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時々、すごく不安にかられることがある。今この腕の中にいる、くしけずる黒髪の生き物を自分は女性の替わりに性欲のはけ口にしているのではないかと。これは俺より大分年長で、かつて張りのある筋肉の鎧であったであろう胸や腹は服の上から見ただけでは若い頃そのままのボリュームだが、触ってみると熟柿のように手ごたえの無い柔らかさだ。普段は結い具の下に隠れている襟足を指先で撫でると、子猫のような呻き声を小さくあげて、こちらに体を倒してくる。結い具をとった総髪のこれを見られるのは俺だけの特権だ。もっとも、俺以外にこれが好きという奴にはお目にかかったこともないが…… 俺がこれと出会ったころ、これは俺の上司だった。国際警察の中では俺と1,2を争う検挙率で、それだけの手柄をたてても管理職の椅子にふんぞりかえらず現場に向かうこれは俺にとって理想の将来像であり、また目障りでもあった。これを越えようにも越えられない、これの影法師としての3年間はあまり思い出したくない。今となっては思い出すのはこれに始めてあった日と、死んだあの日の星空だけ。その星空の手前には、笑うでもなく泣くでもない微妙な表情のこれがいた。 なぜ、これは、いま俺に抱かれることを由としてここに留まっているのだろうか。上司にはめられておとり捜査と称して国際刑事からお笑い芸人に転向させられ、捜査が終了しても国際警察に戻れないこれは、かつて部下であった俺に抱かれることで、底まで堕ちる感覚を楽しんでいるのだろうか。それにしては安らかな寝顔だ。いや、そう見えるのは俺の願望なのかも知れない。所詮恋だの愛だのは互いの妄想と性欲のぶつけ合いだから、これでもいいのかもしれないが。あの日死んでリタイアしたはずだったのに、誰も出口までたどり着いたことのない迷宮に再び迷い込んでしまった。ミノタウロスの迷宮を迷宮を抜け出す鍵は毛糸玉だったが、俺がこの迷宮を抜け出すにはどうすればいいのだろうか? しかし、この迷宮の先にあるものは怪物ではなく希望である。それさえ頭に置いておけば、こうして迷宮で迷っていることもまた楽しいのではないだろうか。 「。。。で、なにが聞きたいんだ?」 「……えっちの仕方。」 「。。。こんだけ前ふりしておいて、やってなかったのか?」 「………………ああ。キスしたりおこたでゴロゴロするくらいで……」 「。。。みのも@たにでも聞け!」 「……冷たい。。」 オリジナルブライアン、思春期真っ盛り! |