ガーディアンドラゴン
(1)


 ゴウゥ!!
 扉を開けると同時に火炎が目前に現れる。
「危ない!」
 アクアを抱えて、横に飛ぶ。
 ズシャァァ!!
 セレスが下になりアクアを地面落下の衝撃から身を盾にして守った。
「セレス!?」
 自分のすぐ下にある、セレスの顔を見ながら叫ぶように言う。
「ふふ、心配しなさんな。大丈夫よ」
 アクアに退くように指示する。彼女が自分の上から退くと、セレスも両手を使い起き上がる。
「いきなりやってくれるじゃない」
 乱れた前髪をかきあげる仕草をしながら、すぐ真正面にある扉の前に鎮座しているガーディアンを見る。
「…ド、ドラゴン?」
 アクアが驚く。ガーディアンでドラゴンがいるとは思ってもいなかったのだろう。
 ガーディアンドラゴンは竜としては小さ目の部類に入る。ルドラも小さいが、それよりも小さい。
 身の丈は3.5メートル程であろう。遺跡を守る、ということを考えれば妥当なサイズではあるが。
「最後でまともなのが出てきたわね。よし、気合いいれるわよ!」
 パァン! と自分の頬を叩き、気を引き締める。
 アクアも頬を叩くことはしないが、弓矢をしっかりと握り締め、真剣な眼差しになった。
 セレスは右へ。そしてアクアは左へ。挟みこむような感じでガーディアンドラゴンに近づく。
 ゴォウゥ!!
 ドラゴンが炎を吐く。セレスに向かって。だが、セレスはそれを避けようとせずに両の手のひらを炎に向け構えている。
「セレス!? 何を!!」
 アクアが叫ぶ。
「マナよ! 不可視の盾となり我を守れ!」
 カッ!! キィィーン!!
 わずかな光が発せられると同時に、高音が響き渡る。
 バァァァーーン!!!
 炎がセレスにヒットする……かのように見えた。
 ドラゴンの火炎はセレスの両手を真ん中にし、左右に分断されてそのまま後ろへと流れていく。
 丁度セレスの手のひらに盾ができているように…。
「ハッ!」
 短い呼気と共に彼女持ち前の瞬発力を活かし、炎を真っ二つに裂きながらドラゴンとの間合いを詰める。
「デヤァァ!!」
 ブォン!! キン!
 連撃をドラゴンに仕掛ける。そのスピードは凄まじく、まるで鞭を操っているのではないかと錯覚させるほどだ。
 だが、その攻撃はことごとくガーディアンドラゴンの強靭な爪、そして皮膚により防がれてしまう。
 時折隙をついては懐に入り込み、身体を狙うがそれも大した効果を得ることはできない。
 ヒュ!! ドガァ!!
 突然の風を裂く音と、何かと何かが激突するような音。
 それはドラゴンの遠心力を乗せた、尻尾の一撃。それを読んでいたセレスは間一髪で後ろに飛びのき直撃を免れる。
 それでも、セレスの身体は宙に浮く。状況こそ先のゴーレムと一緒だが、破壊力が桁違いだ。
 空中で受身を取ることもかなわず、セレスは錐揉み状にして地面を転がる。
 ヴァサ! ヴァサ!!!
 ドラゴンが翼を羽ばたかせ、セレスに追い討ちをかける。
「! させるか!!」
 それを見ていたアクアが矢を放つ。魔力を帯びてだ。
 彼女は特に意識はしていなかったようなのだが、持ち前の魔力により微弱ながら帯びたらしい。
 矢は淡い光を身にまといながらガーディアンドラゴンに目掛けて一直線に飛ぶ。
「グォ」
 カーン!
 ドラゴンが手で矢を弾く。そのわずかな隙にセレスが立ちあがり、間を取った。アクアの方を見ながら親指を立てている。ナイス援護といっているのだろう。
 再びセレスは走るとドラゴンに立ち向かう。アクアもいつでも援護ができるように、矢に魔力を帯びさせ構える。
「ハッ!! ッァ!」
 剣に魔力を付加させ、剣を連続して振る。
 ガン!! ギィン!!!
 だが、ことごとくドラゴンの爪により攻撃は防がれる。
「チッ!」
 このまま打ち合いをしていても先ほどの二の舞と感じたのか、すぐにドラゴンの間合いから離れる。
 ヒュン!
 そのタイミングを見計らっていたアクアが追撃防止に矢を放つ。魔力を帯びた矢はドラゴン相手に十二分に牽制となっている。
 ドラゴンは鬱陶しそうに矢を弾く。目前にセレスはすでにいない。
「どうするの? ドラゴンの皮膚は並大抵じゃないわ。斬れるとは思えないんだけど…」
 アクアがセレスに近づき、そっと耳打ちする。
「ええ、そのようね。確かに普通にやってたんじゃ、いたちごっこになるわ」
 額の汗を拭いながら言う。そんなことは言われなくともセレス自身が誰よりも承知していることだろう。
 その言葉を聞き、アクアがわずかながら落胆の色を見せた。
「大丈夫よ。まだアタシだって手の内すべてを出しているわけじゃないわ。すべての技を駆使してあいつは倒す!」
 剣を構え、はっきりと意志の感じられる言葉で言う。
 彼女がそう言うと、不思議となんとかなるかもしれない、そう思えてくる。きっとこの力でハンターを率いていたのだろう。
 アクアもセレスの台詞により士気が高まる。
「アクア、アタシは持てる剣技を駆使して、ドラゴンの動きを止めるわ。そうしたら……」
 セレスが自分の考えた作戦をアクアに話す。
「ええ!? 無理よ。私の腕じゃ!」
 驚きに目を見開かせ、アクアが言う。
「いいこと。やらないうちから無理なんていうものじゃないわ。実行すれば少なくとも可能性はゼロではなくなる。でも、やらなければ確実なゼロよ」
「……」
 セレスの迫力に圧され、言葉をなくす。確かに彼女のいうことは一理ある。でなければドラゴンを倒すこともできないかもしれないのだから。
「…わかったわ。やってみる」
 矢をしっかりと握り締め、セレスと同じ意志のある目、そして言葉で答える。
「上等!」
 答えに満足したのか笑みを浮かべ、アクアの頭をクシャクシャにしながら言う。
「そうと決まったら実行ね。いくわよ!!」
「うん!!」
 三度セレスはガーディアンドラゴンに立ち向かう。
 アクアは若干左に軸をずらしながら矢に魔力を込め始めた。
 



後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第46話『ドラゴン乗りの少女 ガーディアンドラゴン(1)』掲載完了です。
 今回はちょっと納得いってないなかなぁ。戦闘描写がだんだんとマンネリ化しているようで……
 いろいろと当たらし表現方法なんかも入れたいんですけどねー。想像力が貧困な自分がイヤになります。
 あまり関係はないけど、セレスの最後のあたりの台詞。
 某マンガの結構お気に入りのを少しもじったものです。どうでもいいんだけどね、こういうのは。
 では、次の後書きで会いましょう(^-^)/~


2001年 6/10 ぱんどら

そして最上階へ… ガーディアンドラゴン(2)
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