13話 奴隷としての初仕事
☆ 大広間につくと、いつものようにヤガパールが上座のいすに座っていました。
☆ リールはヤガパールの正面まで歩いていくとくずれるように座りました。
☆ きっと癖なのでしょう。こんなに疲れていてもちゃんと正座をしています。
ヤガパール☆ 「リール、おはよう。」
☆
リール☆ 「・・・おはようございます、奴隷商人様」
☆
ヤガパール☆ 「よほど疲れているんだな。しゃべることもつらそうじゃないか?」
☆
☆ ヤガパールはちょっと皮肉っぽく語尾をあげてリールに問い掛けました。
☆
リール☆ 「・・・だい・じょうぶ・です・・・」
☆
ヤガパール☆ 「ま、お前が自分でそう言うならそういうことにしといてやるよ。」
☆
☆ ヤガパールはずっと下を向いているリールを何か探り出すかのようにちょっと見つめてから、また話し出しました。
☆
ヤガパール☆ 「さて、お前は1日オレのつらい拷問に耐えたわけだが、これからお前はもっとつらい日々が待つ身分になる。
☆ それがなんだかはお前が一番よく知ってるはずだ。」
☆
☆ ヤガパールはそこまでいうといすから立ち上がり、リールの後ろまで歩いていってしゃがみこみました。
☆ そして、背中の焼印をそっとなでながら、リールの耳元でささやきました。
☆
ヤガパール☆ 「お前は、奴隷だよ。」
☆
リール☆ (わたし・・・わたし、奴隷・・・何させられるんだろう・・・何されるんだろう・・・)
☆
☆ リールは頭の中がグルグルしました。「奴隷」という言葉、いままでそれについていろんなことを聞いてきたけれど、
☆ 詳しい事はよく知らない、リールにとってそれはそんな言葉だったから。
☆ 同じ思いが頭の中をグルグル、グルグル回りました。
☆
☆ ヤガパールはそんなリールを尻目に、上座にもどり、またいすに座りました。
☆
ヤガパール☆ 「今日は、お前も疲れていることだし、小手調べだけにしといてやるよ。
☆ この屋敷の庭にな、井戸があるんだ。そこまで行って水をくんで来い。あの甕いっぱいにな。」
☆
☆ ヤガパールは広間のはしにある、甕を指差しました。わりと大きい甕です。
☆
ヤガパール☆ 「井戸は玄関を出て右を見ながら、歩けばすぐわかる。ただし、制限時間は5分だ。
☆ 時間をすぎたり、1滴でも水をこぼしたりしたら、罰をあたえるからそのつもりでいろよ。」
☆
リール☆ 「・ ・ ・ (5分ってあんな大きな甕なのに・・・井戸ってどこにあるんだろう・・・すぐみつけられるかな・・・罰って・・・)
☆
ヤガパール☆ 「(おろおろしているのがすぐわかる・・・ほんと、見飽きない奴だ。)
☆ リール、お前が立ち上がったらすぐ時間をはかりはじめるからな。じゃ、行ってこい!」
☆
☆ リールは、はじかれたように立ち上がると甕のところまで走っていきました。
☆ しかし、走ったというのはリール本人がそう思っていただけで、はたからはよたよたと歩いているようにしか見えませんでした。
☆ ようやく甕のところまでいきつきましたが、そこには新たな試練が待っていました。
☆ その甕は重さはそれほどないのですが、高さが1mちかくあるのです。普通の人ならなんなくもてる大きさですが、
☆ 体の小さいリールには一苦労です。
☆ リールは自分より20cm以上も背の高い甕に抱きつくようにして小さな腕をまわし、ぎゅっと力を入れて持ち上げようとしました。
☆ リールが全力をこめても、甕はやっと床から数cmほど離れただけでした。
☆ それでもリールは一生懸命、甕を支えて玄関に向かって歩いていきました。
☆ 玄関まできてリールは大事なことに気付きました。甕を一度下ろさないとドアが開けられないのです。
☆ やっとバランスをとっていた甕をおろして、またさきほどのように持ち上げなければならないのです。
☆ でも迷っている時間はありません。リールはいそいで甕をおろすとドアを開けました。
☆ そしてまた甕に抱きつくように腕をまわし、ぎゅっと持ち上げました。
☆
☆ それまでじっとリールの様子を見ていたヤガパールが口を開きました。
☆
ヤガパール☆ 「ちゃんとドア閉めてけよ。」
☆
☆ リールは、はっとしました。今持ち上げたばかりなのにドアの向こうに運んだらまた下ろさなければならないということが
☆ すぐにわかったからです。
☆
