セレス
森の中。助けた女性と向かい合いに座り、自分のことやルドラのことなどを詳しく説明する。
ルドラと一緒に旅をしている訳、自分の旅の目的。そしてルドラが人間に対し好意的なドラゴンであること。
それらに相槌をうちながら女性はうんうんと頷く。
「へぇ〜、なるほどね〜」
「ええ、ですから、ルドは…」
「いいって、わかってるよ」
「え?」
アクアの方に手のひらをだして言葉を遮る。
「あなたみたいな目をしてる人が狂暴なドラゴンと旅をしているわけないものね。それにそのドラゴンも…いい目をしてる」
そういってアクアとルドラの目をまっすぐに見る。
「…ありがとうございます。わかってくれて」
ペコリと頭を下げるアクア。
「あっ、敬語なんて使わないでよ。そういうの嫌いだから。それにあたしの名前はセレス。セレスって呼んで構わないよ」
「ぷっ」
セレスの台詞にアクアは思わず吹き出してしまった。彼と同じことをいったからだ。
「? どうしたの? 急に笑い出して」
「ごめんなさい。私の探している人と同じことをいったものだから」
「探してるって例の彼?」
「うん」
「ふ〜ん、まあ、それはいいとして。旅は慣れてないんでしょ?」
一歩ズイッと身を乗り出すようにしてアクアに近寄る。
「え…ええ…」
半歩後ずさりながら問いに答えるアクア。
「それじゃあ、助けてもらったお礼といってはなんだけど、いろいろと力になってあげるよ。職業柄、情報には自信があるんだ」
「職業って…なにやってるの?」
「あれ? いってなかったっけ?」
「うん、聞いてない」
「あたしはね。トレジャーハンターやってるの」
ドンっと自分の胸を叩いて誇るように言う。
「トレジャーハンターってあの?」
トレジャーハンターとは遺跡などを巡り、その謎を解き明かし、財宝などを手に入れることを生業としている者のことである。
だいたいが依頼人から依頼を受けて、そして遺跡に潜る。
依頼人の求める宝が手に入ったら報酬と引き換える、などのことをやっている。
その内容からか、中には重要文化財の遺跡に潜り込み、国から指名手配されるトレジャーハンターもいる。
「うん。まあ、トレジャーハンターっていえば聞こえはいいんだけどね。早い話が盗掘集団よ。世間でもそう言われてるし」
両手を頭の後ろで組んで、アハハって笑う。
「ごめんなさい。そんなつもりじゃ…」
「いいの、いいの。実際そうなんだからさ。そんなに気に病む必要ないよ」
「でも…」
「ホントにいいんだってば。それで、話の続きだけど、いろいろと情報なんかを提示してあげられるけど、どう?」
さらに一歩、アクアに詰め寄る。口調こそ冗談っぽいが、目は真剣そのもので冗談をいっている感じはしない。
「……」
「ほら? 慣れない一人旅って結構ツラいものよ。熟練者の助けは遠慮なく受けなさいって」
「……。うん、わかった。お願いするね」
「そうこなくっちゃ。じゃあ、彼の似顔絵とかあるの?」
「うん、ちょっと待ってて」
そういって自分のバッグをゴソゴソとあさると紙袋に丁寧に収められた絵を一枚取り出すと、それをセレスに手渡した。
「どれどれ? ……へぇ〜、結構2枚目じゃない」
半ばからかうような感じでアクアに笑いかける。
当の彼女はなんとなく恥ずかしくなってうつむいてしまった。
「それじゃあ、この絵は誰かに複写してもらうとして、問題は誰に頼むかよね」
「あっ、別に持っていって構わないよ。もう一枚あるし」
「そう? それじゃ遠慮なく」
そう言うと本当に遠慮なく自分のバッグに詰め込む。変わりに今度は青い菱形の首飾りを取り出すとアクアに差し出した。
「これは?」
受け取ったアクアは紐の部分をつまみながらマジマジを見つめる。
半透明のブルーの宝石で木漏れ日を浴びながらキラキラと輝いている。
「それ持ってればさ、あたしの仲間たちが協力してくれるはずだよ。世界中に仲間がいるから誰か一人くらいは……ね?」
「ありがとう、セレス」
お礼を言うとその首飾りを首にかける。
「いえいえ、どういたしまして。ところでそろそろ日が暮れちゃうけど、あんたたちはどうするの?」
木々の隙間からのぞく夕焼け空を指差す。
もうすでに5時を回っているらしく赤い綺麗な夕日が西の空に沈もうとしていた。
「本当だ。どうしようか? ルド?」
自分のとなりにいる相棒に問い掛ける。
最初の頃はルドラと呼んでいたが、いつのまにか呼び方がルドに変わっている。それだけこのドラゴンを信頼しているのだろう。
「わしはこのまま進んでもいいがな。アクアやセレスが休憩したいというならば付き合おう」
相変わらずの低い声で答える。
「だって。どうするの? セレス」
と、今度はセレスに振る。
「うん、正直いってちょっと疲れちゃったな。休ませてもらっていい?」
両手を地面につき、本当に疲れたような表情と声でいう。
「うん、それじゃあ今日はここでキャンプにしよう」
自分のバッグから携帯用のテントを取り出すとその支度にかかり始める。セレスもそれを手伝い始めた。
後書き
どうも、筆者のぱんどらです。 オリジナル小説第2章・第1話『ドラゴン乗りの少女 セレス』掲載完了です。
とりあえず、新キャラ登場ですね。
旅に不慣れなアクアのサポートという感じの役回りで登場させてみました。
性格はまあ、明るくお気楽という感じでやってますが、どうでしょう?
なんとなくレイナが入ってる気がするのは俺の気のせいだろうか?
にしても前作でも前回でもそうだけど、俺って終わらせ方がヘタですね。
なんというか、中途半端というか不完全燃焼というかそんな感じで終わっているような…
こういうところはとことん書いていくしかないんでしょうけどね。
書いてる途中にレベルアップできるように頑張りたいと思います。
それでは、次の後書きで(^_^)/~