遺跡の守護者 (2)



「セレス!?」
 左手に持った弓を地面に投げ捨てると、すぐに魔法の準備を始めた。
 本来ならば増幅させたほうが当然の事ながら威力が高くなるのだが、いまはそんなことをしている暇はない。
 速攻で作り上げた炎の矢をセレスめがけて放たれた氷の矢に撃ち放った。
 それはまっすぐに氷の矢に直進し、セレスの眼前でヒット。
 軽い小爆発とともに、守護者の魔法と相殺しあい、消滅した。
 その隙にセレスは地面を横転し、相手と軸をずらしながら、起きあがる。
「ナイス援護。その調子でね」
 アクアのそばまでやってきた彼女は、肩を叩きながらそういった。
「うん。でも、大丈夫?」
「ええ、なんとかね。でも、だいたいはわかったわ。ヤツは完全に魔法タイプね。なんとか魔法を使われないように接近戦に持ちこむのがベストだと思う」
 視線は守護者に警戒を向けたままアクアと会話する。
「問題なのはシールドね。矢と剣の同時攻撃は通じないわ。かといって並の魔法でもきっとダメでしょうね」
「…それじゃあ、打つ手はないの?」
「ないわけじゃないけど…。アクア次第というところかな?」
「私次第? どういう……」
「お喋りはそこまで。ヤツが動いたわ」
 セレスの言う通り、両手の手のひらを二人のほうに向けて、魔法を放ってきた。
 炎と氷の矢が3つずつ。まっすぐに向かってくる。
「小手調べみたいね。この程度じゃやられないわ」
 前方への突進とともに、剣を振り、魔法をすべて切り払う。
 そしてそのまま、守護者へと切りかかるが、やはり同じように手から発せられたシールドによって防がれてしまう。
 それでも、連続して剣を振り続けるが、すべてマナで作り出された壁で阻まれてしまう。
「ハッ!! ッア!」
 ブン! ブォン!!!
 セレスの気合いの声と共に、剣がうなりを上げ空気を切り裂く。しかし、状況は変わらず守護者を切り裂くことができない。
「チッ!」
 舌うちをすると同時に、守護者の作り出したシールドを足で蹴ると、その勢いで宙を舞いながら再びアクアのもとに戻る。
「大丈夫?」
 再び側にやってきたセレスに言葉をかける。
「まあ、なんとかね。接近戦なれば魔法は使えないだろうから。ただ、やっぱりシールドね…」
「さっきもいってたけど、私次第って……」
「…それ? アクアに本気で魔法を放てる覚悟があればって話」
「どういうこと?」
「さっき、守護者の魔法を相殺したでしょ? 魔力が互角っていうことよ。本気であいつを殺るつもりで放てばきっとシールドは破れる」
「……」
 セレスの話を聞き、言葉を失うアクア。
 ここにつくまでの間、確かにいろいろな戦闘をしてきたが、止めはすべてセレスが刺してきた。
 アクアはまだ自分の魔力すべてを引き出しているわけではない。それはセレスから魔法を教わったときに実証済みだ。
 あの頃より威力が増しているのは恐らく戦闘をある程度経験したからだろう。それでも全魔力を引き出すには至っていない。
 そして性格。優しすぎるその性格が、殺す、という行動を否定し続けている。
「でしょ。あんまり期待はしていない。時間をかければ破れないこともないしね」
 アクアの沈黙から読み取ったのか、そう告げる。
「…ごめん……。私のせいで…」
「なにいってるの。いいのよ、気にしないで」
 ポンポンといつものようにアクアの肩を叩くと、三度守護者に立ち向かっていく。
「ハッ!」
 剣を振る。そしてそれら合わせ守護者がシールドをつくる。
(きた! このまま、軌道をかえれば!)
 手首を無理矢理に返し、剣の軌道を横薙ぎから、上に向かって斬りかえした。
「!?」
 これには守護者も不意をつかれたようで、その攻撃に対する準備が間に合わない。
「よし! いけ!!」
 気合いと共に、剣を振りぬく。
 ザシュ!!
 そのまま、剣は守護者の頭を斬る。しかし、傷は浅く、致命傷には至っていない。
「まだ!」
 上に振りぬいた剣をそのまま今度は下に切り返す…が!?
 突然、自分の腹に熱い物を感じた。
「しまった!?」
 いつのまに作り上げたのか、守護者の魔法がセレスを撃っていた。
「ガハッッ!!」
 低いうめきとともに、セレスは部屋の床を滑るようにして転げた。
「セレス!?」
 壁に打ち付けた背中をさすりながら、よろよろとセレスが立ちあがる。
「大丈夫よ。商売柄、防具は魔法耐性の強いもので覆ってるから」
 セレスの言う通り、焦げた服の下からは、銀製っぽい素材で作られたなにかがキラキラと光っている。
「…でも……」
 心配そうにセレスの背中に手を伸ばすアクア。
 しかし、セレスはその手を振りほどく。
「アタシは大丈夫よ。それよりもしっかりと援護お願いね。そうでないと、思いっきり飛び込めないから」
 地面に転がった剣を拾い上げると、再び構えを取る。
「うん、わかった」
 決意を新たに弓に矢を番え、守護者へと向ける。
 町娘ではなく、冒険者の瞳で。


後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第21話『ドラゴン乗りの少女 遺跡の守護者 (2)』掲載完了です。
 さ〜て、バトル2話目。いかがなもんでしょう?
 以前と同じく、アクアではなく、セレスが活躍しているのがちょっとアレかな…? アクア、主役なのにね…。
 次回かその次辺りでもっと活躍してくれたらオレは嬉しいですね。筆者のオレがいう言葉ではないかもしれないけど…。
 予定では3話構成なんだけど、5話構成になりそうかな〜。だらだら感がないようにしないとな。その辺が難しい。
 でわでわ、次の後書きで(^_^)/~



2000年 12/3 ぱんどら

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