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――――― 夢だったのか... ベットサイドに置かれた目覚まし時計は、朝4時を指している。朝練は6時開始だから、起きるにはまだ少し早い。 そう...目覚まし時計は5時30分にセットしてあるのに、目覚ましが鳴る前に覚醒してしまったのだ。 どうして...?、二度目の眠りに入ろうとして、どうして目が覚めてしまったのか、思い出した。 ――――― 夢を見た....彼の夢を... 夢だから内容的にはかなり曖昧なものだったが、確かに...彼だった。 まだ一度しか会ったことのない彼だった。数日前、突然、勝手に練習に参加した彼。 名前は...不破大地。 ――――― ゴールキーパーは楽しいか? それを聞くために、わざわざ自分のところまでやってきた彼だった。 不思議な子だなぁ.... 意思の強そうな瞳。あの無表情だった顔が最後に見せた微かな笑顔。 藤代にかこつけて助けてしまったが、いつものおまえらしくないと三上に怒られてしまった。そうだ、普段の自分であれば、他校の生徒に練習を邪魔されて黙っていられるハズがない。即刻つまみだすところを、助けてやっただけではなく、彼の素朴な疑問に答えてやったりしたのだから。この対応には、三上だけではなく、藤代だって驚いていた。 ――――― あの瞳に...彼の瞳に、何故か...惹かれた どうして...どうしているのだろう、彼は...彼の疑問は解決したのだろうか...? 今度は目覚ましの鳴る音に、はっとした。何時の間にか、うつらうつらしていたらしい。ゆっくりと目覚ましを止めて、起き上がる。カーテンから朝日の差し込む窓を見上げる。今日も快晴だ。 ベットから起きだして、静かに窓に近づいていって、カーテンを開ける。目の前には、武蔵野森サッカー部のグランドが見える。あのフィールドに、彼がいたんだ。一緒に...試合をしたんだ。 「...よう、渋沢、おはよう。」 けだるそうに、三上が声をかけてきた。その声にはっとして、振り返った。三上はまだ覚醒しきれていないのか、ベットから起き上がらずにいる。 「...寝覚めはどうよ?すっきりしたかい?」 「えっ?」 三上はにやりと笑うと、大きく背伸びをして起き上がった。 「まぁったく何の夢をみてやがるんだか...」 「夢って...」 夢の内容は...そう、よく覚えていない。そのせいか、三上の思いがけない質問に少し動揺する。何の夢をみていたのか...彼の夢だ。彼が夢の中にでてきて、そして...何をしていた?、いや、自分は彼に何をしていた?、それよりも.どうして三上が夢のことを? 「...夢って...俺...何か言ったのか?よく、覚えていないんだが...」 「へぇ、そう?」 三上は起き上がり、ベットに腰掛けて、また背伸びをすると、 「...藤代が言ってたな、今日は上水、試合だってさ」 「...」 「藤代同様、おまえも上水びいきだからな」 「三上?」 「...寝言ってやつは面白いもんだな。あれが本音なら...おめぇってよぉ」 「三上!?」 にやにや笑う三上に、思わず大声を上げる。自分は一体、夢の中で彼に何をしたんだ?何を言ったんだ!?、激しく動揺していると、三上は今度は吹き出して、 「おめぇのそんな顔、久しぶりに見たぜ」 「...三上...からかっているのか...?」 「夢なんだろ?よく覚えてないんだろ?なのに、その焦りようは...」 あれはやっぱ本音かねぇ?なんて三上が言い出すので、今度こそ、白旗を挙げた。 「...三上、ほんとに覚えていないんだ...教えてくれないか?」 顔のほてりが隠し切れない。だが、三上は、さあねぇ?どうせ夢だろ?なんて肩をすくめて、シャワーを浴びに出て行ってしまった。部屋に一人残されて... ふと、窓から入ってくる風に、一瞬の心地よさを感じて、窓から空を見上げる。 ――――― 今日も暑い一日になりそうだ 「...今日は試合なのか...」 彼は大丈夫だろうか?、いや、風祭くんが迎えにきた時、彼は微かだが微笑んでいた。 そう、大丈夫。きっと、彼なら... あとで、藤代に聞いてみよう、試合の場所と時間を...。もし、時間があれば、彼に会いに行ってみよう。 窓から見上げた、抜けるような蒼い空に、一瞬、吸い込まれそうになる。 彼の事を思い出して... ――――― 彼に.....会いに行こう... ☆ ―――――――――― ☆ あとがき 二人の...というよりは、渋沢からですが、これが始まりってやつでしょうか? これがないと、いつ始まったのか?ってカンジなので、かなり強引に書きました。 タイトルの『May』は、ご存知、B'Z の曲です。 僕は 君の 夢に出る事 あるかい? ☆ ―――――――――― ☆ |