こんな夜もある
「ヴァッシュ、雪辱戦やで〜!」
ベッドに勢いよく大の男が2人も倒れ込むのだから、下の宿泊者はひどく驚いたのではないだろうか。かなり派手な音が鳴り響いた。
「覚悟はええか?」
そっと顔を近づけてキスを落とそうとしたその瞬間。
「・・・あかん・・力はいらへん・・」
ウルフウッドはヴァッシュの胸の上にへなへなと力無く頭を乗せた。
「大丈夫かい・・?傷が、まだ痛むんじゃないのか?」
ウルフウッドは頭を起こしてじっとヴァッシュの瞳を見つめた。
「・・・優しいんやな」
突然の言葉と優しい声色に戸惑って、ヴァッシュはただ瞳を見つめ返しただけだった。
「ちょっといじめたろ思てたのに、そんなんやったらなんもできへんなあ・・」
ウルフウッドは優しくヴァッシュの頬に軽いキスをした。そして続けてこう言った。
「・・・なあ、でも今日はこのまま一緒に寝えへん?」
「こうしてると、気持ちいいねん。なあ、ええか?」
珍しく自分に甘えてきた彼が愛おしく思えて、ぎゅっと頭を抱いて答えた。
「うん・・このままでいよっか」
疲れがたまっていたせいもあってか、ウルフウッドはヴァッシュの胸のなかでいつしか寝息を立てていた。
それを聞いて時々彼がしてくれるように、自分の腕を枕として提供していた。気持ちいいと言ってくれた彼のために。
しかし黒髪からのぼる仄かなかおりに、髪の感触に、時々聞こえる声に。
狭いベッドのために密着しているお互いの体に。優しい、この牧師の姿に。
「・・・こ、これって・・」
そんな状況にヴァッシュの心拍数は上がる一方だった。

「ああーよう寝たわー。きっもちええ朝やなー、トンガリ」
「・・・誰がトンガリだよ・・」
「なんや?寝起き悪いなー。顔でも洗ってこいや、すっきりすんでー!」
あの後結局一睡もできなくて、しかも腕が情けないことにしびれて上がらなくて・・。ヴァッシュはこっそりとつぶやいた。
「うう・・ホントに辛かったよう・・」
「ほな、今夜こそ雪辱戦な!覚えてるか?倍返し」
「もう、いいってば!十分辛い目にあったって!」
「辛い目?なんや、それ」
訳が分からない様子で、真っ赤になるヴァッシュを見つめているウルフウッドが口を開いた。
「なんやようわからんけど、倍返しは果たせたようやなあ・・?」

いかがでしょうか?拍子抜けしました?
最初はえっちシーン書こうかなとか思ってましたが、なんか肩透かしのほうが面白いかなあと・・。

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