エピローグ
〜ルーシア〜
アクアとのデートから早一ヶ月。
前々から考えていたことの結論をだし、俺は今日・・・・・。
「さてと、こんなもんかな?」
時間は深夜。草木もすでに寝静まっている時間だ。
そんな中、ひとり黙々とルーシアはなにかの準備をしている。
ここに初めてきたときの荷物をひとつのバックに積め込むとベッドに放り出す。
そして軽く部屋の掃除を始める。
こまめに掃除をしていたはずだが、それでも汚くなってくるから不思議なものである。
30分ほどで掃除を終えると今度は机に向かい紙にペンを走らせる。
5.6行くらいの短い文章を書くと、その紙の上に小さな小箱を置く。
それらの準備がすべて整うとベッドに投げ出してあった荷物を背負い部屋を出て行った。
さすがにこの時間はだれもいるはずもなく静かなものである。
虫の鳴く声だけが空気を震わせている。
街の出入口である門までやってきたところで後ろから声をかけられた。
驚く様子もなく振り返ると、満月の光に照らされて幻想的な雰囲気をかもし出している赤毛の女性が立っていた。
「レイナか。よくわかったな」
「なんとなくね」
「そっか」
「それで、あの娘には言ってあるの?」
こちらに近づいてきながら問う。
アクアのことをいっているのだろう。
「いや、言ってない。反対するか、ついてくるかのどっちかだからな」
「そう、・・・・それもそうね。でも、いいの?」
いつのまにかレイナはルーシアの目前まできていた。
「どういうことだ?」
「あの娘の気持ちよ。知ってるんでしょ?」
「まあな。だからこそだよ。
やっぱり過去を取り戻さないと俺はやっていけないような気がする」
「あの娘が過去を気にするとは思えないけど、アンタがそういうんじゃしょうがないわね」
どうやらレイナには引き止めるつもりはないらしい。
今夜出ていくことに感づいて見送りにきたというところだろう。
「アンタはあの娘のことどう思ってるの?」
「なにいってんだよ。知ってるんだろ」
そのままクルリと方向転換すると門を出ていこうとする。
「早く帰ってきなさいよ。あの娘のためにもね」
「わかってるよ」
そのまま過去のないその青年は夜の闇へと消えていった。
2ヶ月という短い思い出をその街に残したまま。