ヤガパール☆ 「リール、わかったなら返事をしろ!」
☆
リール☆ 「はい、奴隷商人様。」
☆
☆ リールは甕を運ぶ大変さもさることながら、時間も気になって仕方がありません。でもこれ以上はやく動くことができないのです。
☆ 心ばかりがいそいで、ドキドキと不安と恐怖にみちた音を鳴らしています。
☆ リールは甕をドアの向こうに運ぶとすぐに下ろし、ドアを閉めました。
☆ そしてまた、甕に腕をまわしました。甕が重くないのが幸いして、持ち上げることに少しなれてきました。
☆ リールは甕を持ち上げると顔を右に向けて歩きました。
☆ 庭にはきれいな花壇などもありましたが、リールは井戸を探す事に夢中で目に入りませんでした。
☆ 思ったよりすぐに井戸は見つかりました。リールは井戸に近づくと甕を下ろしました。
☆
リール☆ (重そうな綱・・・)
☆
☆ 確かに、その井戸には重そうなふとい綱が垂れていました。
☆ リールは「うっ・・・」と声がもれてしまうほど思いっきり綱を引っ張りました。でも少ししか上がった手ごたえがありません。
☆ それどころか、ちょっとでも手をゆるめると綱がもとにもどってしまうのです。
☆ リールは軽く息を吸い込むと綱を持ち直してまた思いっきり引っ張りました。今度はさっきよりあがったようです。
☆ でもそれ以上引くことができず、結局また綱はもとにもどってしまいました。
☆ リールはめげずにもう一度綱をひきました。リールが綱を引くたびにあがる高さがだんだんと高くなっていきました。
☆ 何回かごつごつした荒い綱を引いたリールの手には血がにじんでいました。
☆ しかしリールはそれに気付かず、綱を引いては離し、引いては離しを繰り返しました。
☆ そしてついに、重たい綱と綱についている水のはいった手おけを引っ張り上げることができました。
☆ リールは背伸びして甕に水をいれようとしました。でも、どんなに背伸びをしても甕に水をいれる高さには到底およびませんでした。
☆ リールは水をはいった手おけがまた井戸の中にもどってしまわにように、しっかりとつかみながら、あたりをみまわしました。
☆ すると、道を隔てて反対側の木の下にいかにも「使え」という感じに踏み台がおいてありました。
☆ リールは甕の時の何倍も引き上げることに苦労した手おけをまた戻さなければなりませんでした。
☆ リールは仕方なく、手おけから手を離すといそいで木の下にいき、踏み台を運んできて、甕のそばにおきました。
☆ そして踏み台にのると、渾身の力をこめて綱をひきました。今度は1回で手おけをあげることができました。
☆ リールはやっと甕に水を注ぐことができました。
☆ リールはその時、どちらにしても何回も綱を引いて手おけを持ち上げないと甕がいっぱいにならないことに気付きました。
☆ リールの表情がかたくなりました。
☆ リールは何度も何度も綱をひっぱりました。手おけをあげることが成功する回数も増えましたが、
☆ それ以上に失敗して何度も綱が井戸の中でからまわりする音が聞こえました。
☆
☆ 1ぱい・・・2ぱい・・・3ばい・・・まだまだまだ
☆ 4はい・・・5はい・・・6ぱい・・・まだまだ
☆ 7はい・・・8はい・・・9はい・・・もう少し
☆ 10ぱい。
☆ ようやく甕が水でいっぱいになりました。
☆ リールは息つく暇もなく、踏み台からおり、念のためそれをもとの位置にもどすと、甕に腕をまわして持ち上げようとしました。
☆
リール☆ 「うっ・・・ (あれ?持ち上げられない・・・重い・・・すごく重い・・・)
☆
☆ 水をいれた甕は鉛のように重たくなっていました。とてもいままでどおりの力で持ち上げられるものではありません。
☆
リール☆ (そんな・・・どうしよう・・・いままでだって力全部使って持ち上げてたのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたし・ ・ ・
☆ わたし、もっと力出せないの?さっきのがわたしのせいいっぱいだったの?もうちょっと、もうちょっとがんばれるかなぁ。
☆ わたし、もっと力出せるかなぁ。この甕持ち上げられるかなあ。)
☆
リール☆ (がんばらなきゃ、わたしはこの甕を奴隷商人様のところに持っていかなきゃいけないんだ。
☆ わたし、大丈夫だよね?もう少しくらいいけるよね?)
