ドラゴンの遺跡攻防戦
(1)
アクアらが遺跡に突入してから、早くも3時間近くが経過しようとしていた。
塔の目前では、帝国兵、そしてハンターたちが入り乱れての乱戦となっていた。
時折、帝国側から聞きなれない凄まじい轟音が響き渡ることがある。
帝国軍が発掘し、使用可能としている旧時代の兵器だ。
なんの対処法も確立されていない軍相手ならばかなりの戦果をあげるのだろが、ハンターたちは十分のそれを心得ていて被害を最小に抑えている。
彼らの戦い方は独特だった。帝国兵は猪突猛進に近い形で突撃してくる。それはこの乱戦で指揮系統が乱れているせいも多少はあるのだろうが…。
反対にハンターたちも指揮系統は乱れているにもかかわらず、皆の戦い方はあまり崩れていない。
基本的にヒットアンドアウェイのような形での戦いとなっていた。これは遺跡などから生き残るために自然と身についたのだろう。
帝国VSハンターの戦闘域から少しはずれたところにルーシアとアルフレッドが対峙していた。
「貴様…。何者だ…」
正直いって彼は驚きを隠せずにいた。自分と対等に戦える人間がいるということに。
「さてね。ただの名もない戦士だよ」
真面目に答える気のないルーシアはバカにするように微笑を浮かべながら言った。
「ふん、言わずとも察しはつくがな。……いくぞ…!」
自分の身長と対してかわらない大剣を頭上で一振り回すとルーシア目掛けて走る。
ゴゥ!!
唸りをあげて大剣がルーシアに襲い掛かる。
ガキン!!
凄まじい金属音と衝撃がルーシアの両手、そして剣に走った。
しかしこんなことでいちいち怯んでいたら身体がもたない。すぐに剣を返し、大剣をさばく。
ヒュ! ドス!!
「グゥゥ!」
アルフレッドの大剣をさばくと同時にその腹に蹴りを見舞う。
直撃を受けたアルフレッドは思わず2.3歩あとずさる。
すかさず流れるような足運びでアルフレッドとの間合いを詰めると、バスタードソードを振るう。
このバスタードソードもセレスと同じ旧時代の代物だ。
セレス愛用のロングソード同様に刀身にはみたことのない文字が刻まれている。
ガン! カキン!! グァン!!!
ふたりの剣がぶつかり合う金属音があたり一体に木霊する。
その凄まじい音は帝国とハンターの戦闘域にも届くほどだ。
「…こしゃくな! ハッ!!」
短い呼気と共にさきほどルーシアにされたようにアルフレッドが剣を弾いてきた。
「!!??」
思わぬことに態勢を崩すルーシア。そこにすぐさま間合いを詰めてくるアルフレッド。
…だが、ルーシアとの間合い一歩手前でアルフレッドが止まった。
「ふん、そんな子供だまし、通用せんぞ!」
「なんだ、バレバレか」
ニヤリと笑いながらルーシアがあっさりと態勢を立て直す。崩されたように見えたのは引っ掛けるための演技だったのだ。
しばらくの膠着の後、二人が剣を地面に突き刺した。
「ふっ、なかなか楽しい戦いだ。人間と剣を交えてこんなに楽しいと思えたのは初めてかもしれんな」
アルフレッドの目。それはドラゴンを狩る者の目ではなく、ひとりの戦士の目だった。
「なんとなくその気持ちわかる気がするな。過ぎた強さってのは回りに卑怯と取られる場合があるからな」
ルーシアは笑っていた。彼もアルフレッドと剣を交えるのが楽しいのだろう。
お互いの使命。
ドラゴンを狩る。
ドラゴンを守る。
もうふたりの中にはそんなことはないのかもしれない。
あるのはただひとつ。
『剣を交えるのが楽しい。コイツに勝ちたい』
という気持ちだけなのだろう。
「さて、そろそろ第2ラウンドといくか?」
アルフレッドが柄を握る。
「そうだな」
ルーシアも柄を握った。
「これが合図だ」
アルフレッドは懐から一枚のコインを取り出すとそれを宙に放り投げる。
それと同時にふたりは剣を構える。
風が抜け、コインは宙を舞う。頂点に達したコインは重力に引っ張られ、また地面に落下していく。
再び風が抜ける。
(もう使命などどうでも良くなってきた。コイツを倒す。いまはそれだけだ)
(戦いが楽しいか。そういう意味では俺とあいつは似ているのかもしれないな)
……コインが落ちた…。
そして2匹の竜虎が再びあいまみえる!!
後書き
どうも、筆者のぱんどらです。 オリジナル小説第2章・第40話『ドラゴン乗りの少女 ドラゴンの遺跡攻防戦(1)』掲載完了です。
なんだか最近いっつもギリギリです。今回はマンガやらゲームやら…いつもと同じですね。
なんとか書きあがったんで良しとしましょう。
さて今回は視点を変えて、ルーシアVSアルフレッドですね。
ひとつの狙いのようなモノがあったんだけど、ちょっと……ですね。
そういった感じの細かい表現は難しいです。頑張って書いていけばいずれは上達するんでしょうけど…。
では、次の後書きで会いましょう(^-^)/~