遺跡の守護者 (1)



 …ギ…ギギギ…。
 ひっかかるイヤな感じの音を響かせながら観音開きの扉が開かれる。
 先に待つものは宝物庫。アクアの期待は膨らむ。きっと頭の中で金銀財宝を想像しているのだろう…。
「……」
 宝物庫を見たアクアはキョトンとする。足早に部屋に踏み入ると、あちらこちらを見渡す。
 しかし、アクアの想像していたような景色は見えない。なにひとつない地味な部屋。
「あ〜あ、残念だったわね、アクア。想像通りじゃなくてさ」
 アクアの後ろから笑い声。声を抑えてセレスが笑っている。
「……」
 思わず取ってしまった行動と、部屋のギャップに気恥ずかしさを感じ、顔を赤らめうつむいてしまった。
「まあまあ、ヘコまない。ここはまだ宝物庫じゃないんたからさ」
 ポンポン、とアクアの肩を叩き、慰めの言葉をかける。
「…うん。ところで…千里…鏡…だっけ? それはどこに?」
 恥ずかしさを隠すためか、それとも真剣なのか、セレスの方を振りかえり本題に入る。
「……えっと…」
 なにもない空間を見渡す。なにかを探しているようだ。
「…ついてきて」
 その『なにか』を見つけたのか、アクアに目配せをするとそう告げた。

 二人がついた先は部屋の一番奥。
 ちょうど祭壇のような形になっているようだ。
「……」
 無言で祭壇を調べている。この調べ作業中にはアクアは一切口を開かないようにしていた。
「…あった」
「なに?」
 セレスが見つけたなにかを覗きこもうとするが、それはセレスに止めらてしまった。
「いい、これを押せば宝物庫の扉が開かれる。でも、それと同時に守護者も目覚めるわ。……準備はいい?」
「……うん、大丈夫」
「わかった。押すよ」
 カチリ…。
 小さい音のはずなのにいやに空間にその音が響き渡った。
 しばらくすると、祭壇が壁の奥に移動し、その下から隠し階段が現れた。
「!? きた!!」
 ドン!!
 アクアを突き飛ばし、自分はすぐに祭壇から間合いを取る。
 飛ばされたアクアはなんとか受身をとり、武器の準備を整えようとする。
 開かれた地下の入り口からひとつの個体が勢い良く飛び出してきた。
 それは彼女らの前方、数メートルの辺りに着地すると、ゆっくりと身体を返す。
「……あれが…?」
 右手に弓、そして左手に矢を持ち、セレスに聞く。
「そう、この遺跡の守護者。ガーディアンマスターのようね」
 セレスも剣を抜き取り、青眼に構える。
 守護者は地面から数メートルの高さをふわふわと漂うように浮遊し、こちらの様子をうかがっているようだ。
 ちょうど魔術師が着ているようなゆったりとしたローブ。そして帽子。一見すると魔法使いタイプといえるだろう。
「気をつけて。魔術師に見えるけど、それ以外にも接近戦も得意かもしれない。見た目に惑わされてはダメよ」
 軽く後ろを振り返り、アクアに注意を促す。
「とりあえず、様子を見る。アクアがヤツを牽制して。その隙にアタシが飛び出すから」
「でも、危険なんじゃ…」
 その問いに、ニヤリと笑いながら、
「アタシの心配するなんて、まだまだ早いわよ。自分の身を一番に守るようにね」
 そういって、少しだけ、守護者との間合いを詰める。向こうはそれでも動く気配を見せようとはしない。
(そうね。いまは自分の仕事。セレスの援護をしっかりとしないと)
 矢をつがえ、セレスの背後から少しばかり右横に軸をずらしながら、アクアも守護者に近づいていく。
 それでも、守護者は動かない。彼女らの行動を静かに見守るだけだ。
 何か策があるのか、ないのか。帽子をまぶかに被っているせいで、表情が見えず真意を掴みようがない。
 二人と守護者の距離が5メートルほどになると、セレスが振りかえり、目配せで合図を送ってきた。
 その合図に頷いて答えると、つがえていた矢を守護者に向かって放つ。
 シュッッ!!
 空気を切り裂く音と共に、矢はまっすぐに守護者へと向かう。
 そして、矢が放たれたと同時に、セレスの動く。得意の俊敏な動作を持って、一瞬にして間合いを詰める。
 右側から矢。正面からはセレスの剣。ふたつの刃が同時に守護者に襲い掛かる。
 だが……。
 守護者が置いた右手に矢が当たる前に、突然弾かれたように矢があさってのほうへと方向を変えた。
 そして、正面。いつのまに作ったのか、火球がセレスの進行方向を塞いでいた。
「!?」
 無理やりに進路を変え、火球への直撃をなんとか回避することに成功した。
 しかし、地面を転がる形で回避したために、次の初動が鈍る。
 そのわずかな隙を見逃さず、すかさず次の魔法を放ってきた。
 今度は火球ではなく、氷の矢。まっすぐにセレスに向かって直進してくる。
「!! しまった!?」



後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第20話『ドラゴン乗りの少女 遺跡の守護者 (1)』掲載完了です。
 なんとか無事に書き終えることができました。なんだかここ最近はギリギリです。
 連続してバトルの話なんで書くのがちょっとツライですね。マンネリになってやしないか、ちょっと不安……。
 予定としてはあと2話くらいで片付けたいところですね。あんまりダラダラとやっててもしょうがないから。
 早いトコ本題にいってもらいたいです。オレとしては…。
 でわでわ、次の後書きで(^_^)/~



2000年 11/26 ぱんどら

ルドラVSアルフレッド (3) 遺跡の守護者 (2)
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