こたつはね、ねこがまるまる、とくとうせき


「『猫はこたつで丸くなる』...そのままではなか?」
「あら、この『特等席』って言葉がいいんじゃないかしら?」
「...そうか?」

またしても、京弥が作った俳句に、首を傾げる大地。京弥の通う幼稚園では、時々、園児に俳句を作らせることがある。幼稚園児に俳句など、まだ早いような気がするが、言葉遊びの一環として取り入れているらしい。悪い企画ではないが、毎度ながら京弥の作ってくるものには、いつもどこか可笑しいものがある。今回も例外ではない。

「せんせー、ほめてくれたぞ!」

首を傾げている大地と、ほぇほぇ笑っている乙女の会話を聞いて、京弥が口を挟んできた。

「黒須の家では、猫は飼っていないであろう。ましてや、こたつも無いはずだ」

そう、あの豪勢な屋敷には、そんな庶民的な暖房器具など無いはずだ。つまり、大地が言うように『猫はこたつで丸くなる』を、そのまま引用しただけだ。

では。

「『特等席』は...」

どこで耳にした言葉であろうか?、大地が京弥に目をやると、こたつで絵本を読みながら寝転んでいる。その傍には...。

金色の猫が丸まって、気持ち良さそうに眠りこけている。

あぁ、そうか...大地は思い出した。あの金色の猫が、「此処、オレの特等席ね!」と言って、よく寝転んでいることを。京弥は、それからヒントを得て、この句を詠んだだけなのだ。

ならば。

「『こたつはね、シゲがまるまる、特等席』」
「ん?、なんだぁ?」

ぽつりと呟いた大地の言葉に、京弥が反応したが、金色の猫=シゲは起きる気配も無い。ぐっすり、すやすやと眠っている。

「だいち、どーしたのだ?」
「...なんでもない」

大地はテーブルの上に置かれていたコーヒーカップを手にして、一口飲んだ。京弥は、きょとんとしながらも、また絵本の続きを読み始めた。その横では、心地よい寝息を立てているシゲがいる。

静かな、静かな、冬の午後。

乙女がにっこりと微笑んだ。




おしまい


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またしても、俳句ネタですね。これも、我が家のアイドルくんが学校で作ってきた句です。我が家には、こたつは必需品でありますが、肝心のネコはおりません。つまり、我が家のアイドルくんも、想像の範囲で句を読んだようです。


date:2004.02.09


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