プロローグ


「さて、こんなもんかな?」
荷造りをしていたらしく大きく膨れ上がったバッグを見ながらひとりの青年が呟く。
青年の名はルーシア、ここラキアの街に暮らしているごく普通の青年だ。
なぜこのような普通の青年が荷造りをしていたかというと、この街での退屈な暮らしに飽き旅に出ようというのだった。
バッグを背負い壁にかけてある愛用のバスタードソードを腰にかけると部屋を出る。
「本当にいくのか?」
部屋を出ると同時に誰かに声をかけられる。
ルーシアが声の方に向き直るとそこには親友のハッサンがいた。
「ああ、もう出発するところだ」
と背中に背負ったバッグと腰にかけてあるバスタードソードを見せる。
「そうか、それでいくあてはるのか?」
「いや、足の向くままにそのへんをブラブラと旅するさ」
「お前らしいな」
親友はルーシアの発言に苦笑する。
「それじゃあな」
そこまでいうと街の出口に向かって歩き出す。そんなルーシアの後ろ姿にハッサンは一言だけいう。
「また帰ってこいよ」
その問いにルーシアは振り返らずに右手を上げて答えた。
こうしてルーシアは生まれ故郷のラキアから当てのない旅に出発した。

いく当てもないルーシアは、ただひたすらに街道に沿って歩く。
ここを歩いていればいずれは街に着くと考えているのだろう。
だが街道を歩きつづけること3日。一向に街が見える気配はなかった。
「ミスったかなぁ。やっぱり逆の方にいくべきだったかな?」
最初の道を選ぶときに西か東かで迷ったのだが結局決めることが出来ずに、
剣を上に放り投げその剣先が向いている方の道を選びそして今にいたっているのである。
「今さらボヤいてもしょうがないな。そろそろ暗くなってきたし、今日はこの辺で野宿するか」
バッグの中から携帯式のテントを取り出しそれを組み立てる。
今度は近くにある川から水を汲み、その辺から拾ってきた木の枝などで火を起こす。
そしてそれに水をかけ中にいろいろな食材をいれ煮る。
「こんなもんかな?」
頃合を見計らって出来た食べ物をお椀に盛り、食べ始めた。
食べながらどうするかをじっくり考え込んでいるがもとから当てもなく旅をしているわけだから当然なにも思いつかない。
と、その時。
「キャアアアアア」
どこからか女性の悲鳴が聞こえてきた。
ルーシアはすぐに剣を取ると声がしたほうを見てみる。
その方向には森がうっそうと茂っていた。恐らくモンスターかなにかが出たのだろう。
ほっとくわけにもいかないのでルーシアは剣を構え森の中へと足を踏み入れた。
もう夜もふけっているので森の中は3m先が見えないくらいに暗くなっていた。
「こんなに暗くて見つかるのか」
当然の疑問が頭の中を横切るが運を天に任せ捜索を開始する。
しかし、ルーシアの心配をよそに悲鳴の主はすぐに見つかった。
その女性はルーシアを見つけるとすぐにかけよってきて助けを求めてきた。
「お願いです。助けてください。モンスターに襲われてしまって」
ルーシアは手で後ろにさがっていろ、という意思を伝えると腰のバスタードソードを構える。
女性のほうもルーシアの考えがわかったらしくすぐに後ろに隠れる。
しばらく待っているとオーガーがその姿を現した。
オーガーはルーシアを見つけると大きな雄たけびを上げ襲いかかってくる。
「ハッ!!」
オーガーの攻撃をかわすと同時に剣をオーガーの胴体めがけてなぎ払う。
その攻撃はオーガーのわき腹に食い込んだが致命傷には至らずに
元気いっぱいの状態でルーシアに襲いかかってくる。
「くそ、しぶといな」
舌打ちをしながらもオーガーの右、左の連続攻撃をうまくかわしながら攻撃を加えていく。
ルーシアが剣を振るうたびにオーガーに傷が増えるが、それでも倒れずにルーシアに攻撃を仕掛ける。
このままではキリが無いと思ったのかオーガーの一撃を横に飛びのくようにかわすと
そのままオーガーの腹に剣を深深と突き立てる。オーガーは断末魔の叫びを上げると地面に崩れ落ちた。
「ふぅ、やっと終わったか」
剣を鞘に収める瞬間にルーシアに油断が出来た。倒れたはずのオーガーが突然立ち上がりルーシアを思いきり投げ飛ばす。
それが最後の力だったらしく、その場にオーガーは力無く倒れる。
一方の投げ飛ばされたルーシアは木に思いきり頭をぶつけそのまま気を失った。
「大変、なんとかしなくちゃ」
ルーシアが気を失う寸前にそんな言葉が聞こえたがそのまま意識は深い闇の中に吸い込まれていった。


後書き
ども、筆者のパンドラです。今回は悠久から離れてオリジナルを書いていきたい思いこの作品を書きました。
まだプロローグなので当然のことながら話は続きます。
どんな展開になるかは不明です。もう、思いつきのままに書いてるからどうなるか自分でもわからない。
次回がいつになるかも不明です。

1999年 10/7 パンドラ


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