ドラゴンの遺跡攻防戦
(2)


 ガン!!  ズドォォン!!!! キィン!!!
 帝国軍の使用する兵器の轟音の中にわずかながら剣劇の音が混じっている。
 ハンターと帝国の戦闘域からわずかに離れたところから…。
「ハッ!」
「フン!!」
 ルーシアとアルフレッドだ。お互いが自分の持てるすべての力を発揮し戦っている。
 剣がぶつかり合う度にすさまじい音が響き渡り、そして火花が散る。
「マナよ! 破壊の炎となれ!!」
 アルフレッドが短く叫ぶ。同時に彼の手に巨大な炎が膨れ上がった。
 ゴォウ!!!
 その炎はまっすぐにルーシアめがけ飛んでくる。
「なんの!」
 凄まじいスピードで剣を振り抜き、その巨大な火炎を切り裂く。
 そのまま剣を地面に突き立てると、マナを集め魔法を発動させる。
 剣のすぐ前に風が吹き荒れ、それは柱となった。
「くらえ!!」
 剣を地面から引き抜き、その風の柱をアルフレッドめがけ放つ。
 風は強烈な唸り声をあげながらアルフレッドめがけ走る。
「ヌ…ォォォォオオ!!」
 奇声を上げ、剣を最上段に構えると渾身の力を込め! 風の柱に向かって振り払った!!
 信じられないことに剣は風を切り払う。
「この! これなら!!」
 間髪入れず再びルーシアはマナを集め風の刃を作り出す。
 それは無数の円形となり、アルフレッドに襲い掛かる。
「効かん!!」
 巨大な剣を振り、その無数の風の刃をすべて弾く。
「いくぞ!!」
 風のすべてを弾き、すぐにルーシアに向かい走り出す。
 ルーシアもそれを受けて立つ。
 ガァキィィン!!!
 2本の刀身がぶつかりあい、お互いに全力で押しぬこうとする。
「…ク!!」
「ヌォ!!」
 ガィン!
 ルーシアが渾身の力を込め、アルフレッドの剣を弾く。突然のことにたまらずアルフレッドは態勢を崩してしまう。
「くらえ!!」
 火と風。ふたつを合成し魔力で雷を作り上げるとそれをアルフレッドに向かい放つ。
 天から降る雷は彼の剣を目標に襲い掛かってきた。
「ハッ!」
 アルフレッドは剣を地面に突き刺すと同時に突風を作り出し、自分を雷の効果範囲から吹き飛ばさせる。
 チャンスとばかりにルーシアは攻め込もうとするが、アルフレッドの投げたダガーによって防がれてしまう。
「やるな、さすがに」
 ダガーがかすってわずかに切れた頬を撫でながら言う。
「貴様もな」
 チャ。
 剣を地面から引き抜く。
「いくぞ!!」
 二人は同時に叫び、そしてまたぶつかり合った。


「ふぅ、大分あがってきたわね。ここらで休憩にしましょうか?」
 剣を構えたままでセレスが言う。
 もうすでにどれくらい上がってきたのか、3人は忘れてしまっている。
 ただひとつ確実なのは、一歩進むごとにドラゴンに近づいているということだけだ。
「休むっていってもガーディアンの連続でそれどころじゃ……」
 そう、度重なるガーディアンの強襲にいままで休めずにいたのだ。
 休もうとするたびにガーディアンが出現し、傷の手当ても満足にできずにいた。
「大丈夫。今はここに気配がしないから。ちょっと待ってて」
 そういってバッグからワンドを5本取り出すと、比較的広くなっている通路に五芒星の形になるように配置する。
「さっ、準備できたわ。この中に入って」
 五本のワンドの中心に立ちながら、こっちこい、と手招きする。
「あ…うん」
 なんのことだかわからないが、誘われるままにそのワンドの輪の中に入った。
「ルドラは悪いけど…」
「うむ、姿を隠して気配を絶とう」
 セレスの言わんとしていることがわかっているらしく、ゆっくりを姿を消し始める。
「ゆっくり休むがいい。最上階はもうすぐだ」
 消える寸前にルドラはそれだけいうと、やがて姿、気配共に完全に消し去った。
「さって、んじゃ…こっちの番ね」
 床に座り込むと剣をワンドの五芒星の中心に突き刺す。そして目を閉じ、手でなにかの印を結ぶと呪文らしきものを唱え始めた。
「…ねぇ…セレス? なにを…!?」
 聞こうと思った言葉は彼女の真剣な表情で遮られた。ドラゴンの遺跡出発前夜に見たときと同じ顔。あの時と違うのは汗をかいているという点ぐらいだろう。
「……」
 聞くに聞けなくなったアクアは黙ってセレスの魔法の完了を待つ。
「……オン!!」
 呪文が唱え終わり、その言葉と共に手のひらを剣に向ける。
 カッ!!
 剣がまばゆい光を発し、その光は地面を伝わる。やがてワンドにぶつかると今度は上昇していく光。
 それらは頭上のある一点で集約されると、薄い光のカーテンを作り上げた。
「ふう…」
 手の甲で汗をぬぐい、小さな吐息をついた。
「セレス…これは?」
 魔法が完了したので、ついさきほど聞きそびれた疑問を口にする。
「これ? 結界よ。この中にはガーディアン、及び魔物の類は入ってこれないわ」
 いままで不動だった姿勢を崩すと今度は大きく伸びをする。よほど疲れたのだろう。
「…すごい…。セレスってこんなことまでできるんだ」
 アクアは目を輝かせながら尊敬の眼差しで彼女を見ている。
「まっ、アタシだけの力ってわけでもないけどね」
 セレスにしては珍しく謙遜だ。いつもならもっと調子に乗るはずなのだが……。
「どういうこと?」
「後で説明してあげるわよ。それよりも傷の手当て、済ませちゃいましょ」
 そういって今度はバッグから傷薬等を取り出すとアクアに見せる。
「あ、うん。そうだね」




後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第41話『ドラゴン乗りの少女 ドラゴンの遺跡攻防戦(2)』掲載完了です。
 本来ならこの話はルーシアVSアルフレッドで終わる予定でした。
 でも、うまく違うような戦闘描写ができず(どうしても似てしまう…)諦めて場面を半分半分に分けました。
 これで地上はあまり書く必要がなくなったからあとは塔を登るふたりに頑張ってもらうだけです。
 書いてて思うけど、もっと細かい描写ができれば変わるんだろうなー…。
  では、次の後書きで会いましょう(^-^)/~


2001年 4/29 ぱんどら

ドラゴンの遺跡(3) ドラゴンの塔
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