ルドラVSアルフレッド
(1)



「退屈じゃな」
 遺跡の入り口脇にドッシリと座っているドラゴンが喋る。言わずとしれたルドラだ。
 すぐ脇に金髪の少女、レティシアもいる。あれからもほとんど喋ることなく、遺跡の出入り口を凝視している。
「お前がそれほど心配しても仕方ないじゃろう。気持ちはわからんでもないが、心配せずにゆっくりと休んでいろ」
 さきほどからこういって、レティシアにもっと休息するように勧めるが、それを聞き入れてくれない。
(…ふむ、まあ、仕方ないことじゃな。アクアとセレスか無事に帰ってくれば済む問題か…)
 首を持ち上げ、しばらく周りに注意を払う。危険分子がやってきていないかを1時間に一度ほどで確認しているようだ。
(こんな辺境にくるようなものはいないか……)
 索敵を止め、また眠ろうとしたとき……、
(!?)
 すさまじいほどの殺気がルドラを包み込む。明らかに狙いは自分。そして殺すつもりで接近している。
(アクアが話していた、ドラゴンスレイヤーの小僧か。できれば戦闘はしたくないが、やむを得ないな)
 当然レティシアはその接近に気づくはずも無い。変わらずに心配そうな瞳で遺跡を見ている。
「レティシア」
 ゆっくりと呼びかける。その呼びかけに答え、レティシアがルドラのほうを向く。
「しばらくわしから離れていろ。客がきた…」
 意味はすぐに感じ取れなかったらしく、小首をかしげるような仕草をする。
 しかし、その無邪気な仕草もその『客』を見た瞬間に脅えと変化していった。
 ガサ…ガサガサ…。
 目前の茂みが揺れる。そしてその先から現れたもの。
 漆黒のマントを羽織り、両の目にすさまじいほどの殺気を携えた青年。アルフレッドだ。
「見つけたぞ! ドラゴン。今度は見逃すわけにはいかん。お前を殺す!!」
 腰から剣を引き抜き、まっすぐにルドラへと突きつける。
「いけ! レティシア!」
 叫ぶ。しかし、レティシアは動けない。あのときの恐怖。そしてアルフレッドの放つ殺気に萎縮してしまっている。
(仕方ない。被害を最小限に留め、撃退するしかないな)
 翼を羽ばたかせ、レティシアから若干の距離を取る。それでも、距離としては、20mほどしか離れることができない。
「ふん、その小娘に手をかけるつもりはない。その点は安心しろ」
 剣を突きつけたまま、ルドラにいう。
「それは、感謝じゃな。しかし、わしとお前がぶつかれば少なからずの被害がいくと思うがの? ここは引いてくれんか?
わしもできることなら戦いたくない。それにわしに勝てると思っておるのか?」
「さあな。確かに知恵あるドラゴンに喧嘩をふっかけたことはないので、わからんが…ドラゴンは殺す。それだけだ」
 構えを取る。剣先をまっすぐにルドラに突きつけ、体重を前よりにかけている。
「引くつもりはないか。…ならば多少の怪我は覚悟してもらおう!」
 ヴァサ!!!
 両翼を思いきり開く。その勢いで突風が吹き荒れ、木々が悲鳴を上げる。
「クッ!!」
 両足を踏ん張り、風に耐える。それでも、ジリジリと後ろに引きずられていく。
 レティシアは抗うことができるはずもなく、軽く後ろに飛ばされてしまった。
 そのおかげか、意識がある程度はハッキリしたらしく、すぐにさらに遠くまで離れていく。
 それを見届けたルドラが安心したかのように笑う。
「こい! ドラゴンスレイヤー!!」
「いわれなくてもいくさ。覚悟しろ!」
 前に走る。狙いはルドラの腹。その剣先が突き刺さる瞬間、風が吹いた。
 ルドラの右の爪がアルフレッドに襲い掛かる。
 その爪がヒットする瞬間、アルフレッドの姿が消えた。残ったのは地面に突き刺さった剣のみ。
「…上か!」
 ルドラが空を見上げる。
そこには、背中からもう一本の剣――明らかにさっきよりも大きい――を構えドラゴンの顔めがけて落下してくるアルフレッド。
「もらった!!」
 高らかに叫ぶ。自分の勝利を信じて疑わないかのように。
 ドス!!!!
 剣が突き刺さる。
「!?」
 アルフレッドは一瞬我が目を疑った。そこにあるのは地面。突き刺さったのはドラゴンではなく、地面だった。
 あの刹那の瞬間。ルドラがその場から消えた。
「なに!? どこだ! どこにいった!?」
 巨大な剣を地面から引きぬき、構えながら、周囲を見渡す。
「…ここだ」
 背後からの野太い声。あせりの表情とともに振り返ったところにルドラが立っていた。
「クッ…馬鹿な!! あの一瞬で背後に回るとは…」
 さすがのアルフレッドも驚きの色を隠せない。汗をかき、明らかに動揺している。
「ふん、わしを他のドラゴンと一緒にしてもらったは困るな」
 ルドラがいう。あながち、お前ではわしをたおせない、という言葉もハッタリではなく、真実を含んでいるようだ。
(これが、知恵あるドラゴンの力…。他のドラゴンとは流石に一味違うようだな。殺り甲斐がある)
 再び剣を構えなおし、戦いの意思を見せる。
「まだやるのか? ぬしほどの実力ならば見切れたはずなのじゃがな」
「実力の差など関係無い。ドラゴンは殺す。……それだけだ!」
 動揺を捨て去るかのように叫ぶと再びルドラに向かって走っていった。



後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第19話『ドラゴン乗りの少女 ルドラVSアルフレッド』掲載完了です。
 遺跡の地下から一気に場面転換。ルドラとアルフレッドの闘いです。はてさて、どうなることやら。
 前から書きたかったんですよね、コレ。ただ、機会がいましかなく、ここで登場となりました。
 ルドラの戦闘力とアルフレッドの力がうまく書ければいいと思います。難しいけどね、バランスが…。
 いろいろと表現とか頑張っているつもりなんだけど、まだまだかなぁ? 自分ではよくわからん。もうちょいかな?
 まあ、あと1話か2話ほど続く予定なんでお付き合いください。
 それでは、次の後書きで(^_^)/~



2000年 11/5 ぱんどら

アクア 遺跡へ (5) ルドラVSアルフレッド (2)
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