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14話 町の人々

       ☆ リールは目が覚めると同時にほっぺたに手をあてました。
   リール☆ 「つっ・・・」(あっ、そうか、わたしお仕事失敗して奴隷商人様にたたかれたんだ。ほっぺたがすごいじんじんする。自分の顔じゃないみたい・・・)
       ☆
  ドガンテ☆ 「目が覚めたか?鏡みせてやろうか?」
       ☆
       ☆ ドガンテはいじわるそうに笑って持っていた手鏡をリールの方へ向けました。
       ☆
   リール☆ 「あっ・・・」
       ☆
       ☆ リールは言葉を失いました。そしてしばらくそのまま鏡をじっとみつめていました。
       ☆ と、リールの頭に大きな手の平が乗ってきました。
       ☆
ヤガパール☆ 「なに、ぼっーとしてるんだ。」
       ☆
   リール☆ 「ごめんなさい、奴隷商人様。」
       ☆
       ☆ ヤガパールはリールから手鏡を取るとドガンテに渡しました。
       ☆
ヤガパール☆ 「リール、町にいくぞ。」
       ☆
   リール☆ 「えっ・・・」(こんな顔なのに・・・町に。それにわたし奴隷だから・・・町の人どんな目でわたしを見るんだろ・・・石なげられたら、どうしよう・・・)
       ☆
       ☆ ヤガパールはそんなリールの気持ちをよそに、リールの両手首を乱暴につかむと、いつもとは逆に前で縛りました。
       ☆
ヤガパール☆ 「立て!」
       ☆
       ☆ ヤガパールはリールの手首につけた縄のはしを手に持つとそれをグイッとひきました。
       ☆ まだ準備ができていなかったリールは布団から冷たい床の上へ転がり出されました。
       ☆
ヤガパール☆ 「立てよ!」
       

       ☆ リールは立とうとして足に力をいれました。
       ☆
   リール☆ (立てない・・・なんで・・・)
       ☆
       ☆ リール本人はわかっていませんがこの過酷な生活のなかでリールは力がなくなってきているのです。
       ☆ リールはもう一度立とうとして足を少しずつ体に引き寄せて、ひじにも力を入れ、膝を片方づつ床に立たせました。
       ☆ 膝がちゃんと床につくまで体重がひじにかかります。リールはひじに痛みを感じながらもどうにか膝立ちになりました。
       ☆ そして足に力を入れると左足からゆっくり立ち上がりました。
       ☆
ヤガパール☆ 「ふー、やっと立ったか。」
       ☆
   リール☆ 「ごめんなさい・・・」
       ☆
ヤガパール☆ 「いくぞ。」
       ☆
       ☆ そう言うと、ヤガパールはリールに背を向けて歩き出しました。リールは両腕がななめ上にまっすぐ伸ばされた状態でひっぱられながらも一生懸命足を動かしました。
       ☆
  ドガンテ☆ 「リール」
       ☆
       ☆ リールはドガンテの方をみました。なんと、ドガンテはさっきの手鏡でリールにみえるようにリールの胸を写してニヤニヤわらっているのです。
       ☆
   リール☆ (あ・・・わたし、はだかだったんだ・・・町には人たくさんいるのに・・・
       ☆  わたし、はだかで・・・縄つけられて・・・奴隷で・・・顔はれてる・・・ ・・・ ・・・)
       ☆
ヤガパール☆ 「気を抜くと転ぶぞ!」
       ☆
   リール☆ 「あ・・・ごめんなさい。」
       ☆ (とりあえず、歩くことに集中しなきゃ。)
       ☆
       ☆ 屋敷の中をぐるぐる歩き、リールはいままで見たことのない扉から外に出ました。そこには林が広がっていました。
       ☆
   リール☆ (見たことない林・・・この向こうに町があるのかなぁ・・・)
       ☆ 
       ☆ リールはきょろきょろとまわりを見下ろしました。
       ☆
ヤガパール☆ 「ここから一番近い町にいくぞ。今から行くのはおまえの知らないそしておまえを知らない町だ。」
       ☆
   リール☆ (わたしを知らない町?・・・どんなとこだろ・・・でも、知らない場所ってことはわたしの知ってる人にこの姿を見られるってことはないんだよね。)
       ☆
       ☆ リールは少し安心しましたが、それでも自分が奴隷であり、人に侮辱される存在であることにかわりはないのですごく不安を感じていました。
       ☆ 初めて踏む土の冷たさは裸の足に直に伝わり、これから起こる不幸を暗示しているかのようでした。



