自警団 初日
「さて、今日から仕事開始だな」
あれから、一週間。自警団に入団する日がやってきた。
「あっ、ちょっと待って。私も今出るとこだから途中まで一緒にいこ」
ルーシアが家から出ようとすると後ろから仕度途中アクアが話しかけてくる。
「ああ、いいよ」
彼女のほうに振り向き答えると玄関でしばし待つ。
待つこと数分でアクアは仕度を終えてルーシアのもとにやってきた。
「お待たせ。さっ、いこ」
二人は家を出て住宅街から繁華街へとぬける通りを歩いていた。
「でも、ルーシアが自警団なんてちょっと以外だな」
横を歩いていたアクアがふいにそんなことをいう。
「えっ、どうして?」
「だって、ルーシアって身体、細いじゃない。ちょっと頼りないって感じがするし
そんなんで闘えるのかなぁ、とかね」
「そいつはひどいな。アクアを助けたことあるんだろ?俺」
アクアと始めて出会ったときのことを持ち出す。
「あはっ、そうだったね」
「ありがと、ここまで送ってくれて」
「いや、気にしなくていいよ。帰りもこれるようだったら迎えにくるよ」
「うん、ありがと」
笑顔で礼をいうとアクアは店の中に入っていく。
(さて、俺もいくかな)
彼女を見送ると自分も自警団へと足を向ける。
団長から貰っていた書類の中に自警団内の見取り図が入っていたので
第2部隊室まで、迷わずにいくことができた。
コンコン。
軽くノックをしてからドアを開ける。
途端に、中の自警団員から明るい声で歓迎を受けた。
「君が今日から配属されるルーシアか。話は聞いてるよ、ラッツを負かしたそうじゃないか」
その中の一人がルーシアの元にやってきて握手を求めてきた。
差し出された手を握手して返すルーシア。
「立ち話もなんだから入ってくれ。団員の紹介もしたいしな」
そのままルーシアの手を引っ張ると部隊室の中に引きずり込まれた。
「それじゃあ、自己紹介でもしてもらおうか」
ルーシアを引っ張り込んだ団員がそう促す。
「あっ、はい。今日からこの第2部隊に配属されることになったルーシアです。
分からないことが多く、迷惑をかけるかもしれないですがよろしくお願いします」
そこまでいうと、礼をする。
「よし、ルーシアの紹介が終わったのなら今度は俺らの紹介だな」
そういったのはやはりルーシアを引っ張り込んだ団員。
「俺は、この第2部隊の隊長をやっている、ハンスだ。よろしくな」
隊長のハンスの自己紹介が終わると椅子に座っていた団員が順番に自己紹介を始める。
「俺は、カイル。よろしく」
カイルと名乗った団員は、背が高く体格がガッシリとしている。
恐らく扱う武器は剣だろう、とルーシアは予測する。
「ジャロムだ、よろしくな。弓矢での後方支援が戦闘での役目になってる」
こちらはカイルと比べると背も低くあまりガッシリとした体格はしていない。
だから武器も必然的に弓矢になったのだろう。
「俺のことは知ってるよな、ラッツだ。改めてよろしくな、ルーシア」
以前の試合の結果を気にしていないような笑顔で自己紹介する。
「私は、レムリア。ジャロムと同じく弓矢での後方支援がその役目よ」
このレムリアにはルーシアも驚かされた。
まさか、戦闘を第一の任務とする第2部隊に女性がいるとは思わなかったからだ。
長い髪の毛を邪魔にならないようにポニーテールにして結っている。
その髪から長い耳が見え隠れしている。
どうやら彼女は、キーシャと同じエルフらしかった。
「さて、これで、全員の紹介が終わったな。
俺はルーシアと部隊についての説明があるからお前らはいつも通りに稽古場で稽古していてくれ」
紹介が終わると同時にハンスが隊員にそう指示する。
隊員たちはその指示に従い、各々の武器を手に取ると部隊室を後にする。
「さて、軽く第2部隊について説明するか」
彼らが部屋を出るとそう切り出す。
「はい、お願いします」
「知っている通り、ここは戦闘を第一とする部隊だ。この自警団の中では一番危険な部署といえる。
戦闘任務の無い日は剣の稽古や街のパトロールなどをやってる」
「それだけですか?」
あまりにも内容が薄いので聞きかえしてしまう。
「概要はこんな感じだな。あとは他の部隊の手伝いをすることもある。
ルーシアはとりあえず街のパトロールを中心にやってもらうつもりでいる」
「なぜです?」
不思議に思い聞く。
「聞いたところによるとお前はよそから来たそうだな。
街の構造を覚えるのと同時に街の人たちに慣れ親しむためだよ」
「そうですか、わかりました」
「ロッカーは窓際のを使ってくれ。
中に支給品のアーマーなどが入ってる」
そういって壁にいくつか並んでいるロッカーのひとつを指差す。
「はい」
「こんなところかな?何か質問はあるかい?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか、とりあえず今日はいいよ。
明日からよろしく頼むな」
「そうですか・・・・・・分かりました」
まさか、今日はいい、といわれるとは思っていなかったので少しびっくりしたような表情をする。
「それじゃ、明日からよろくお願いします」
「ああ」
おじぎをしてから部隊室をあとにした。
「時間が空いちゃったな。
ちょっと調べ物をしてからアクアのところにいくか」
そう、呟くと目的地に向かって歩き始めた。
後書き
かなり、遅くなりましたけどなんとか書き終わりました。
この回から新たな登場人物がたくさん出たので自分でもちょっと戸惑ってます。
これからもちょいとキャラは増える予定です。ああ、性格を把握するのが大変だ。
それと第2部隊の人数が少ない!、という突っ込みはなしにしてくださいね。
実際は20人くらいの隊員がいますがキャラ数の都合上、4人にしてあります。
いつもそうだけど、今回は輪をかけてうまく書けなかったです。
登場人物が急激に増えたせいかもしれないですが。