自警団


窓から朝日が差し込みルーシアの顔を照らす。
その朝日にまぶしそうに寝返りをうつと、目をさました。
「ん・・・・・、もう朝か・・・・」
寝ぼけ眼をこすりながら、ベッドからはいでる。
寝巻きから私服に着替えると台所へと向かうために部屋を出る。
「あ、ルーシア。おはよう」
朝食を作っていたアクアが、台所に入ってきた彼に気づき声をかけてきた。
「おはよう」
ルーシアも挨拶を返し椅子に腰掛ける。
「ちょっと待っててね。すぐに仕度できるから」
フライパンを片手にそう言う。

「お待ちどうさま」
出来た料理を皿に持ってテーブルに並べる。
それらを食べながら2人は軽く談笑を始めた。
「出来れば今日も案内したいんだけど、私にも仕事があるから」
「そっか。・・・・ところで、どこで働いてるの?」
「そういえば、まだ話してなかったね。水晶の森亭だよ」
「昨日、案内してもらったあの大衆食堂?」
「うん、そこでウェイトレスをやってるの」
「ふ〜ん」
などと、いろいろ話をしているうちに朝食を食べ終わる。
さすがにかたづけまでやってもらうのはカッコ悪いので自分の分は自分でやることにした。
「じゃあ、いってくるね」
「ああ、気をつけてな」
アクアを笑顔で見送るとまた、椅子に座る。
「さてと、確か自警団に預けてた武器は今日、届けてくれるんだったよな」
しばらく、ボウッとして待っていると扉をノックする音が聞こえてきた。
ノックの主に応じるとガチャと音を立てて扉が開く。
開いた扉の先には自警団員とおぼしき一人の青年が立っていた。
「おはようございます。ルーシアさんですか?」
「ああ」
「昨日、お預かりしていた武器をお届けに参りました」
右手に持っていた武器をルーシアの前に差し出す。
「ああ、ありがとう。ところで」
「はい、なんでしょう?」
「いま、自警団って団員を募集しているのかい?」
突然の質問に少しビックリしたが、すぐに平静に戻りルーシアの質問に答える。
「ええ、第2部隊が募集していますが、それがなにか?」
「自警団に入団したいんだ」
「え、・・・はい、わかりました。では、自警団までご足労願えますか?」
「ああ」

「なるほど、君が入団希望者か」
ここは、自警団事務所の団長室。ルーシアは剣を届けにきた自警団員の案内でここまでやってきた。
自警団員が団長に話を通すと面接として団長室に招かれ今に至っている。
「ところで、なぜ君は自警団に入団したいのかね?」
「俺には名前以外の一切の記憶がありません。
 いまは、縁あってアクアの世話になっていますが食い扶持がひとり増えたので生活費が大変だと思うのです。
 アクアに聞いた話によると俺はオーガーを軽くあしらったみたいなのです。
 そこで、自警団ならばその力が活かせるのではないかと思ったのです」
そこまでいってから一息つく。
団長のほうは、真面目な顔でルーシアの話を聞いている。
「なるほど、迷惑をかけたくないためか。
 わかった、だが、入団を認める前に君の運動能力を試させてもらう」
「ええ、わかりました」
ルーシアの返事に満足そうにうなずくと、団長はソファから腰をあげると部屋を出て行く。
ルーシアもそれに習う。

「ここは、自警団員の稽古場だ」
団長に案内されて入った部屋は円形の闘技場のようなところだった。
今も数名の団員が稽古に汗を流している。
「ラッツ!!ちょっとこっちにきてくれ」
団長が稽古をしている自警団員に声をかける。
ラッツと呼ばれた団員は稽古相手に一礼するとこちらへと小走りにやってきた。
「なんでしょう?団長?」
稽古で流した汗を手の甲で拭い取りながらいう。
「ちょっと彼の相手をしてやってくれないか」
そういってルーシアのほうを見る。
「ええ、構わないですよ」
「彼は、第2部隊のラッツだ。剣の腕前は隊内でもトップクラスを誇っている」
と、団長はラッツの実力を教える。
ルーシアは壁にかけてある模擬刀を手に取ると稽古場の中心に向かう。
ラッツもルーシアの後を追う。
中心までやってくると互いの剣を中央で交差させる。
「はじめ!!」
団長の声と同時にラッツが動く。
すぐさま一歩を踏み出すと横からルーシアに向かい一撃を加えようとする。
(見える!)
その一撃を剣で防ぎ、そのまま弾く。
(思った通りだ。頭は忘れてても体が覚えてる。
 これならいけるかもしれない)
剣を弾かれラッツはバランスを崩す。そのスキを逃さずに突きをいれる。
が、バランスを崩しながらもラッツはそれをかわす。
両者とも一旦、退くと様子をうかがう。
しばらくの沈黙を破ったのはラッツだった。
今度は一撃ではなく連撃。
ルーシアはそのすべての剣撃を防ぐ。
最後の一撃を止めた瞬間にルーシアはラッツの足を払う。
たまらず地面に倒れる。ラッツが体勢を立て直す前にルーシアはその剣先を彼の目の前に突きつける。
「勝負有り!」
団長がそう宣言し、彼らのもとに歩み寄ってくる。
「君はたいした奴だ。ラッツを抑えこむとは・・・・」
感心したようにルーシアに話しかける。
「自分でもびっくりしていますよ。ここまでやれるなんて」
ラッツに向けていた剣を引くとラッツに手を差し伸べる。
一瞬、ためらったのちラッツはその手を取ると起きあがった。
「お前、何者だ?」
自分が負けのたのが信じられない様子だ。
「それが、分かれば苦労はしないさ」
模擬刀を壁にかけながらラッツに答える。
「ともあれ、君の入団を認めよう。
 所属する部隊は第2部隊だ。
 主な任務は戦闘全般と街の警備。詳しいことは部隊長に聞いてくれ」
「わかりました。それでいつから?」
額の汗をぬぐいながら聞く。
「そうだな。来週から入ってくれ。それと必要書類があるから受付でもらってくれ」
「はい」
「ルーシア、今度は負けないからな」
「ああ、いつでも相手になってやるよ」



後書き
ども、パンドラです。無事にオリジナル小説第5話を書き上げることが出来ました。
ルーシアに仕事を与えたいということで自警団に入団させることとあいなりました。
そのうちバトル関係の話を1.2本書く予定ではありますけどできるだけ今回の話は平和な感じで収めたいというのが本音です。
そろそろキャラクター紹介を作ったほうがいいかな?増えてきたし。
でわでわ、この辺で失礼させていただきます。


1999年 11/13 パンドラ


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