あまい ゆめ
空には雲ひとつなく、ぬけるように晴れ。
頬をなでる風もここちよく、僕は外へ出た。
この町にはもうちょっと長くいようかな・・?
そんなふうに、気分次第で旅をするのも素敵だよね。
そうそう、お昼にたべたスパゲティ、もうちょっと味が濃いほうが良かったなあ。
それにしても、いい天気。
こんな日に部屋にこもってるなんてもったいないよねえ。
だからこんないい天気の日には、一緒に町を歩こう。
そして、大通りを抜けてみんなの集まる広場に行こう。
おなかがすいたらふたりで仲良くドーナツ半分こして食べようよ。
ひとつはあまーいカスタードクリーム入り。もうひとつはシンプルに揚げただけ。
はんぶんづつ、なかよく並んでとりかえっこしよう。
『このおっきいの、君にあげようか』
『ワイが甘いの苦手やて知ってそういうことゆうてんのか?』
ご飯のあとはみんなでボールを投げて遊ぼうよ。
食後の運動っていうじゃない。元気な子供達に負けないようにしないとね〜。
走って、投げて、また走って・・。
疲れたらベンチに腰かけて、ちょっときゅうけい。
『もうトシやからな〜。ごっつ疲れたわ』
(ぼくより年下じゃん・・君)
夕暮れにはちょっと足をのばして、町の外れの展望台に行ってみよう。
前からずっと行きたかったんだよ?きっときれいな風景がみれるとおもうんだ。
夕方に行けば夕焼けがきれいだとおもうなあ。夜は夜で、満天の星空が見れるよ。
朝は日の出がきれいだよ。お昼は町が遠くまで見渡せて気持ちいいと思うなあ。
夜は君の話を聞きたいなあ。
君の好きなお酒も用意しようか。なにがいいかな?
なんでもいいんだ。好きな花はなに?どんな食べ物が好き?
僕の手と、君の手だったらどっちが大きいか比べてみない?ほら、こうやって手を合わせて・・。

ひやり。
伸ばした手は壁にあたる。
つめたい、冷たい壁に。
―これが現実―
手を合わせるべき相手はそこにはもういなくて。
視線の先は、だれもいない風景。
いつも、誰もいない風景がそこに広がるだけ。

ごめん。
ごめん。
こんなところで、うずくまってる場合じゃないんだよね。
どうしたらいい?
でも、どうしたらいい?
こんな、
あまい、
あまいゆめ。
のがれられない、あまいゆめ。

『アホやな・・。せやから、オドレは甘ちゃんやっちゅうねん』
笑って僕の額を小突く。
『痛っ!甘ちゃんって、どういう意味だよ!』
『そのまんまやん。コトバも通じひんのかいな』

ウルフウッドだったら、きっとこんなふうに言うよね。
そう、ウルフウッドだったら・・。

僕はまた、涙を流した。
ウルフウッドに怒られるなあ、なんて思いながらも、
泣いた。

かみさま。
こんなふうに、かれをおもってなくのは
ゆるされますか?
かれはぼくのせいでいなくなったのです。
ぼくさえいなければ、かれはまだわらっていたはずなのです。
かれのまわりには、ちいさなてと、あたたかいわらいごえがあったはずなのです。
それをうばったのはぼくなのです。
こんなぼくでも、かれをおもってなくのはゆるされますか?

あまいゆめを、
みるのは、
ぜいたくでしょうか?
ゆるしてほしいとおもうのは、
ぜいたくですか?


アニメの23話と24話の間くらいかな?ウルフのことで落ち込むヴァッシュを書いてみました。
それにしてもこのヴァッシュってば現実逃避しすぎ。もうちょっと彼は強い人だよねえ・・。

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