マルス「雄々しい山々と豊かな平原を従え、大陸全土にその名を轟かせる黒騎士団を擁す。 グルニア、遙かなる大地。眼下の大地は赤く染まり、旅人を送る鈴蘭の花が咲き誇る。 予は決して忘れまい。志なかばに散っていった名も無き勇者たちを」 ウォー 何故か騒ぎ立つ二軍共、しかしジェイガンは違っていた。 ジェイガン「はて王子、意味が分かりません。特に死者の手向けの花がナニユエ鈴蘭なのですか」 マルス「ええい、そんなことは自分で考えろ」 オグマ「つまり、またもやカミュに負けてしまった。貴様ら最近たるんどる!といったところか」 ナバール「いや、深読みすると。予の作戦が失敗するのは貴様ら全員無能なるが故じゃ!というのが妥当だ」 解読を試みる英傑たち。 マルス「ふん、それはともかく良い作戦を思いついた。そもそもの始まりとして我らは情報戦で負けている。 これでは戦う前から勝敗が火を見るより明らか。故にカミュの下へスパイを送り込むから、奴の動向を探ってこい」 ナバール「ほう、今日の王子はなかなか策士」 マルス「あと、不逞にも我が軍に潜り込んでおる奴がおるやもしれん。怪しげな奴は引っ捕らえておけ。おっとそろそろ昼寝の時間。おさらば」 マルスはそそくさと去っていった。変わってジェイガンがおもむろに話し出した。 ジェイガン「おほん、それでは敵のスパイは見付け次第シューターのところに連れてくること。解散!」 数刻後、夕焼けの空に砲声がこだました。「アヒー」 闇に蠢くは三人の人影、カミュの陣営を目指す。 バーツ「サジ、マジ、大丈夫か」 サジ「うっす」 ボア「わしはボアじゃ」 バーツ「なにっ、マジは何処行った?」 彼らは黙々と進んでいった。何しろ夜明け前には敵陣に侵入しなければならない。 サジ「しかし、我ら三人だけで大丈夫なのか」 バーツ「ふっ、案ずるに及ばず。既に先発隊が送り込まれている。奴らが進入経路の確保をする手筈だ」 ボア「知らなんだ。知らなんだ。ガーゴイル」 そうこうする間にカミュの陣営が見えてきた。よく見ると一人の男がこっちに向かって松明を振っている。 マチス「ブラボー!こっちだこっちだ!」 バーツ「ばっ、馬鹿。声がでかい。ええい、このまま雪崩れ込め!」 サジ「フンガー!!」 これはいかんと怒濤の勢いで突進してくサジとバーツ。ボアは敢え無く置いてけぼりになった。 ボア「グファー、グギャー」 兵士「何事じゃー」 たちまち兵士が駆け付ける。彼らが見たのは派手に悶絶する一人の司祭だった。 一方、見事潜入を果たしたサジとバーツ。バーツは一同を見回して言った。 バーツ「よし、全員無事のようだな」 そこにいたのはサジ、マジ、バーツ。そしてマチス。 サジ「う〜む、誰か忘れているようないないような…」 バーツ「して、マチス殿はどうやって侵入したのでござる」 マチス「ふん。それがし文明の利器に乗って空から侵入した」 バーツ「なるほど。ふっ、それ以上は問うまい」 サジ「おい、バーツ。それより我ら、如何なる目的でここに来たのか」 バーツ「それにつけてはここにマルス殿からの書状がある…ん?」 しかし、何処を探してもそれはなかった。 バーツ「ちっ、まあよいわ。わしの記憶によるとカミュの陣営で一暴れしてこいだったような気がする。 いや、爆破だったかな。ともかく突撃じゃ、続け野郎共!」 ウォー カミュがボアを介抱していると、にわかに陣中が騒がしくなった。 カミュ「何故!」 ジェネラル「大変です、陣中に敵が潜伏していた模様。我が軍は恐慌をきたしています」 カミュ「ええい、油断した。いや、今の失言」 パラディン「大変です、どさくさに紛れてサムシアンまで攻めてきました。ほら、あれです」 見ると、三人の山男が篝火を取り巻き、部族的太鼓音に合わせて斧を振り回している。 しかも、そのさらに奥からは、一人の男が馬に引きずられつつこちらに向かって突撃してくる。 それは奇妙なことこの上なく、この世のものとは思えない恐ろしさであった。 カミュ「撤退!」 黒騎士団は速やかに撤退していった。 |