世話焼き? お節介?
私とルーシアがルドラさんと出会ってから1ヶ月がたちました。
その後も大きな事件もなく街は平穏そのものです。
私のまわりは相変わらずアルスがちょっかいをだしてきてルーシアがそれを撃退するという毎日ですけど。
ルーシアにもまた新しい友人ができたみたいでよく遊びにきます。
このままずっと平和だったらいいな。
コンコン。
ルーシアが部屋で調べ物をしていると扉がノックされる音が響いてきた。
「開いてるよ〜」
本から視線を変えずにノックの主にそう返事する。
ガチャリと扉を開けて入ってきたのは1人の女性だ
「どうしたの?何の用?」
本から目を離し来客者にそう話しかける。
「なんか、反応冷たくない?ちょっと近くにきたから寄っただけよ」
入ってきた女性はそう答える。
彼女の名前はレイナ。水晶の森亭での食事中にふとしたきっかけで知り合いになった。
肩にかかる程度の赤い髪がなかなか似合っている女性である。
「ふ〜ん」
適当に相槌を打ってそのまま黙り込む。
「ちょっと黙んないでよ。少し話でもしようかな〜って思っただけだし」
「で、なんの話?」
「場所変えない?」
少し回りを見渡してからそう提案する。
「別に構わないけど、どこにするの?」
「そうね。・・・・・ジュリエットにいこ」
喫茶店『ジュリエット』。繁華街ではなく海の見える丘公園の側にある店。
ここは安くておいしいとい評判で待ち合わせやデートスポット、暇つぶしと様々な用途で若者たちが訪れる。
店内にはゆったりとし、落ちつけるような雰囲気の音楽が流れている
その一角にルーシアとレイナはいた。
「今日はアクアは仕事なの?」
注文したコーヒーにミルクを入れながら尋ねる。
「ああ、急に呼び出しがかかったみたいで慌てて出かけていったよ」
一方のルーシアも頼んだものはコーヒー。砂糖を軽くいれかき混ぜている。
「ふ〜ん、大変ね。アクアもアンタもさ」
「でさ、話ってなに?」
なかなかレイナが本題に入らないので自分から催促する。
「ああもう、セッカチね。まあ、いいけどさ」
苦笑しながらも話を続ける。
「ズバリ、単刀直入に聞くけど。アンタはアクアのことどう思ってんの?」
テーブルに両手を置き身を乗り出す感じで聞いてくる。
その迫力に多少たじろぐものの努めていつもの口調で話す。
「どうって・・・・彼女には感謝してるよ。住むところを提供してもらってるしね」
「そうじゃなくてぇ」
普通に椅子に腰掛けると髪を軽くかきあげる。
「じゃあ、どういうこと?」
コーヒーに口をつけ問う。
「ん〜、つまり・・・。女性としてどう?ってこと」
「へ!?」
あまりにも直接的な質問だったので思わずすっとんきょうな声をあげてしまう。
顔の表情などは大層、おもしろくなっているに違いない。
それでも、なんとか平静を保つようにして答えてやる。
「・・・そんなことは・・考えてもみなかったよ。
さっきも言った通り感謝はしてるけどさ」
そう言った後、自分を落ちつけるかのようにコーヒーを一口飲む。
「ホントにぃ〜?」
一方のレイナはあからさまに疑いのまなざしをルーシアに送っている。
その視線を避けるかのように窓の外に顔を向ける。
外では公園に入っていく何人かの人の姿が確認できる。
「ちょっと、ルーシア。聞いてるの?」
「ああ、ゴメンゴメン」
怒られてしまい仕方なく顔を戻す。
「あのさぁ、この際ハッキリといっておくけど。まず間違いなくアクアはアンタに好意以上のものを持ってるんじゃない?」
「まさか、そんなことないよ」
レイナの言葉を正面から否定する。
「何でそう言い切れるの?」
「え?いやぁ、それは・・・・・・」
突っ込まれ二の句がつげなくなるルーシア。
「ほら何も言えないじゃない。確証もないのにそんなこというもんじゃないの」
諭すような感じで言ってくる。
「いや、ちょっと待って。だいたいなんでレイナが口を出して来るんだよ!」
店の中なので大声は出せないので多少、ボリュームを上げる程度におさめる。
「ちょっと怒らないでよ。アタシはただ、アンタたちを心配して」
「まったく相変わらず世話焼きだな。俺にどうしてもらいたいわけ?」
声をいつも通りに戻すと静かにレイナに聞く。
「う〜ん、そうねぇ。・・・・とりあえずアルスがアクアに引っ付かない様にしてよ」
「どういうこと?」
「だって可哀想じゃない。あんな男に毎日毎日毎日毎日、まとわりつかれてさ。
アンタがもうちょっとしっかりしてればあんな風にはならないのよ」
拳に力を入れて力説するレイナ。
そのいいようもしれぬ、迫力に思わずたじろぐ。
「で」
「なに?」
「そのアルスがまとわりつかないようにするために、俺はなにをすればいいの?」
なんとなくその答えの予想はついているのだが一応、聞いておくことにする。
「もち、決まってるじゃない。で・え・と、するのよ」
なんだか嬉しそうに返してくる。ご丁寧にデートの部分はわざわざ切りながらいってきた。
「はぁ、なんとなく予想はついてたけどね。でも、俺とアクアは時間が取れないよ」
あまりにも予想通りの答えが返ってきてひとつ溜息をつく。
「アクアっていつが休みなの?」
「ん〜・・・・・。土日だったかな?」
「アンタは?」
「日曜のみ」
「じゃあ、なんでアクアは仕事にいってんのよ?」
当然の疑問を投げかける。
「ああ、それね。なんだか急に人手が足りなくなったらしくて駆り出されたらしいよ」
それらをいってから、しまった、と思うがすでに遅かった。
「なるほどね、時間が取れないというのはウソだったんだ」
「う・・・・・」
「まあ、いいわ。アタシの言うことを聞くというところで許してあげる」
ここで彼女に貸しをつくると後が怖いので仕方なく素直に従う。
「わかったよ。どうすればいいの?」
「観念したわね。簡単よ。アクアをデートに誘えばいいだけ。ね、簡単でしょ?」
「はぁ〜、わかったよ。アクアが了承したらね」
半ばムリヤリなものなので多少不機嫌になるルーシア。
「だ〜いじょうぶ。絶対にオーケーするから。お弁当なんか作ってくれるかもよ?」
「そんなもんかね?」
「そんなものよ」
後書き
オリジナル小説第13話『世話焼き? お節介?』掲載完了。
なんか、こういう始まり方で書くとPERPETIAL BLUEのマネをしたと思われそうですがそんなつもりはないです。
元から何ヶ月かをはしょるつもりでいましたし。ってこんな言い訳してると墓穴掘りそうだからこの辺で止めとこう。
前回がちょっと暗めの話だったから一転して明るめの話を書こうということで出来あがりました。
キャラもいつもメインとなっているアクアを使わずに新キャラひとりとの会話形式です。
ちょっと世話焼き気質の人がいてもいいかなぁ?という感じで作ってみたんですけど、どうでしょう?
でわでわ、また次の話で。