アクア 遺跡へ
(4)



 さきほどとは打って変わって、昼間のように明るくなった遺跡内。
 セレスの放った照明魔法だ。その閃光はガーディアンのみならず、暗闇に慣れてしまったアクアの目さえも刺激した。
「!?」
 両手を目の前にかざし、なんとかその光から逃れようとする。
 しばらくすると、光が一点に収束し、光の球となって部屋の中央の天井よりに浮遊するようになった。
 そして、アクアの視線の先には……。
「ハッ!!」
 セレスのロングソードが真一文字にガーディアンを切り裂く。だが、かすり傷程度で致命傷には至っていない。
 一体を切ると当時に地面を蹴り、間合いを取る。さすがに3体相手に接近戦は自殺行為に等しいのだろう。
(あ…あ、どうしよう? 私はどうすれば……)
 セレスを援護しようにも、どうすればいいのかわからない。それに、矢を放ってセレスに命中してしまったら…?
 自分の震える手を見つめながら、様々な思いが頭の中を駆け巡る。
「この!!」
 間合いを取ると同時にブーツに仕込んで置いたナイフを投げつけ、相手を牽制する。
 と同時に、剣を持つ手とは逆。すなわち左手に赤い球体を作り出す。
「くらえ!!」
 それを放つ。だが、ガーディアンには命中せずにその足元に着弾。爆風とともに石畳が砕け、石つぶてが舞う。
 その中を躊躇せずに飛びこむと、一体のガーディアンの心臓に深くロングソードを突き刺した。
「……フラム」
 セレスの口から呟き出た言葉。それが合図になったのか、突き刺されたガーディアンの身体が炎に包まれる。
 当のセレスは巻き添えを食う前に剣を引き抜き、アクアのもとまで戻ってくる。
「ほら、ボケェっとしてるんじゃないの。しっかりとしなさい!」
 剣についた血を布で抜き取ると、呆けている彼女の背中をさきほどと同じようにたたく。
「………」
 しかし反応はない。
「アクア?」
 手を顔の前で振る。
「……」
 それでも反応はない。どうやら立ったまま気絶してしまったようだ。
 大量に吹き出したガーディアンの血しぶきの刺激が強すぎたのだろう。
「あちゃ〜、まさか気絶しちゃうとはね〜」
 手を額にやり、しまった、というリアクションを取る。
「しょうがない。こいつらはアタシで始末しちゃいましょうか」
 再び剣を構えるとゆっくりと間合いを詰めていく。
 1体がやられたことにより向こうも警戒しているのか、いままでよりも慎重な動きを見せるようになっている。
(…なんか頭を使ってきたみたいね。両脇から挟むつもりかな?)
 相手の間合いの取り方や、動きなどから推測する。
 ジリジリと詰めてくるガーディアンオーガー。対する、待ちのセレス。
 しばらく膠着状態が続く。先に動くはガーディアンオーガー。
 セレスの両脇にバラけると、両サイドからの攻撃を展開する。
 4本の豪腕がセレスに襲い掛かる。それを前方に転げるようにしてかわすセレス。
 すぐに態勢を整え、次の攻撃に備える。セレスの視線にはガーディンオーガーの足。
「クッ!」
 側面に転がる。その先にはすでに敵がいた。
 そこでも、相手は踏みつけにかかる。
「てあ!」
 剣を振る。無茶な態勢なので力は入らないが、牽制には十分だ。振った剣はガーディアンオーガーの足を傷つけた。
 傷をつけたことによる一瞬のひるみを見逃さず、すかさず万全の態勢を整える。
(あんまり長引かせると不利ね。とっとと片をつけないと)
 一足飛びにガーディアンオーガーに飛びかかる。向かってきた侵入者に対し、容赦なく豪腕が振り下ろされる。
 しかし、それは空を切る。セレスが地を蹴り、進行方向を変えた。
 勢い余って隙だらけな一体のわき腹にロングソードを突き刺す。
「フラム…」
 さきほどと同じ言葉。
 やはりガーディアンオーガーの身体は炎に包まれ、絶命した。
 巻き添えを食う前に剣を引き抜き、宙を舞う。
 炎でセレスを見失ったもう一体の頭に容赦なく、剣を突き立てる。
 おびただしい血をふき、ガーディアンオーガーはその場に崩れ落ちた。
「ふぅ…」
 剣についた血。そして返り血を軽くふき取ると、通路側の壁に身体を隠すようにして立つ。
(そろそろかな?)
 全神経を通路に集中。すると……。
 カサカサ…カサ。
 なにかの気配が闇から伝わってくる。
(きたな。気配から察するに4足歩行型。数は一体か)
 さきほどの戦闘が嘘のように遺跡内は静まり返っている。哨戒型の移動する音がイヤに無気味に響く空間。
(………)
 ジッと息を潜める。そして…。
 ヒュ!! ……ドサ…。
 空を切る音と、倒れる音。
「さて、これで少しは時間が稼げるかな。とっととアクアを起こしてここから離れないと」
 地面に倒れたガーディアンを確認すると、指をパチンと鳴らす。
 それが合図だったようで、天井を浮遊していた光の球が弾けて消える。
 再び暗闇の戻った空間にセレスの足音だけが響いていた。



後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第17話『ドラゴン乗りの少女 アクア 遺跡へ (4)』掲載完了です。
 今回の小説では初の戦闘描写かな? う〜ん、対して進歩はないな。頑張っていかなければ。
 にしても、アクアが気絶しちゃうとはね〜。こんなんで大丈夫?(俺がいうなってか)この辺は本人に頑張ってもらうということで
 よってセレス対ガーディアンでした。まあ、セレスが強いのは当たり前ということで。
 なんせいままでも剣一本で生き延びてきたわけだし、これくらいはないとね。
 まだまだ遺跡調査の話は続きます。戦闘はあと2.3回くらいかなぁ? 途中の経過はハショるかもしれない。
 補足として、照明魔法と書いたけど、系統としては物理魔法に入ります。わかりやすくしただけですので。
 


2000年 10/22 ぱんどら

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