12話 リールへの見方
ヤガパール☆ 「着いたぞ。」
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☆ ヤガパールは睡眠薬で眠らせたエルザを起こしました。
☆ エルザは馬車から降りました。そこは奴隷狩りの日にエルザが捕まった場所でした。
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ヤガパール☆ 「奴隷狩りで捕まって帰って来れたのはおまえが初めてだろうな。リールに感謝するんだな。
☆ じゃあな、もう会うこともないだろうよ。」
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☆ そう言うと、ヤガパールは馬車を走らせて帰って行きました。
☆ エルザはしばらくの間、そこにボッーと立っていました。
☆ 余りにも色々な事がありすぎて頭の整理がつかなかったのです。
☆ 朝もやが晴れ、まわりが騒がしくなったころ、エルザは我に返りました。
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エルザ☆ (リールが助けてくれて・・・わたし、帰って来たんだ!リール・・・そうだ、ボッーとしてる場合じゃない、リールを助けに行かなきゃ!
☆ でも、眠らされてたから、どこに屋敷があるかわかんないんだよねえ・・・どうしよう・・・)
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☆ エルザは頭の中をぐるぐるさせながら、何となく歩いていました。そしてふと前を見ました。
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エルザ☆ (この道は・・・学校に行く道!)
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☆ エルザは走り出しました。ものの5分もしないうちに、学校の校舎が見えてきました。
☆ 学校に着くと、エルザは真っ先に自分の教室に走って行きました。
☆ そしてドアをいきおいよく開けました。教室の生徒たちはみないっせいに振り向きました。
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☆ 「えっちゃん!」
☆ 「あ、えっちゃんだ!」
☆ 「えっちゃん、奴隷商人に捕まったんじゃなかったの?」
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☆ 一気に教室がさわがしくなり、エルザはみんなに取り囲まれました。
☆ エルザはみんなにいままでのいきさつを話しました。
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☆ 「リールがえっちゃんを助けたの?」
☆ 「うそ、わたしそんなの信じられないよ。」
☆ 「おれも。」
☆ 「あのリールがねえ・・・」
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エルザ☆ 「ちょっと、みんな勝手なこと言わないで!リールは確かに暗いし、内気だよ。だけど、それは育ての親にひどいこといっぱい
☆ されたからなんだよ。本当はすごく優しいんだよ。」
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☆ 「育ての親って・・・」
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☆ みんなはわけがわからなくなって、エルザを見つめました。
☆ エルザはその視線に答え、みんなにリールの身の上を話しました。
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☆ 「リールの本当のお母さんとお父さん死んじゃったんだね・・・」
☆ 「リール、まま母に育てられてたんだね・・・」
☆ 「リールってそんな苦しい生活送ってたんだ・・・」
☆ 「かわいそう・・・」
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☆ 一人の女の子が泣きながらいいました。
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☆ 「リールって、本当はすごく優しいんだね・・・」
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☆ その言葉につられたのか、いつの間にか、クラスのほとんどの女子が泣いていました。
☆ しばらくの間、女の子たちの泣きじゃくる声だけが教室にこだましました。
☆ と、突然、一人の子が叫びました。
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☆ 「あたし、リールにあやまらなきゃ!」
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☆ みんなは、泣くのをやめてその子を見つめました。何人かの子が口を開きました。
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☆ 「わたしたち、リールをいじめてたよね・・・」
☆ 「リールにひどいこといっぱいしてたよね・・・」
☆ 「わたしたち、リールのこと、すごく苦しめてたんだ・・・」
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☆ 教室はしばらくの間、重苦しい空気とともに沈黙に包まれました。
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エルザ☆ (みんなわかってくれたんだ。はやくリールのこと助けにいかなきゃ。みんなにも言ってみよう。)
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☆ エルザは決心して、壇上に上がりました。
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エルザ☆ 「みんな聞いて。わたしリールを助けに行こうと思うの。『奴隷の五箇条』やぶることになっちゃうけど、でもどうしても助けたいの。」
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☆ 「わたし、それ賛成だよ。」
☆ 「えっちゃん、わたし、連いていっていい?」
☆ 「わたしもリールのこと助けたいよ。」
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エルザ☆ 「みんな・・・ありがとう!一緒に行こう。」
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☆ エルザたちはみんなで話し合って、クラス全員で屋敷を探すことにしました。
☆ エルザが解放された次の日、牢で寝ていたリールは朝早く、鞭で起こされました。
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リール☆ 「あの・・・わたし、どうしていたんですか?」
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ドガンテ☆ 「おまえはエルザを見送った後、気を失って倒れたんだよ。ヤガパール様も傷がよほどひどいと見てとったのだろう。
☆ なにも言わずにおまえを牢に運んで毛布をかけていたよ。」
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☆ リールは上半身を起こすと胸に手をあて、下を向いて目をつぶりました。
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リール☆ (奴隷商人様・・・ありがとうございます。)
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ドガンテ☆ 「ついてこい。ヤガパール様がおよびだ。」
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☆リールはまだ傷のいえない体にムチうって無理矢理立ち上がり、よろよろしながらドガンテについて行きました。