        ☆ リールもヤガパールもただ黙ってひたすら歩きつづけました。リールは周りの木がだんだん低く少なくなってきていることに気付きました。
       ☆
   リール☆ (木が低くなってきてる。町に近づいてるんだ・・・苦しい・・・すごい胸が苦しい・・・1歩あるくたびに前より胸が苦しくなる・・・どうして・・・ ・・・)
       ☆
ヤガパール☆ 「ほら、町が見えてきたぞ。」
       ☆
       ☆ ヤガパールに言われて、リールは必死に足を動かしながらも顔だけ横にずらしてヤガパールにさえぎられた前方をみようとしました。
       ☆
   リール☆ (あ・・・ほんとだ・・・家がたくさん見える・・・胸が・・・苦しい・・・気持ち悪い・・・息できなくなりそう・・・)
       ☆
       ☆ リールは自分の目で町を見て、不安を通り越して恐怖すら覚えました。
       ☆ そんなリールの気持ちを知ってか知らぬかちょっと早足になったヤガパールにひっぱられてリールは町に着きました。
       ☆
       ☆ 「あ、裸の女の子がいる!」
       ☆ 町に入った途端に男の子のその一声でリールは人々にとりかこまれました。
       ☆ 「あ、あれ奴隷だよ」 「あいつ裸だぜ」 「あの子ずいぶん傷だらけねぇ」 「ちっちぇ〜・・・いったいいくつだ?」 「お母さん、あの子どうしてはだかなの?」
       ☆ 「奴隷だ」 「奴隷がいるぞ」     「奴隷だ」      「奴隷だ」 
       ☆
       ☆ リールは全身が震えました。たくさんの言葉が頭上をとびかい頭がくらくらしました。
       ☆ 足に力が入らなくなり座り込んでしまったリールの耳にさっきの男の子の声が聞こえました。
       ☆
       ☆ 「これでもくらえ!」
       
☆ リールの背中に石が当りました。さっきの男の子が投げたのです。
       ☆ と、それが合図であるかのようにほかのひとたちもリールに石を投げ出しました。
       ☆
   リール☆ (いたっ・・・どうして・・・わたし悪いことなんにもしてないのに・・・どうして・・・わたしが、奴隷だから?・・・ )
       ☆
       ☆ 「それ!」 「傷、増やしてやるよ」 「奴隷には石がお似合いだよ」 「あ、この石すごいとがってるぜ」 「おらよっ!」
       ☆ 石が滝のようにリールの体に当りました。
       ☆
   リール☆ (わたしが奴隷だから・・・わたしが奴隷だから・・・ ・・・)
       ☆
       ☆ 町の人々のなげる石は背中だけでなく、顔や胸にも傷をつけました。
       ☆
   リール☆ 「うっ・・・」
       ☆
       ☆ 腫れた顔に石があたるたびにリールはちいさくうめきました。
       ☆
ヤガパール☆ 「その声、久しぶりに聞いたなぁ。おまえのその声を聞くとなぜかわくわくするよ。」
       ☆
   リール☆ 「うっ・・・ (ほんとだ・・・久しぶり・・・わたしこのつぶやきでいろんな拷問に耐えて、エルザさんを救って、奴隷商人様の本当の奴隷になったんだ・・・)
       ☆
       ☆ 「あの背中のVにあててやる」 「じゃ、オレはS」 「Aにあてるか・・・」 「やっぱ顔だよな」 「首に当ててみよ」
       ☆
   リール☆ (そっか・・・わたし、奴隷なんだ・・・奴隷商人様やドガンテ様だけじゃなくて、町の人にまでいじめられる、本当の・・・奴隷・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・)
       ☆
       ☆ 町の西が赤くそまったころ、ようやく石の雨がとまりました。町の人々はそれぞれ自分の家庭にもどって行きました。
       ☆
ヤガパール☆ 「今日はこの町に泊まるぞ。」
       ☆
       ☆ そう言うとヤガパールはほとんど気を失いかけているリールを抱き上げて宿屋に向かって歩き出しました。

 

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