☆
☆ リールは自分に問いかけました。なんだかちょっと甕がもちあげられそうな気がしてきました。
☆ リールは甕にうでをまわしました。
☆
リール☆ 「くっ・・・くっくっ・・・うっ・・・ううっ・・・」
☆
☆ リールは甕が1度で持ち上がらなくても休むことなく、持ち上げようとし続けました。
☆
リール☆ 「ぐっ・・・つっ・・・いっ・・・」
☆
リール☆ 「あうっ・・・くっ・・・くくっ・・・」
☆
リール☆ 「くぅ・・・・・・・・・あ!!」
☆
☆ リールはちょっといつもより大きな声を出しました。甕が持ち上がったのです。
☆
リール☆ (わたし・・・甕、持ち上げられた・・・がんばったら・・・できた・・・持ち上がった。)
☆
☆ リールはちょっとうれしそうでした。
☆ リールはそのままバランスをくずさないように気をつけながら、腕に常に全力を送り続けました。
☆ リールは何度も甕を落としてしまいそうになりながら玄関のドアに向かって歩いて行きました。
☆ ドアに近づくに連れてだんだん腕がしびれてきました。
☆ リールは感覚のなくなってきた腕で必至になって甕を運びました。
☆ やっとのことでリールはドアにつきました。腕の感覚はもうなくなっていました。
☆ リールは注意深く甕をおろしました。
☆
リール☆ (このドアを開けたら、奴隷商人様はなんて言うだろう。時間は大丈夫かなぁ。)
☆
☆ リールの頭の中にそんなことがよぎりました。リールはおそるおそるドアを開けました。
☆
☆ ヤガパールの前にはいつのまにか小さなモニターがおかれていました。
☆ ヤガパールはモニターから顔を上げるとリールをみてほくそえみました。
☆ そうです、ヤガパールはモニターでリールのいままでの行動を一部始終みていたのです。
☆ そんなことを知らないリールはヤガパールが何もいってこないことに安心と妙な不安をおぼえながらも、
☆ 甕を広間に運びこもうとして持ち上げました。リールの腕の感覚はもう本当にありません。
☆ バランスをとりながら、甕を運んで歩いていきました。
☆ 慎重に慎重に1歩、1歩。 1歩、1歩・・・
☆
リール☆ 「あっ!」
☆
☆ それはリールと叫び声とともに始まりました。
☆ 次の瞬間、大広間の床は水びたしになりました。
☆
☆ リールは玄関の段差で転んでしまったのです。
☆
リール☆ (どうしよう・・・どうしよう・・・どうしよう・・・)
☆
☆ リールは裸で冷たい水のひろがる床に座っていることも気にならないほど、困惑していました。
☆ ヤガパールがゆっくり、でも確実にリールに近づいてきています。
☆
リール☆ 「ごめんなさい・・・」
☆
☆ リールは怖いのを一生懸命我慢して、やっとそれだけいいました。
☆
☆ ヤガパールはリールのそばまでくるととまりました。
☆ リールはあまりの恐怖で自然と体が震えていました。
☆ ヤガパールは冷ややかにいいました。
☆
ヤガパール☆ 「立て。」
☆
☆ リールがおそるおそる立ち上がったその刹那、ヤガパールがリールのほおを平手でうちました。
☆ 小さいリールは2mちかくも飛ばされて、床に転がりました。
☆
☆ リールはびっくりしてさっきよりもっと震えながらじっと床を見つめていました。
☆
ヤガパール☆ 「しょうがない、奴だなあ。時間をオーバーしたばかりか、水をこぼすなんて。広場が水びたしじゃないか。」
☆
