任務の後・・・・


「こんにちわ〜」
妖魔退治の任務を終え、背中の傷や他の切り傷などを見てもらうために病院にやってきた。
「やっときたか。お前で最後だぞ」
待ちくたびれという感じでラムダがルーシアを迎え入れる。
「あれ?そうなんですか?」
「そんなことはどうでもいい。とにかく診察室に入れ」
それだけ言うと自分はさっさと診察室内に入っていく。
ルーシアも慌ててあとを追う。

「とりあえず、背中の傷からだな」
「あっ、はい」
ラムダに背を向け、服をめくる。
しばらく、傷を見ていると、
「うむ、手当てがよかったようだな。たいしたことになっていない。
 薬でも塗っておけば1週間もすれば完治する。傷跡も残ることはないだろう」
といって塗り薬を棚から出してきて傷に塗りこむ。
「ッ・・!」
瞬間、痛みが身体中を走る。
「これくらい、我慢しろ」
なにかよくわからないが迫力に押されてしまい押し黙る。
「他の傷はどこだ?」
薬を塗り終わり、尋ねる。
「いや、たいしたもんじゃないから大丈夫ですよ」
服を着なおしてラムダの方に向き直る。
「それはいかん。どんな小さい怪我でもなめてかかってはダメだ」
「はぁ、わかりました」
両手を腕まくりをし、怪我を見せる。
それらをひとつひとつ見ていくとそれに合った薬をつけてくれる。
だいたい30分程だろうか?すべての治療が一段落する。
「ところで、俺の記憶のほうは・・・・・」
以前にも一度聞いたが、もう一度聞く。
「すまんな、いまだに取り戻す方法はわかっていない。
 なにかきっかけがあれば戻るかもしれないが・・・・」
「きっかけ?」
「ああ、強いショックを受けて喪失したのならもう一度同じショックを与えるとか、
 または記憶を無くす前の友人とあってみるとかだな」
「そうか、でもショックを与えなおすというのはごめんだな」
「当然だ、そんな方法は医者として見過ごすわけに行かん」
「それもそうですね。・・・・・あ〜、先生?」
一旦、会話を区切りもう一度聞きなおす。
「なんだ?」
「俺の記憶に関することだけど、もういいですよ」
「なに?どういうことだ?」
「そのまんまですよ」
「理由は聞かせてくれるのか?」
「・・・・・・・・・・」
ルーシアは押し黙る。
「そうか、なら何も言うまい」
ラムダもそれ以上、追求することをせずに、治療は終わりだ、と告げた。
一言、お礼を言うと病院を後にする。


「さて、この後は自由だし。水晶の森亭にでもいくかな」
前日の戦闘任務が終わった当日にハンスからすでに一日休みという褒美をもらっている。
家に戻ってもどうしようもないので、水晶の森亭で遅い昼食を取ることにした。
カラン、カラン♪
カウベルが綺麗な音色を店内に響き渡らせる。
昼をとうに過ぎているので店内はガランとしている。
カウンタ席には昼食を取っているアクアの姿が見える。
カウベルの音は当然アクアの耳に届き、ルーシアのほうを向く。
「あら?ルーシア。病院には行ってきたの?」
「ああ、パスタ、もらえるかな?」
アクアの隣に腰掛け注文する。
「うん、ちょっと待ってて」
自分の食事を中断すると厨房に料理を作りにいく。
いつもは当然のことながら店長やコックが作っているのだがこの時間は散歩に出てしまいいなくなる。
それでもやってくる客は少ないからアクアひとりでも十分に回転する。
「はぁ〜・・・・。やっぱ誘わないとレイナに何言われるかわかんないよなぁ〜」
以前、レイナと話していたデートの事を考える。
「でも、こういう理由で誘ったって知ったらやっぱり怒るかなぁ?」
「何が怒るの?」
ルーシアの独り言が聞こえたらしく厨房から顔を覗かせる。
「え!?あ・・いやぁ・・・なんでもないよ」
所々、詰まらせながらも答える。
「ふ〜ん、そう」
ちょっとガッカリしたような顔を一瞬だけ見せるとまた厨房に戻る。
(なんだ、さっきの表情は・・・・・)
一瞬だけ見せたガッカリとした表情をルーシアは見逃さなかった。
そして、裏で暗躍していそうなレイナの存在を考える。
(まさか、俺をたきつけるだけじゃあきたらず、アクアにまで話を持っていってないよな?)
できることならそれは否定したいところだが、レイナの性格を考えると介入していると考えたほうが自然である。
(そんなことは最初から想像できたことか。仕方ない、腹をくくろう)
ということでルーシアはアクアをデートに誘う決心を固めた。
数分後、おいしそうなゆげを立てたパスタとコーヒーを手にアクアが戻ってくる。
そしてそれをコトリと、ルーシアの前に置き自分も隣に座る。
「はい、お待たせ。コーヒーはおまけでつけといたよ」
「え、・・ああ、ありがとう」
パスタを一口、食べる。
その後にコーヒーを一杯飲み、気持ちを落ち着かせる。
「あ〜、アクア?」
「ん?なに?」
ルーシアのわずかな緊張をよそに屈託のない笑顔を向けてくる。
「今度の日曜さ、よかったら遊びにいかないか?」
回りくどくいうのもなんなので、ストレートに聞く。それを聞くとアクアは満面の笑みをルーシアに返してきた。
「ホント!それじゃあ、私なにか作ってあげるよ」
ストレートに言ったのが功をそうしたのか、それともレイナが暗躍しているのか、あっさりとオーケーの返事が出る。
当のルーシアはあまりにも簡単にいくので拍子抜けしてしまう。
「そう?ありがとう。楽しみにしてるよ」
アクアが快く了承してくれたのが嬉しかったのかルーシアも思わず顔をほころばせる。
「それで、アクアはどこにいきたい?」
オーケーの返事が出たので希望をとりあえず聞いてみる。
「あたし?そうね、やっぱり海の見える丘公園かな?あの公園って植物がいっぱいだし、海からの風が気持ちいいしね」
「うん、それはいえてるな」
「あとは、そうね。・・・・・ルーシアと一緒ならどこでもいいよ」
と笑顔で答える。
ルーシアはその笑顔に一瞬、ドキリとしてしまう。
(・・・・・っと、いかん、いかん)
頭の中にある気持ちを振り払う。
「それじゃあ、公園いったらあとはその場の思いつきで行動しちゃって大丈夫なのかな?」
「うん、それでいいよ」
「よし、それじゃ決まりだ。
 今度の日曜、楽しみにしてるよ」
「うん、私も」



後書き
オリジナル小説第18話『任務の後で・・・・』掲載完了。
か〜なり遅くなってしまって申し訳ありませんでした。m(_ _)m
やっとバトル系の話も終わりまたほのぼのとした感じ?が書けたと思います。
とりあえず今回は以前レイナがたきつけたデートの約束をするという話になってます。
次回辺りからルーシアとアクアのデートの話を書きます。というか書かないとダメ。
このテの話はハッキリいって苦手なのでどんなもんになるか自分でもよくわかんないです。
っと、なんか次回の話になってきちゃったのでこの辺で失礼します。
でわでわ、次の後書きで。


2000年 3/27 パンドラ

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