泣けない
「あのひとはここで待ってろっていったんです!だから、待ってるんです!」
「ミリィ・・」
なぜ僕の目からは涙がでてこないのだろう・・。どうしようもなく、泣いている彼女を見ているしかできなかった。
けれど、本当は一緒になって泣きたかった。でも泣けなかった。
悲しいのに、つらいのに。僕はもうおかしくなっているんだろうか。
頭のどこからか、彼の声が聞こえる。

「いつか選ばなあかん時が来る。幸運とごり押しは通用せえへん」

これが、キミの選んだ答えなのかい?ウルフウッド・・
僕らにキミが残した宿題は、大きすぎるよ。
教会でいったい何をしてたんだい?神様と最後のお仕事かい?最後になって牧師の仕事かい?
牧師のくせに、神を信じてないし、懺悔もしたことあるのかどうかも疑わしかったのに。
でも優しくて、明るくて、そんなキミの存在がいつもふさぎこみがちな僕の心がキミのおかげでどれだけ救われたか、知らないんだろうね。しらないまま、キミはどこかへ行ってしまった。
彼女の涙も知らないで。
この僕の気持ちも知らないで。

僕の目に焼き付いて離れない。
キミの黒い服と白い十字架が、焼き付いて離れない。
どんな世界でも君無しで存在しないのに。

レム、君の大好きだったゼラニウムの赤も消えてしまったよ。
今、僕の世界は色を失ってしまったんだ・・・。

君がいないと生きていけない、ニコラス・D・ウルフウッド・・・。
大きな十字架をかついで歩く、砂漠で出会った巡回牧師。
モノクロの世界でも彼だけが存在する。
黒い服を着て、大きな十字架を背負った、巡回牧師。

「笑い方が空っぽでムネ痛なるんや。そういうカオしとったで」

いま、僕はどんな顔してる?
君から、見える?
また、笑いたくもないのに笑ってる?

モノクロの世界で光が反射する。
君の持っていた十字架が、わずかに残った光をうけて、
ほんの少しきらりと光った。
手に取ると、君の思い出がすこし染み込んでいる気がして。
その思い出が、手から伝わってくるような気がして。

ウルフウッド、君の残した宿題の答えを探しにいくよ。
答えがでたらきっと僕は泣けると思うから。
君のためだけに泣けると思うから。


23話をモチーフに書いてみた作品です。申し訳ないですが、ミリィやウルフウッドのセリフは嘘っぱちです。
ニュアンスは合っているはずなんですが。
『楽園』の回はセリフのチェックするの辛くてやってないからです。許してくださいー・・。

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