フィレンの呪文書
≪インフェルノピラー≫
森を駆け抜け、目星をつけていた広場へと出る。
私の後に続く、赤紫の水のような異形の群。
ぶよぶよと広がり、個々の区別が無い様に混ざり合い。
その中心から発せられるのは、ただ貪欲な食欲。
私はあらかじめ開いておいた呪文書に目を落とし――
決意を固めて頷く。
辺りを注意深く見まわし、木々と十分な距離を取っている事を確認。
迂闊に使えば、敵と己だけでなく森までも焼き尽くしかねない。
危険だが――今、一番有効な呪文はこれしかない。
私はぶよぶよと蠢く奴らを見据え、唱えはじめた――。
響け冥獄の門
焔の叫び 炎獄の誘い
神を焼き魔を焼き
そして己が自身をも焼き尽くす火炎
汚れた魂火種とし
移り行く 移り行く
魂全てが地より放逐される其の時まで
埋まりて地を喰らい
轟きて天を払い
爆ぜて魂を溶かす
触れるもの全ては灰燼に委ねられ
海の水をも地より消し
この世を煉獄の焦土と化さん
焔の宴に灰が舞う
煉獄の晩餐に上げられし魂
我が身もろとも全て焼かん
すぅっと息を深く吸いこみ――放つ。
「インフェルノピラーー!!」
あとがき↓
記念すべき60ばん〜♪
他の掲載予定物が、短かったからという理由だけで即興書き。
ん〜、ストーリーが後から、書きたいフレーズも無し、だから、結構書きにくかったです。
ところで皆さん、「このフレーズだけは使ってしまう!」ってのあります?
私は幾つかあるんですが、その代表的なのが「舞う」です。かっこ良くて使いやすい単語だから、ついつい使っちゃうんですよね……。