リール☆ 「・・・ごめんなさい。 ごめんなさい、奴隷商人様。わたし、床、ふきますから。」
☆
☆ リールの声はひどく震えていました。
☆
ヤガパール☆ 「それもいいが、その前に約束通り罰を与えてやるよ。
☆ さっきみたいに俺がお前にビンタをする。普通の人なら倒れるだけですむわけだが、
☆ おまえは体が小さいから、飛ばされてしまうわけだ。でも、ただビンタをするだけではつまらない。
☆ だから、俺のビンタをくらっても立ったままでいろ!倒れてしまったら、立ったままでいられるまでやるからな。いいな?」
☆
リール☆ 「はい・・・」
☆
ヤガパール☆ 「よし、立て!」
☆
☆ リールはゆっくりと立ち上がりました。足が、ガクガクと震えています。
☆
ヤガパール☆ 「そんなに足が震えていては立っていられないぞ。まあいい。お前が叩かれる回数が増えるだけだから な!」
☆
☆ ヤガパールは不意打ちするのが楽しいらしく、言葉をいい終わらないうちにリールにビンタをした。
☆ 案の定、リールは飛ばされて倒れてしまいました。リールは頬をおさえてうずくまりました。
☆
ヤガパール☆ 「倒れたらすぐ立てよ!」
☆
☆ ヤガパールの叫び声が大広間にひびきわたります。
☆ リールは立ち上がりました。なるべく震えないようにがんばっています。
☆
☆ と、ヤガパールはさっきとは反対の頬にビンタをくらわせました。
☆
リール☆ 「あっ・・・(痛い・・・奴隷商人様すごく力強い・・・わたし、立っていることなんてできるの?)」
☆
☆ リールは立ち上がると、気をつけのような姿勢のまま決心したように手をグーにしました。
☆
ヤガパール☆ 「ほう、少しはやる気がでてきたようだな。」
☆
☆ ヤガパールは左頬を叩きました。
☆ リールはまた飛ばされて倒れこみましたが、さっきよりはいくらか飛ばされる距離がへったようです。
☆
☆ リールはすばやく立ち上がると今度はグーにした両手を胸にあてて目を閉じました。
☆ ヤガパールはまたリールの左頬を叩きました。
☆
リール☆ 「つっ・・・」
☆
☆ リールはまた倒れてしまいましたが、飛ばされる距離が最初の半分くらいになりました。
☆
ヤガパール☆ 「どうやらお前はこういう強さもあるようだな。もっと罰らしくなるように、息つくひまもないくらいビンタしてやるよ。
☆ だから倒れたらすぐ立つんだぞ。いいな?」
☆
リール☆ 「はい・・・(神様・・・どうか立っていられますように。)」
☆
☆ リールは立ち上がりました。即、ヤガパールの手が左頬にとんできました。
☆ バシッ!
☆ リールは飛ばされて倒れてもすぐに立ち上がりました。ヤガパールも一呼吸も置くことなくリールの頬をうちます。
☆ リールは何度倒れても、何度倒れてもがんばって立ち上がりました。リールが倒れるたびに床の水がバシャバシャと音をたてます。
☆ リールの体はもうびしょぬれでした。左頬もまっかになっています。
☆ ヤガパールは10回ほど、左頬をたたくと今度は右頬をたたきました。
☆ バシッ!
☆
リール☆ 「あっ・・・」
☆
☆ ヤガパールは長年の経験からか、左頬が麻痺してきていることを感じとり、叩くのを右頬にかえようです。
☆ リールは小さく声をあげましたが、それでもまたすぐに立ち上がりました。
☆
☆ 立ち上がる・・・叩かれる・・・倒れる・・・立ち上がる・・・叩かれる・・・倒れる・・・立ち上がる・・・叩かれる・・・
☆ バシッ! バシッ! バシッ!
