嘆きの天使
手を伸ばせば、すぐそこに君がいる。
けれど、自分から手を伸ばせば壊れてしまいそうな気がして、触れるのが躊躇われた。僕はその大きな背中に呼びかけた。
「ねえ、ウルフウッド・・」
「なんや、なに泣きそうな面しとんねん」
そっと僕の前髪に触れる君の手が、ほのかに感じる体温がとても幸せで。
「・・・もっと触ってて・・」
「これでええんか?」
やさしく髪をなでる彼の手の感触が暖かくて、やさしく微笑む顔がうれしくて。
こんな風に縋る自分はいやだけど、もっと君がそばにいることを感じていたい。
お互いの体温が伝わるくらいそばにいたい。それって、ワガママだろうか。
いつまでも一緒にはいられないとわかっていても、君を感じる度に余計辛くなると分かっていても、今はそばにいることを確認したかった。現実に感じられる暖かさが欲しかった。
「・・キスしても、いい?」
「なんや、今日は積極的やん」
「茶化さないでよ・・。ウルフウッド・・」
「忘れんなよ、ワイはいつもここにおる。触れても消えたりせえへん。だから、そんな泣きそうな顔するな」
優しく触れるだけのキスを落としたあと、手をぎゅっと握ってくれた。
「もう、いいから、はよ寝ろ。こうしてたるさかい」
「目を覚ましたら、いなくなんない?こわいんだ・・・」
「大丈夫や。なに心配しとんねん。ここにしか、いるとこないやん」

「なんや・・まだ泣いとんのか・・寝ながら泣くなんて器用なやっちゃなあ」
眠っているヴァッシュの頬に流れる涙をぬぐい、ふうとため息をついた。
「なにが、そんなに不安なんや?どうしてほしいんやろなあ。なあ、あんた知ってんのやったら、教えてくれへんか」
空の星に向って、つぶやいてみた。
「なあ・・神様。いるんやったら、迷える子羊に愛の手くれてもええやん・・」
これから先のことは、神様にしかわからない。


地雷第3弾。癖になりそうな感じで、ついつい書いてしまいました。
切ないけれど優しいタッチを目指して書いて玉砕した作品です・・。

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