再会
首都トリスタン。風光明媚と称えられる街並みは美しく、人々は活気に満ち溢れ、笑い声が絶え間なく城下に響き渡る。
街も交通、そして防衛。両者にすぐれた形がとられている。城の周りには巨大な堀。城壁には10m程の間隔で穴が空いている。
その中を二人の少女。ブルーの綺麗な長髪の女性。そして、その隣を金髪の髪の女の子がトコトコとついてきている。
アクアとレティシア。結局ラークの街に下りることはなく、人が最も多い場所ということで首都トリスタンにやってきた。
この街の周囲には森や洞窟などの類がまったくなく、ルドラは別の森へと移動していった。
『今日一日、ゆっくりとするといい。明日の夜に近くの丘で落ち合おう』
二人を下ろしたあと、こう言い残し、ルドラはどこかへ飛び去っていった。
「久しぶりの街だね。これからどうしようか?」
レティシアとしっかりと手を繋ぎ、街を歩いていく。
「う〜……。わかんない。これだけ大きいとどこにいっていいかわからないよ〜」
街にきて、嬉しい、という表情と行く当てがわからず、困った、表情を混ぜ合わせたような顔。
なんとなくその顔がおかしくなり、アクアは笑う。
「む〜、笑わなくてもいいじゃない。お姉ちゃんこそ行く当てはあるの?」
「…それは……」
痛いところを突かれてしまい、言葉を失う。
「ほうら。やっぱり。いいじゃない。どこでも。早く行こうよ」
とアクアの手をグイグイと引っ張り前に進んでいこうとする。よほど街に入れたのが嬉しいのだろう。
そんな彼女の様子を微笑ましく眺めながらアクアも一緒に進んでいく。
街の中央へと歩を進めるうちに開けた場所に出ることができた。
どうやら噴水広場らしく、中央には大きな噴水が絶え間なく水を噴き出している。
その周囲にはいくつかのベンチ。何人かの人が身体を休めていた。
「ちょっと座ろうか?」
その提案に笑顔で答えると一目散にベンチに駆けていく。
「あんまり急ぐと転ぶわよ〜」
走っていくレティシアの背中にそう忠告する。と同時にため息をひとつ。
「はぁ〜。なんだか母親になった気分。まだ19なのに……」
ポツリとそんな呟きを漏らすと、レティシアのあとについていった。
噴水の前のベンチに腰掛け、しばらくボォォっと過ごす。
二人の前を活気に満ち溢れた人々が行き交う。その様子を見ていると自分たちにもその活気が伝わってくるような錯覚さえ覚えてしまう。
その様子をレティシアとともに眺めていると、
「!?」
不意にアクアの視界が真っ暗となる。驚きのあまり声も出ない。レティシアは突然の事に対処できず、オロオロとしている。
「ちょっと! 誰!?」
我に帰り、少し乱暴に身体を振る。そして背後を見るとそこには…
「ハイ。元気だった? アクア」
緑のショートの髪。人懐っこそうな瞳。白のTシャツにズボンというラフな格好。セレスだ。
「……は〜、驚かさないでよ。セレス」
少し恨めしそうな表情。声で言う。
「ゴメンゴメン。だって久しぶりじゃない。普通の再会じゃおもしろくないと思ってさ」
口元に手をやり、コロコロと笑う。
取り残されてしまったレティシアはセレスが誰だかわからずに、アクアの袖にしっかりとつかまっている。
そんな彼女に気づいたセレスは、
「ん? この娘誰?」
と当然の問いをアクアに投げかける。
「あ、うん。彼女はレティシアといって……」
説明をはじめようとした矢先にセレスの口から言葉が飛び出した。
「ひょっとして、アクアの子供じゃないでしょ〜ね?」
もちろんセレス本人はからかっているつもりだ。だが、アクアには通じなかった。
「も〜、なにいってるの! そんなはずないじゃないの!」
と怒り出してしまう。半ば予想はできていたことであったが、どうもセレスは人をからかうのが好きらしい。
「ごめん。ちょっとした冗談よ。……で?」
と続きを促す。
「本当に反省してるの? いっていい冗談と悪い冗談があるでしょう」
(これは別にいってもいい冗談だと思うけど……)
と本音は心の中にしまい、
「本当にごめん。反省してる」
両手をパチンと合わせると平に謝り始めるセレス。
「本当に反省してるとは思えないけど…まあ、いいわ」
そう言って、レティシアとの出会い。そしてドラゴンスレイヤーのこと。レティシアの同行の訳。
それらの概要をセレスに話す。
「ふ〜ん。いろいろとあったんだねぇ。にしても、ドラゴンスレイヤーの…えっと……?」
「アルフレッド」
「そうそう、それそれ。やっかいなヤツに目をつけられちゃったものね〜」
「どういうこと?」
「ドラゴンスレイヤーのアルフレッドのいったら有名よ。アタシが知っている限りじゃすでに10頭以上のドラゴンを始末しているらしいわ」
わざわざ声にドスを効かせて言ってくる。その声色にレティシアは少し怯えてしまったようで、アクアにすがる。
そんなレティシアの頭を軽くなでてあげる。
「彼がドラゴンを狩る訳ってわかるかな?」
ダメで元々。ひょっとしたら何かわかるかもしれない、そんな淡い期待を抱きつつの質問。
「う〜ん。さすがにそこまではわからないわね。残念だけど」
「そう……」
少しは落胆の色も見えるが。初めからそんなに期待もはていなかったので濃くはないようだ。
「と・こ・ろ・で〜。あんたたちはもう宿は決まってるの?」
真面目な顔から一変してニヤけたような、緊張感のない顔となると二人に質問をしてくる。
表情の変化に戸惑いながらもアクアとレティシアは顔を見合わせると、
「ううん、まだ…だけど」
「そ。ならアタシが泊まっているところにきなよ。少し話したいこともあるしね」
パチンと手を合わせながら言う。
「そう? それじゃあ、お邪魔しようかな。いい? レティシア?」
「うん。大丈夫だよ」
笑顔でうなずく。
「よし。決定ね。そんじゃいきましょ〜♪」
後書き
どうも、筆者のぱんどらです。 オリジナル小説第2章・第11話『ドラゴン乗りの少女 再会』掲載完了です。
とりあえず新しい街へと入り、そしてセレスの再会です。う〜ん、なんだかセレスがちょっぴり変わったと思うのは俺の気のせい?
序盤の展開でアクアとレティシアの姉妹のようなそんな関係が書けてればいいな。まだまだ力不足かもしれないけど、
そういう部分ってやっぱり重要だと思うからしっかりと書けるようにしないといけないな。
後半部分はセレスですね。彼女の放った冗談。どうだったでしょう? こんな事をいうのも彼女なら大丈夫かな?
にしても出ると必ず話が明るくなるな、セレスは。いまのところは吉と考えてますが……。
それでわ、次の後書きで(^_^)/~