☆ それが何度も繰り返されました。リールはだんだん目がまわってきて、何も考えられなくなりました。
☆ 10回ごとに 左頬・・・右頬・・・左頬・・・右頬・・・
☆ バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
☆ リールの立ち上がる速度がだんだん遅くなってきました。
☆ もう両頬ともヤガパールの大きな手跡がたくさんつき、まっかにはれあがっています。
☆ もうろうとする意識のなか、ロボットのように立ち上がることを繰り返しています。
☆ ビンタを繰り返しながらヤガパールがいいました。
☆
ヤガパール☆ 「そんなんじゃ、一生終わらないぞ。」
☆
リール☆ (そうだ・・・立ってなきゃ・・・でも・・・どうしよう・・・足に力をいれれば少しは・・・)
☆
☆ リールは叩かれながらも、立っていられる方法を必至に考えました。
☆ 立つとすぐに叩かれるので立ち上がる時からもう足に力を入れました。
☆ バシッ!
☆ リールはくらくらしながらも何度も足に力を入れて立ち上がりました。
☆ バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
☆ 相変わらず倒れてしまいますが、飛ばされる距離は確実に縮まっています。
☆ 歩幅5歩分・・・4歩分・・・3歩分・・・
☆ リール本人はそれに気付いていませんが、その様子にヤガパールは驚きながらも喜んでいるようです。
☆ また、ヤガパールの大きくて分厚い手がリールの頬をうちました。
☆
リール☆ 「うっ・・・」
☆
☆ もう飛ばされるというよりはちょっと浮くぐらいになっていました。
☆
ヤガパール☆ (どうやらあの「うっ・・・」という声を出すと強いようだな。)
☆
☆ バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
☆ もういったい何回叩かれたのでしょうか。はれた頬はところどころ血がにじみ出ています。
☆
ヤガパール☆ (少女の顔を傷つけるのは始めてだが、案外いいものだな。)
☆
☆ バシッ! バシッ!
☆ リール本人にもはっきりと分かる変化が現われました。まったく飛ばされなくなったのです。
☆ リールが立った真下の水がバシャッと鳴りました。
☆
リール☆ (わたし・・・わたし飛ばされなくなった・・・倒れるだけになった・・・
☆ わたし・・・がんばれば・・・もっとがんばれば・・・立っていられるように・・・)
☆
ヤガパール☆ (ほう、なかなか骨があるじゃないか。どうやら、一生続けなくても済みそうだな。)
☆
☆ ヤガパールは微笑みました。それはなぜか少しやさしい微笑みのようにも見えました。
☆
☆ リールは少し勇気が出たのか、立ち上がる速度がもどってきました。
☆ バシッ! バシッ! バシッ!
☆ リールは倒れる時、床に手がつけるようになりました。
☆
リール☆ (もう少し・・・もう少し・・・)
☆
☆ バシッ! バシッ!
☆
リール☆ (お願い、エルザさん。わたしに力を下さい。)
☆
☆ バシッ!
☆
☆ ・ ・ ・ ・ ・ ・
☆
☆ ・ ・ ・ ・ ・ ・
☆
リール☆ (わたし・・・わたし、立ってる!)
☆
☆ ついに、リールは立ったままでいられることができたのです。リールの頬を一筋の涙が伝わりました。
☆
ヤガパール☆ 「おお、やっと立っていられるようになったか。よかったなあ、一生続かなくて。」
☆
☆ リールが涙をふくと、ヤガパールは目尻をあげてニヤッと笑いました。
☆
ヤガパール☆ 「じゃあ、罰のしめくくりといくか。」
☆
☆ そう言うとヤガパールはリールを片腕で軽々と抱き上げると、右手をリールの頬に近付けました。
☆ リールの表情が恐怖でこおりつきました。
☆
ヤガパール☆ 「いくぞ!!」
☆
☆ ヤガパールがどすのきいた声で言いました。
☆ バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
☆
ヤガパール☆ 「オレの気がすむまで往復ビンタをしてやるよ。苦しいか?痛いか?」
☆
リール☆ 「つっ・・・あっ・・・うっ・・・うっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
☆
☆ リールの口から言葉にならない小さな息のような声が聞こえます。
☆
ヤガパール☆ 「フフフフフフ・・・フフフフフフ・・・」
☆
☆ ヤガパールは高らかと不気味な笑い声をあげながら、リールが気絶するまで何十分も往復ビンタを続けました。