ガーディアンドラゴン
(2)


 セレスがガーディアンドラゴンとの間合いギリギリまで近づく。ドラゴンは今の所は炎を吐くつもりはないらしく、その素振りを見せていない。セレスもそれを感じとっているのか、さらに間合いをゆっくりとではあるが詰めていく。
 その背後。アクアが矢に魔力を込め始める。属性を帯びさせることはせず、純粋にマナのみを矢に乗せる。
「…ハッ!」
 セレスが剣を振る。
 ガキィン!!
 だが、ドラゴンの爪によって防がれてしまう。
 ブォン!! ヒュ!!
 ドラゴンの攻撃。爪が。腕が。そして尻尾。ありとあらゆる方向から死の牙がセレスに襲いかかってくる。
 どれか一撃でもまともにくらってしまってはタダでは済まないだろう。
 だが、彼女はその攻撃を見切り、反撃のために紙一重で避けつづける。
 避けると同時に攻撃。それと入れかわり、ドラゴンの攻撃。
 両者一歩も引かない攻防が続く。
 ガン! キィン!! ヒュン! ブォン!!!
 剣と爪がぶつかり合う音。そして風を切る音が部屋中に木霊する。
(このままじゃ動きを止めるなんてできないわね。いったん間を外して、技を使うか)
 ドラゴンの猛攻を交わしながら考える。
 ヒュン! ドガッ!
 上空からのドラゴンの尻尾。それを待ってましたとばかりにバックステップで交わすと、ドラゴンとの間合いを離す。
「ハァァ!」
 気合いと共に、剣に風を集める。その風はセレスの周りにも吹き荒れ、砂埃をあげる。
 剣を最上段に構える。彼女の周りにあった風も、今ではすべて剣に収まっている。
「くらえ!! 風の剣!!!」
 気合い一閃! 剣を振り下ろす!
 ゴォォゥォオオ!!!
 凄まじいまでの暴風がドラゴンに向かって放たれる。
 戒めから解かれた風は狂気と化し、石畳を砕きながら一直線に走る。
「グ…ガァァ!!!」
 ガーディアンドラゴンが己の翼を思いきり開く。その勢いでセレスの剣に負けずとも劣らない強風が発生する。
 それだけではあき足らず、翼を連続して羽ばたかせ、風の鎧を身にまとう。鋼鉄の皮膚だけでは逃れられない、という判断からだろう。
 ズガガガガガァァン!!!!
 風と風の激突!! 部屋中を石つぶてが躍り狂う。
 後方待機していたアクアはマナが散ってしまうのを覚悟で、両手で顔を覆い、つぶてから身体を守る。
 部屋が壊れてしまうのではないか、アクアは思った。過去の遺跡で自分が無我夢中で放った魔法以上の衝撃のように感じる。
 ……
 風が止む。恐る恐る、アクアは覆っていた両手をずらした。両足は地面についている。太陽の光は入ってきていない。少なくともこの部屋は破壊されていないようだった。
 この衝撃波でも壊れない、旧時代の建物の頑丈さに舌を巻く。
 アクアは知らなかったが、この手の旧時代の建造物の多くは衝撃吸収、及び魔力吸収の仕掛けが施されている。表面は破壊されるかもしれないが、中身にはまったく損傷を与えることはない。最もセレスはそれを知っているからこそ、強力な技を行使することができるのだろう。
 セレスが荒い息を吐きながら立っている。剣は構えたままで。止めを刺していないのだろう。
 アクアはセレスの視線を追う。そこには軽い切り傷程度を負ったドラゴンがいた。
 さすがに無傷とはいかなかったようだが、お世辞にもそれは致命傷といえるものではない。
「アクア! ボサッっとしてないで準備しておいてよ!」
 後ろを振り返ることなく、セレスが叫ぶ。
 それを聞き慌てて、再び矢にマナを込め始める。
 ゴオオォォウゥ!!!
 ドラゴンが咆哮と共に炎を吐く。一直線状の炎ではなく、火の玉を連発で。
「は! ふ! トァ!!」
 剣にマナを走らせ、炎を弾く。弾いた火炎はセレスの回りの床をえぐりとる。
 ゴォゥ!!
 再びドラゴンの炎。今度は一直線状だ。
「マナよ! 不可視の盾となれ!!」
 キィィィン!!
 甲高い音と共にセレスの手を中心にマナの盾が出来上がる。
 炎はその盾に遮られふたつに分かれ、セレスの後ろへと流れる。
 そのまま炎を遮った状態のまま、またドラゴンへと近づく。
「ダァ!!」
 剣にマナを込めた状態で連撃。だが、結果はかわらずドラゴンに通用しない。
 ガーディアンドラゴンも隙をついて攻撃に転じるが、それらを身をかわしたり、剣でいなしたりして防ぐ。
「ハァ!!!」
 ガギィン!
 横一閃。だが、渾身の力を込めた一撃もドラゴンには効かない。女ゆえの非力というのが影響しているのだろう。
 だからこそ、彼女はマナと剣を合わせた魔法剣を我流で会得し、かなりのレベルにまで昇華させたのだ。
 力では劣っても、技では負けない。いろいろな技を開発し、彼女は強くなった。
 今、このときのために。
 ガン!
 ドラゴンの攻撃を剣で受け止める。その力にさからわず、攻撃を流す。そして、セレス自身もその攻撃の力を利用して高く飛ぶ。
「ハァァ」
 剣に再びマナを集める。今度は属性を与えず純粋にマナのみをだ。
「くらえ、迅雷!!」
 中空で一回転し、重力に引かれるまま、剣を思いきり床にたたきつけた。
 ドゥ!!
 マナが衝撃波となり、地を走る。石畳を巻き上げながら。
 ドゴォォ!!
 衝撃波がドラゴンにまともにヒットする。地を走っていたマナが火山の噴火のように吹き上がる。
 強烈なマナが、そして発生した雷撃がドラゴンを包み込む。
「ガアアァァァ!!」
 ドラゴンの咆哮! 雷撃によるためか、一時的にドラゴンの動きがストップする。
 時間的には一瞬だったろう。だが、セレスはその隙を逃さない。
「アクアー!! 狙って!!!」
 後方で待機しているはずの、良きパートナーに託す。
 セレスの叫びと共にアクアが引き絞っていた弦をさらに絞る。
 狙う個所はただひとつ、全神経を研ぎ澄ませ、矢を…放つ!!




後書き

 どうも、筆者のぱんどらです。  オリジナル小説第2章・第47話『ドラゴン乗りの少女 ガーディアンドラゴン(2)』掲載完了です。
 ある程度は構想通りの書けました。思い通りにいったと思います。前よりは書きやすかったしね。
 もっとキャラの心理面とかを前面とまではいかないけど、上手に書けるようになりたいですね。
 今後はそういった点も含めて理想通りにいきたいものです。(前々からいってるけど…)
 にしても7〜9Kでは足りなくなりつつありますね。まとめ方が難しくなってきたように感じます。
 このシリーズはなんとかこれで収めるけど、番外編とか書くときは、どうなるかわかりません。
 書く量が増えたのは喜んでいいことなのだろうか?
 では、次の後書きで会いましょう(^-^)/~


2001年 6/17 ぱんどら

ガーディアンドラゴン(1) ガーディアンドラゴン(3)
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