた瞬間、何の恥じらいもなく、彼の腕の中へと飛び込んでいった。 往来の人混みの中、誰もが振り返るが、そんな事、気にならなかった。むしろ、嬉しくて...涙が溢れてきた。 近すぎて見えなかった、彼の支え。離れてみて、ようやく分かった。 彼しか見ていなかったから、他の事が見えていなかった。自分自身が見えていなかった。 彼の笑顔を曇らせたのは、自分が彼の優しさに甘えすぎていたから。 一緒にいられるだけ、望んでいたのに。彼がいるだけで、良かったのに。 満たされれば、満たされていく分、甘えてつけあがっていた自分に、ようやく気がついた。 誰を愛しているのか、何が一番、大切なのか....クリスマスキャロルが静かに聞こえてくる。 クリスマスキャロルが流れる頃には どういう君と僕に雪は降るのだろうか? おしまい ☆ ―――――――――― ☆ 今更、クリスマスです(激遅!)。とあるCMを、見ているウチに、気がつけば...明日は年末大晦日っ!? てことは、不破の誕生日じゃないですかぁ!?、しまった!、クリスマスネタを書いている場合じゃないっ! これで、多分、誕生日ネタも...遅くなるでしょう...(滝汗) ちなみに、今回もしっかり名曲を引用させて頂きました!!(ご存知ですね...とっても古いですけど...苦笑) date:2002.12.30 ☆ ―――――――――― ☆ |